仕事を辞めたいと感じる理由と対処法!辞めたほうがいいケースも紹介
「努力しても給与があがらない」「職場の人間関係が良くない」「ミスが多いことで自信を失った」
このように、さまざまな事情から「仕事を辞めたい」と感じている方はいるでしょう。
そうは言っても、いざ辞めるとなれば収入面や生活面が大きく変化します。なかなか退職に踏み切れずに、辛い気持ちで仕事を続けている方も多いのではないでしょうか。
なかには、「辞めたいと思うのは甘え?」「自分が精神的に弱いせいでは?」などと、自分を責めてしまう方もいるかもしれません。
そんな方に向けて、この記事では仕事や会社を辞めたくなる代表的な理由と対処法を紹介します。なるべく早く辞めた方がいいケース、辞め方や退職の伝え方などもお伝えするので、ぜひ最後まで読んでみてください。
辞めたい気持ちで辛くなっている方の問題解決のヒントになれば嬉しいです。
目次
「仕事を辞めたい」「会社を辞めたい」よくある7つの理由をチェック
辛い気持ちを楽にするために、まずはなぜ仕事・会社を辞めたいと感じているのか、理由から明らかにしてみませんか。
ここでは、「仕事を辞めたい」と感じる主な理由をひとつひとつ解説していきます。自分に当てはまるものがあるか、まずは確認してみてください。
理由1.給与が低い
「仕事を辞めたい」「仕事を変えたい」と感じる理由としてもっとも多いのが、給与に対する不満です。
【事例】
- 業務量が多いのに給料が安い
- 残業代が出ない
- 成果を出しても給与に反映されない
- 何年勤めても昇給しない
給与やボーナスといった報酬は、仕事の対価であり労働意欲に大きく関わります。
努力や評価が「給与」「賞与」として目に見える形となって反映されれば、仕事に対する意欲も高まるでしょう。
しかし、「業務量や業務内容に給与が見合っていない」と感じたり、明らかな成果や実績を出しても見返りがなかったりと、仕事と給与との間にギャップを感じれば、モチベーションが低下してしまうのも当然です。
実際に、給与に対する不満から転職を決意した方は多いようです。
順位 | 転職理由 | 割合 |
---|---|---|
1 | 給与が低い・昇給が見込めない | 36.9% |
2 | 社内の雰囲気が悪い | 26.9% |
3 | 人間関係が悪い/うまくいかない | 26.6% |
このことから、給与面への不満は退職や転職につながりやすい大きな要因と言えるでしょう。
理由2.労働条件が悪い
労働時間や休日日数など、労働条件の悪さも仕事や会社を辞めたくなる原因のひとつです。
【事例】
- 残業が多い
- 休憩なしで働いている
- 休日出勤をさせられる
- パートなのに正社員と同じ仕事をさせられる
残業時間が長かったり休日・休憩もまともに取れないほど忙しかったりと、長時間の労働は心身に大きな負担になります。
身体を十分に休める時間が取れないと、疲労はどんどん増す一方です。疲れた体で仕事に取り組まなければいけない状態が続けば、身体的な疲れだけでなく精神的なストレスも大きくなっていくでしょう。
また、プライベートの時間が確保できなければ気分転換もできません。
家族との時間や趣味を楽しむ時間が取れないと、「何のために働いているのか」と労働意欲も低下します。
労働条件への不満から、楽な仕事やきちんと休める職場への転職を考えることもあるでしょう。
実際に、厚生労働省による「令和4年雇用動向調査結果の概要」においても、労働条件への不満は退職・転職を決意する大きな要因であることがわかっています。
【転職入職者が前職を辞めた個人的理由とその割合】
男性 | ・労働時間、休日等の労働条件が悪かった(9.1%) ・職場の人間関係が好ましくなかった(8.3%) ・給料等収入が少なかった(7.6%) |
---|---|
女性 | ・労働時間、休日等の労働条件が悪かった(10.8%) ・職場の人間関係が好ましくなかった(10.4%) ・給料等収入が少なかった(6.8%) |
※男性・女性ともに「個人的理由」のうち「その他の個人的理由」を除いて紹介しています。
長時間労働が原因で心身に異常をきたすケースは少なくありません。心身への負担が大きいと感じたら、自分自身の身を守るためにも退職や転職を視野に入れたほうが良いでしょう。
理由3.職場の人間関係が悪い
職場の人間関係に対する不満や悩みから、「仕事辞めたい」「仕事辛い」と感じる方も多いです。
【事例】
- 上司が怖い
- 上司が気分屋で常に振り回されている
- チーム内に苦手な人がいる
- 陰口や噂話が多い
- 周囲になじめず孤立している
- 職場にグループや派閥がある
プライベートなら付き合う人を自分で選べますが、ビジネスの場となるとそうはいきません。
職場にはいろいろな人が集まっていて、苦手な人とも協力して業務を遂行する必要があります。
もちろん、良好な人間関係を築くために努力することは大切ですが、そうした状態が続けば心身はどんどん疲弊していきます。
人間関係のトラブルは、自分ひとりが努力したからといって必ず解決するとは限りません。状況の改善が見込めなければ、「もう無理」「疲れた」と仕事や会社を辞めたくなってしまうのも仕方のないことと言えます。
転職理由 | 全体 | 男性 | 女性 |
---|---|---|---|
給与が低かった | 11.5% | 12.1% | 10.4% |
職場の人間関係が悪かった | 9.1% | 6.8% | 13.7% |
男女で比較すると、特に女性の割合が13.7%と高くなっているのがわかります。
ここでもうひとつデータを紹介します。2022年に「女の転職type」が会員に対して調査を行った結果、人間関係がきっかけで転職を考えたことがあると答えた方の割合は約8割にも及ぶことがわかりました。
【「人間関係がきっかけで転職を考えたことある?」に対する回答とその割合】
回答 | 割合 |
---|---|
ある(実際に転職した) | 48.9% |
ある(実際に転職はしていない) | 29.5% |
ない | 21.6% |
女性の場合、妊娠や出産などによって休暇を取ったり働き方を変えたりと、ライフステージの変化とともに仕事に対する向き合い方も変わります。
そうした変化を受け入れてくれる職場なら良いですが、上司や同僚の理解を得られなければ、その職場で長く働き続けるのは困難でしょう。
人間関係がきっかけで転職する人の割合が男性に比べて女性が多いのは、こうした背景も影響しているのかもしれません。
理由4.仕事が合わない
仕事内容に対する不満から、仕事や会社を辞めたくなってしまうというケースもあります。
【事例】
- 仕事内容に興味を持てない
- 自分の強みやスキルを発揮できない
- 担当する仕事に苦手な業務がありストレスを感じる
- 努力を重ねても成果や実績につながらない
- ミスをするのが怖く仕事に集中できない
- 自社の商品やサービスが好きになれない
主な仕事や担当業務に対して興味・魅力を感じられなければ、モチベーションが維持できないのも当然です。
また、努力や工夫をしても結果につながらない状態が続くと、「頑張っても意味がない」「そもそも向いてないのでは」と退職や転職を考えるようになるのも仕方のないことと言えます。
注意しても同じミスをくり返してしまったり、ミスが怖くて仕事自体にストレスを感じたりすると、「自分は仕事ができない」と落ち込んでしまうこともあるでしょう。
「やりがいのある仕事がしたい」「もっと仕事に打ち込みたい」という気持ちがあるのに、それができないという状態は精神的にも辛いものです。
こうした理想と現実とのギャップも、仕事や会社への不満を募らせる大きな要因でしょう。
理由5.社風が合わない
辞めたくなる理由として、会社の社風や職場の雰囲気とのミスマッチをあげる方も少なくありません。
【事例】
- 自社の利益を最優先とする考え方に共感できない
- 自社の利益を最優先とする考え方に共感できない
- 体育会系のノリについていけない
- 飲み会に強制的に参加させられる
- 仕事とプライベートの境目があいまいで休日のイベントが多い
社風や雰囲気は会社・職場によってさまざまです。実際に働いてみるまでわからない部分も多く、入社してからギャップを感じる方も少なくないでしょう。
一日の大半の時間を過ごす職場の雰囲気が合わないと、居心地が悪く仕事にも集中できません。
理由6.結婚・出産・介護などの家庭の事情
結婚、出産、育児、配偶者の引っ越し、親の介護など、家庭の事情からこれまで通りに働くのが難しくなることは少なくありません。
特に女性の場合、家庭の事情が仕事に影響することで、仕事や会社を辞めたくなることもあります。
【事例】
- 産休・育休制度が不十分で仕事を続けられない
- 子育てに対して周りの理解が得られず仕事と育児を両立が難しい
- 時短勤務やリモートワークなどの制度がなく柔軟な働き方ができない
- 育休から復帰した後の仕事に不安を感じる
社員のワークライフバランスを大切にする企業は増えつつあり、コロナ禍で柔軟な働き方を取り入れた会社も多いでしょう。
そうは言っても、上司や同僚など周囲の理解が得られなければ、休暇制度を気持ち良く利用できません。
そうしたことがきっかけで上司との関係が悪くなったり職場に居づらくなったりと、人間関係に亀裂が生じてしまうことも…。
なかには「マタハラ」「イクハラ」といったハラスメント行為を受けて、仕方なしに退職という選択をする方もいます。
安心して働ける労働環境でなければ、「仕事だけでなく家庭も大切にしながら働きたい」「ライフスタイルが変わっても働き続けられる職場に転職したい」と考えるようになるのも仕方ありません。
理由7.単に「働きたくない」「めんどくさい」
給与や仕事内容などこれといって不満はないものの、モチベーションが維持できずに仕事を辞めたくなる方もいるでしょう。
【事例】
- 連休明けで仕事がめんどくさい
- 通勤時間が長く出勤するのがおっくう
- 満員電車に乗りたくない
- なんとなく疲れていて仕事したくない
- プライベートで気になることがあり仕事をする気になれない
どんなに好きな仕事でも毎日働いていれば、ときには「仕事したくない」と思うこともあるでしょう。
休み明けやなんとなく体調の良くない日など、一時的なものであれば良いですが、そうした状態が長く続けば精神的なストレスも増していきます。
加えて、業務内容や業務時間、職場の人間関係などに不満や悩みを抱えてしまうと、仕事へのモチベーションも一気に低下してしまうでしょう。
仕事を辞めたいと感じたときの対処法!会社を辞める前にやるべきこと
仕事を辞めたいと感じたときにすぐに転職活動を開始する方もいます。しかし、転職するとなると収入面や生活面にも影響を及ぼすので、焦らずに慎重に判断することが大切です。
まずは、今の状況でできる対処法から試してみてはいかがでしょうか。ここでは対処法を5つ紹介するので、できそうなことから取り入れてみてください。
辞めたい理由を考えてみる
まずは辞めたいと感じる理由を考えてみましょう。ノートでもスマホのメモ機能でも良いので、思い浮かぶ原因をどんどん書き出していきます。
漠然と辞めたいと感じている方でも、感情を言語化することで自分の考えが整理できます。モヤモヤした感情の正体がわかれば気持ちもすっきりするはずです。
客観視することで、「思ったよりも大きな問題ではない」と気が楽になることもあるかもしれません。
また、何に対して不満を感じているかが明らかになれば、「不満を解消するために何をするべきか」「どんな対処をすれば状況が良くなるか」など、対策や解決策が見えてくる可能性もあります。
辞めたいという気持ちが強くなりすぎると冷静さを失ってしまうことがありますが、気持ちを書き出しているうちに冷静さも取り戻せるはずです。
退職や転職にはリスクが伴うので、一時の感情で決断するのは避けたいもの。
仕事・会社を辞めたら解決する問題なのか考える
辞めたい理由と合わせて考えておくべきことが、「仕事・会社を辞めたら解決するのか」ということです。
仕事を辞めたいと思うほど悩んでいるときは、会社を辞める以外に解決法はないように感じるかもしれません。
しかし、退職・転職というリスクを負わず、今の職場のなかで問題を解決できる可能性もあります。
例えば、「仕事が合わない」「人間関係がうまくいかない」という悩みの場合、チーム替えによって悩みが解消する場合もあるでしょう。
「仕事と育児の両立が難しい」という悩みも、部署異動を願い出たり社内制度を利用したりと、ライフスタイルに合わせて働けるようになれば退職という選択をする必要はなくなります。
また、人との関わり方や仕事への取り組み方など、問題の原因が自分自身にある可能性もゼロではありません。
その場合は転職しても同じ悩みを抱える可能性が高く、退職や転職が根本的な解決にはならないでしょう。
「問題解決のために対策を講じた」「現状でできることはやり尽くした」という実感があれば、転職するとなった際にも後悔することはないでしょう。
信頼できる人に相談する
辞めたいと悩んでいるときは、周囲の人に相談してみるのもひとつの対処法です。
「会社を辞めたい」「仕事がしんどい」という気持ちをひとりで抱えていても精神的な辛さは増すばかりでしょう。ネガティブな気持ちがいっそう強くなってしまっては、状況は改善しません。
そんなときはひとりで悩まず、家族や友人など身近な人に気持ちを打ち明けてみましょう。
根本的な解決策が見つからなくても、話を聞いてもらえるだけで気持ちが楽になるはずです。
職場に信頼できる上司や先輩がいれば、過去の経験談を聞いてみるのも良いでしょう。
似たような経験があれば、当時の状況がどんなだったか、問題解決のためにどのように行動したかなど、詳しい話を聞かせてもらえる可能性があります。アドバイスによって道が開けることもあるでしょう。
ただし、職場の人に相談する際には、退職・転職を前提に話をするのは控えてください。「辞めたい」という気持ちが伝わると印象が悪くなる可能性があり、場合によっては職場に居づらくなる恐れがあります。
休みを取って心身を休ませる
肉体的な疲れが溜まっているときや精神的にしんどい場合は、有給休暇などを取得して心身をしっかり休ませましょう。
仕事から離れて心身ともにリフレッシュする時間を持つことで、心身の健康が取り戻せるでしょう。
身体の疲れが取れて精神的に余裕が持てるようになれば、物事を冷静に考えられるようになるはずです。「辞めたい」という気持ちでいっぱいだったときには思い浮かばなかったような解決方法が見つかるかもしれません。
また、一度仕事と距離を置くことで新たな気づきが得られることもあります。
仕事として割り切る・頑張りすぎない
自分自身の考え方を変えることで状況が良くなることもあります。
上司と相性が良くなかったり職場に苦手な人がいたりと、人間関係で悩んでいる場合は、仕事は仕事として割り切ってみてはいかがでしょうか。
職場はあくまでも仕事をする場なので、業務上必要なやりとりやコミュニケーションが取れれば十分でしょう。
良好な人間関係のために努力することは大切ですが、職場にはいろいろな人が集まっていて、なかにはどうしても合わない人もいます。「仕事の付き合い」と割り切って適度に距離を置くことで、精神的なストレスも軽減することもあるはずです。
また、「仕事が終わらない」「残業が多い」と悩んでいる方の場合、責任感の強さや周囲に頼れない性格から知らず知らずのうちに仕事を抱え込んでいる可能性もあります。
もちろん、仕事をするうえで責任感が強いことは素晴らしいですが、「ひとりで頑張る必要はない」と割り切って考えることも大切です。
辞めた方がいい職場もある!すぐにでも退職・転職すべき5つのケース
仕事や会社に不満があっても、いざ辞めるとなると迷ってしまうものです。
退職や転職は将来に与える影響も大きく、人生におけるターニングポイントになることも多いです。
そこでここからは、すぐにでも退職・転職すべきケースを5つ紹介します。
なかにはなるべく早く辞めた方がいい職場もあります。辞めるか迷っている方は、今いる職場環境も振り返りながら読んでみてください。
ケース1.人間関係に深刻な問題を抱えている
人間関係の悩みが深刻な場合、状況を良くするために行動したが人間関係が改善しない場合は、思い切って転職を検討しましょう。
どの職場でも人間関係の悩みを抱えることはあるので、「人間関係を理由に辞めてもいいの?」と不安に感じる方もいるかもしれません。
しかし、「『仕事を辞めたい』『会社を辞めたい』よくある7つの理由をチェック」の章でお伝えしたように、人間関係を理由に転職する方は決して少なくありません。
もちろん、多少の人間関係のトラブルであれば解決に向けた行動が必要ですが、以下のように問題が深刻化・複雑化していては自分ひとりの努力で解決するのは困難でしょう。
- 上司や同僚との関係が悪くコミュニケーションが取れない
- 嫌がらせやいじめを受けている
- 悪口、陰口、噂話が多く仕事に集中できない
- 職場に馴染めず常に孤立している
- 必要な指示や指導をしてもらえない
- 職場の人間同士の仲が悪く職場に居づらい
職場の人間関係で強いストレスを感じていると、仕事に集中できません。これでは何のために会社に行っているかわからなくなってしまいます。
また、自分自身は当事者でなくても、誰かが嫌がらせを受けていたり周囲の人間同士が険悪だったりすることもあるでしょう。
一日の大半を過ごす職場の居心地が悪いというのは精神的なストレスにつながります。ストレスが蓄積された結果、心身に異常をきたすこともあるので軽視するのは危険です。
ケース2.長時間労働で生活に支障をきたしている
長時間労働で生活に良くない影響が出てしまっている場合も、なるべく早く退職・転職を検討したほうが良いでしょう。
仕事柄、常に納期に追われたり職場が慢性的な人手不足だったりと、さまざまな事情から長時間労働になってしまっている方もいるでしょう。
しかし、許容範囲外の仕事量をこなさなければならない状態が続くのは、身体的にも精神的にも大きな負担です。
- 十分な睡眠時間を確保できない
- 休日も仕事の連絡があり気が休まらない
- 仕事ばかりでプライベートを楽しむ余裕がない
こうした状態が長期化すると、心身への負担から体調に異常をきたしかねません。
仕事に追われているような生活が続いている場合は、業務量の見直しなどを上司に相談してみましょう。
ケース3.職場でハラスメントが横行している
職場にハラスメントが横行している場合は、すぐにでも退職や転職に向けて行動することをおすすめします。
ハラスメントと一口に言ってもその種類はさまざまです。以下に、職場で問題になりやすいハラスメントを3つ紹介します。
ハラスメントの種類 | 事例 |
---|---|
パワーハラスメント(パワハラ) | ・物を投げつける ・人格を否定するような言動をする ・長時間にわたる厳しい叱責をくり返す ・集団で無視をするなどして特定の社員を孤立させる ・業務と関わりのない詩的な雑用処理をさせる |
セクシャルハラスメント(セクハラ) | ・性的な関係を要求する ・身体に触る |
マタニティハラスメント(マタハラ) | ・産休や育休の制度の利用を受け入れない ・妊娠や出産に対する嫌がらせをする |
もちろん、ハラスメントをする本人にも問題がありますが、以下のように、実は組織風土や職場環境に根本的な原因が隠れていることもあります。
- 経営陣や上層部のハラスメントに対する考えが甘い
- 管理職の権限が極端に強すぎる
- 職場のコミュニケーションが不足している
このように、ハラスメントの問題を社員ひとりの力で解決するのは簡単ではなく、問題解決のために行動することでいっそう精神的なストレスが増してしまうことも…。
退職・転職までに時間がかかるときは、以下の相談窓口を利用して今できることについて相談してみてはいかがでしょうか。
相談窓口 | 詳細 |
---|---|
総合労働相談コーナー(各都道府県労働局) | 労働条件からハラスメントやいじめなどの労働問題の相談も受け付けている |
個別労働紛争のあっせんを行っている都道府県労働委員会・都道府県庁 | 当事者間での労働条件関連のトラブルの解決が難しい場合の解決の手伝いを行う |
法テラス(日本司法支援センター) | 労働問題を含むさまざまなトラブル・問い合わせ内容に合わせた相談窓口を無料で案内している |
みんなの人権110番 全国共通人権相談ダイヤル | 差別やハラスメントなどさまざまな人権問題の相談を受け付けている |
ケース4.会社の将来性に不安を感じる
今いる会社の将来性に不安や疑問を感じる場合も、退職・転職すべきケースのひとつです。
- 会社の経営状況や業績が良くない
- 社内で予算削減の動きが目立っている
- 倒産やリストラなどの噂がある
現代、終身雇用が崩壊しているとは言ってもひとつの企業でできるだけ長く働きたいと考える方も少なくないでしょう。
しかし、どんなにやりがいのある仕事や居心地の良い環境であっても、将来性がない会社は常に倒産の危機にさらされています。
経営を維持するだけで精一杯な会社の場合、社員の待遇や教育を後回しにせざるを得ないので、年収アップやキャリアアップは見込めないでしょう。
最悪の場合、倒産やリストラなどある日突然失職してしまう恐れもあるので、できるだけ早く退職・転職に向けて行動を起こしましょう。
転職活動を始めたからと言ってすぐに内定がもらえるとは限りません。転職したい会社の採用時期が数ヶ月先だったり、応募に必要な資格を取得しなければならなかったりと、状況によっては転職活動が長引くこともあります。
ケース5.仕事が原因で精神的な病気になった
明らかに仕事が原因で精神的な病気になってしまった場合は、速やかに休職または退職することをおすすめします。
- うつ病
- 適応障害
- 不安症
- 心身症
上記の病気はあくまでも一例にすぎませんが、例えば「うつ病」の場合、「薬物療法」「精神療法・カウンセリング」と合わせて「休養」も大切な治療のひとつになります。
会社を辞めることに対して、「甘えている」「自分が弱いせい」と思う方もいるでしょう。
しかし、精神疾患は誰しも発症する可能性があり、心身に不調をきたしているときは無理をせずにしっかりと休養を取ることが重要です。
ただ、自己判断をするのは禁物です。
一時的な感情で行動するのは避けて!仕事を辞めたいときのNG行動
「仕事を辞めたい」「会社に行きたくない」と思い悩むのは辛いでしょう。
しかし、その場しのぎの行動を取った場合、後からさらに辛い状況に陥る可能性もあるので注意が必要です。
ここでは、どんなに仕事・会社を辞めたいときでも取るべきではない行動について解説していきます。リスクを回避するためにもNG行動について知っておきましょう。
感情に任せて仕事を辞めてしまう
「今すぐに仕事を辞めたい」「もう会社に行きたくない」という気持ちが強くなりすぎて精神的に余裕がなくなることもあるでしょう。
心身ともに疲弊しきっていたりストレスが限界に達したりすれば、その辛さから逃げたくなるのも当然です。
しかし、感情任せに仕事を辞めるのは避けましょう。
「辞める」と言ったその瞬間は楽になるかもしれませんが、勢いから仕事を辞めるという重大な決断をしてしまうと後悔する可能性があります。
冷静さを取り戻したときに、「辞めなくてもどうにかできたのでは」「今の職場でやってみたいことがあったのに」と悔やんでも、一度申し出た退職を取り消すのはそう簡単ではありません。
たとえ元の職場に戻れたとしても、上司や同僚からの信用を失ってしまっては職場にも居づらくなるでしょう。
勢い任せの行動は自分の首を絞めることにもなりかねません。
次の仕事が決まっていない状態で会社を辞める
仕事を辞めた後で転職活動を始める方もいますが、次の仕事が決まっていない状態で会社を辞めるのはリスクがあるのでおすすめしません。
退職後なら、転職活動にあてられる時間が十分にあるので仕事探しに専念できるでしょう。
しかし、転職先がすぐに決まる保証はどこにもありません。
良い求人が見つからなかったり選考に通らなかったりと、転職活動が長引いた場合、収入がない期間が生じます。
十分な蓄えがあれば良いですが、金銭的な余裕がなくなってくれば「内定がもらえればどこでもいい」「お金ないからとにかく早く働けるところでいい」と、転職活動がその場しのぎになってしまう可能性もあるでしょう。
また、次の仕事が決まっていない状態で退職したことについて、「計画性がない」「勢いで辞めたのでは」などと、マイナスの印象を抱く採用担当者もなかにはいます。
金銭面のリスクや選考への影響を考えても、できるだけ在職中に転職活動を行って、内定が確定してから退職手続きを進めていくという方法がおすすめです。
無断欠勤など無責任な行動をする
どんなに仕事に行きたくなくても、無断欠勤は絶対に避けてください。
出勤すべき日に連絡も入れずに会社を休むというのは、仕事の責任を放棄する行動であり、社会人としてルール違反です。
上司や同僚に迷惑をかけて会社に居づらくなると、仕事へのモチベーションも上がりません。
「無責任」「非常識」というレッテルを一度貼られてしまうと、信用を取り戻すのにも苦労するでしょう。
辛い気持ちを抑えて我慢や無理を続ける
お伝えしたように、感情任せの言動や無責任な行動は避けるべきですが、だからといって我慢や無理をすればいいというわけでもありません。
「辞めたい」「辛い」「しんどい」という自分の本音を放置すると、いっそう精神的な負担が大きくなります。
我慢や無理を続けた結果、心が限界を迎えてしまう可能性もあるのです。
ストレスから心身に不調をきたしてしまっては、いざ辞めると決めた場合にも思うように転職活動に取り組めなくなるかもしれません。
なかには、すでにストレスが体や心に表れているケースもあります。
以下に、厚生労働省が示している「ストレスのサイン」を紹介するので、ご自身に当てはまる症状が出ていないか、確認してみてください。
こころのサイン | ・不安や緊張が高まって、イライラしたり怒りっぽくなる ・ちょっとしたことで驚いたり、急に泣き出したりする ・気分が落ち込んで、やる気がなくなる ・人づきあいが面倒になって避けるようになる |
---|---|
体のサイン | ・肩こりや頭痛、腹痛、腰痛などの痛みが出てくる ・寝つきが悪くなったり、夜中や朝方に目が覚める ・食欲がなくなって食べられなくなったり、逆に食べすぎてしまう ・下痢したり、便秘しやすくなる ・めまいや耳鳴りがする |
また、自分自身の疲労やストレスの状態を把握しておくことも大切です。
厚生労働省では、以下のようなストレス診断方法を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
診断名 | 質問数 |
---|---|
「5分でできる職場のストレスセルフチェック」 | 57問 |
「働く人の疲労蓄積度セルフチェック(働く人用)」 | 27問 |
辞めると決めたら円満退職を目指そう!知っておきたいポイント5つ
悩んだ末に仕事を辞めると決めた場合、気になるのが仕事の辞め方でしょう。
そこでここからは、円満に退職するためのポイントを解説していきます。「どうせ辞めるのに…」という気持ちもあるかもしれませんが、自分が辞めた後も円滑に業務が進むように配慮することは社会人として大切なマナーです。
ポイントを押さえて行動して円満退職を目指しましょう。
直属の上司に最初に伝える
退職の意思が固まったら、まずは直属の上司に伝えます。
直属の上司より上の役職者や人事部へ報告すべきか迷う方もいるでしょう。
また、職場に仲の良い先輩や上司がいると先に相談したくなるかもしれませんが、万が一上司に話が漏れ伝わってしまった場合、「順番が違うのでは」「自分は聞いていない」などと印象が悪くなり、円満退職が難しくなってしまうでしょう。
トラブルを防ぐためにも、まずは直属の上司に退職の意向を伝えましょう。
また、先輩や同僚へ退職の話をする際には上司の了承を得たうえで行います。
退職に関する話はデリケートで、社内の士気にも関わります。噂話のような形で伝わった場合、職場が混乱する可能性もゼロではありません。
- どのタイミングで誰に話をするか
- 社内への正式な発表をいつにするか
- 取引先にはいつ報告するか
繁忙期を避けて退職を申し出る
円満退職のためには退職を伝えるタイミングも重要で、できれば繁忙期を避けましょう。
繁忙期に退職を申し出ても、「今は忙しいから」と上司にきちんと話を聞いてもらえなくなる可能性があります。
もちろん、健康上の理由や転職したい会社の採用活動時期など、事情によっては退職時期が繁忙期と重なってしまうこともあるでしょう。
退職の申し出は退職希望日の2~3か月前
退職を決めたら、退職希望日の2~3か月前には申し出るようにしましょう。
法律では、期間の定めのない雇用契約の場合、退職希望日の2週間前に申し出れば良いことになっています。
ただ、社員の退職に際しては社内の調整や後任者の選定、人員補充のための採用活動など会社側でも対応が必要です。
民法で定められているからといって2週間前に退職を申し出るのは、急すぎる印象で職場にも混乱を招きかねません。
退職手続きや引き継ぎにかかる期間を考慮して、退職の申し出は退職希望日の2~3か月程度前には行いましょう。
合わせて、就業規則も必ず確認しておきましょう。
就業規則では退職を申し出る期日や退職届の提出方法など、退職に関することが定められている場合が多いです。トラブルを防ぐためにも事前によく読んでおきましょう。
退職理由は前向きな理由・表現に言い換える
上司へ退職の話をした際に、「なぜ辞めるのか」と退職理由を聞かれることがあります。円満に退職するには、このとき退職理由をどのように伝えるかも重要です。
理由や伝え方によっては上司から引き留められたり上司を不快にさせたりと、トラブルにつながることもあります。
例えば、「人間関係が良くない」という理由を伝えた場合、「部署異動で解決するのでは?」「チーム替えをするから残ってほしい」というように引き止められるかもしれません。
スムーズに退職の話を進めるには、退職理由をできるだけポジティブな表現に言い換えて伝えます。
以下に、退職理由別に言い換えの例を紹介します。
【参考例】
本当の理由 | 言い換え |
---|---|
給料が安い | ・実績を正当に評価してくれる会社で頑張りたい ・実績を会社に認めてもらいたい |
残業が多い | ・効率的な仕事で成果をあげたい ・メリハリのある働き方をしたい |
人間関係が良くない | ・周囲と協力しながらひとつの目標達成に向けて頑張りたい ・チームワークを大切にしながら仕事を進めたい |
「どうせ辞めるのだから言いたいことを言ってやろう」と思う人もいるかもしれません。しかし、不平不満を伝えても上司を不快にさせるだけで何の解決にもなりません。
退職理由はあくまでも自己都合であることを伝えましょう。
後任者への引き継ぎをしっかり行う
後任者への丁寧な業務の引き継ぎも、円満退職するための重要な作業です。
以下に、引き継ぎのポイントを紹介します。
- 引き継ぎのスケジュールを決める
- 業務内容を書類やデータにまとめておく
- 後任者の理解度や進捗を確認しながら引き継ぎをする
- 引き継ぎの挨拶はできるだけ後任者と一緒に行う
- 退職日・最終出勤日の1週間前には引き継ぎが終わるように進める
引き継ぎに必要な期間は業務量によっても異なりますが、全体のスケジュールをまずは決めておきましょう。
限られた期間内でしっかり引き継ぎを行うのは、スケジュール管理は欠かせません。そのうえで進捗状況を確認しながら進めていけば、「退職日までに引き継ぎできない」なんてトラブルは避けられるはずです。
また、業務内容や顧客の情報、トラブルへの対処法など、書類やデータにまとめておくと後から見返せるので後任者も引き継ぎしやすいでしょう。
退職日が近づくにつれて、有給休暇の消化や挨拶回りなど、やるべきことも増えていきます。
お世話になった人に挨拶をする
>正式に退職が決まったら、社内外のお世話になった方々へ退職の挨拶を行います。
取引先など社外の関係者に対しては、メールや電話で退職の挨拶を行いましょう。
退職日当日には、以下の順番で社内の挨拶回りを行いましょう。
【挨拶の順番】
- 直属の上司
- 自部署
- 他部署
退職日を迎えたら、直属の上司には始業前に最終出勤日であることを一言伝えておきます。
仕事がある程度落ち着いている時間帯になったら、自部署→他部署の順に挨拶をしていきましょう。自部署の方々へはひとりひとりに声をかけお世話になったお礼を伝えます。
他部署との関わりが少なければ、特にお世話になった方のみへ挨拶しても良いでしょう。
また、退社前にはその職場で一番の役職者への挨拶を行います。
辞めたいと言えない?甘えている?仕事を辞めたい時のよくある質問
辞めたい気持ちがあっても、職場の状況や自身の立場を考えて退職できずにいる方もいるでしょう。
そんな方に向けて、ここでは仕事を辞めたいときのよくある質問・疑問をピックアップして回答します。
Q:「辞めたい」と言えないときはどうすればいい?
「上司が怖い」「職場が人手不足」など、さまざまな事情からなかなか「辞めたい」と言えずに悩んでいる方もいるでしょう。その場合は、先に転職先を決めてしまってはいかがでしょうか。
転職活動をして希望の会社から内定を獲得した後は、入社日を決めます。
転職先の入社日が確定すれば、その日までに退職手続きと入社準備を進めていかなくてはならないので、退職を切り出すしかありません。
また、退職を申し出た際に上司から引き留められたとしても、「転職先が決まっているので」と説明できます。
Q:新卒で仕事を辞めたいと感じるのは甘え?
ストレスの感じ方には個人差があるので、新卒者が入社1年目で辞めたいと感じたとしてもそれは「甘え」ではありません。
学生から社会人になれば生活は大きく変化します。社会に出てみて、社会人に対してそれまで抱いていたイメージと現実との間に大きなギャップを感じることもあるでしょう。
仕事や会社に慣れるまでには壁にぶつかることも多いので、「辞めたい」と感じることがあっても当然と言えます。
厚生労働省の調査では、約3人に1人が入社して3年以内に退職していることが明らかになっています。
【新規学卒就職者の離職率】
新規高卒就職者 | 36.9% |
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新規大卒就職者 | 31.2% |
上記のデータを見ても、終身雇用が崩壊し転職が珍しくなくなった現在、早期の退職は誰にでも起こり得ることと言っても良いでしょう。
ただし、新卒入社して数年で辞める人が少なくないとは言え、早期退職がデメリットになる可能性もあります。
この記事でお伝えしてきたように、辞める・辞めないについては勢いで決めずに慎重に判断するようにしましょう。
後悔や失敗を防ぐには「辞めたい」原因としっかり向き合うことが大切
紹介してきたように、仕事や会社を辞めたくなる理由は人それぞれです。
正社員、パート、派遣など雇用形態によっても不満に感じやすいことは異なります。また、20代や30代、40代、50代と年代でライフスタイルも違うので、仕事・会社を辞めたくなる原因も同じではないでしょう。
大切なのは、「仕事を辞めたい」「会社に行きたくない」と悩んだとき、一度気持ちを落ち着けてから自分の本音と向き合ってみることです。
後々、退職や転職をするとしても、悩みを抱えた時点で「本当に辞めていいのか」「今できることはないか」といったことをしっかり考えておくことで後悔のない選択につなげることができるでしょう。