未経験からのエンジニア転職はなぜ”やめとけ”と言われているのか？失敗しないためのポイント・注意点

エンジニアは、高収入が期待でき、やりがいのある非常に魅力的な職業です。しかし、未経験でエンジニアの道を志すとなると周囲から「止めたほうがいい」と忠告されることも少なくありません。

エンジニアを目指して良いのかと悩んでいる未経験者に向けて、なぜ慎重に検討すべきなのか、その理由を詳しく説明します。また、未経験者がエンジニアとして成功するためのヒントや戦略についても考察していきます。

未未経験からのエンジニア転職はやめとけといわれる理由・デメリット

未経験からエンジニアになろうとする人に対して、「やめとけ」という意見をよく耳にするかもしれません。この意見が一般的によく支持される背景には、次のような理由が考えられます。

理想と現実のギャップ

エンジニアという職業は、若者の間で高い人気を誇る職業の一つです。特に高校生の間では「将来なりたい職業ランキング」の上位に位置しています。その人気の背景にはさまざまな要因があります。

エンジニアという職業は、新しい技術やシステムを生み出す可能性があるため、イノベーションの最前線に立つことができるというキラキラとしたイメージがあります。

また、創造的な能力を駆使して仕事ができる点も、若者にとっては魅力的です。エンジニアが高い社会的地位を持ち、将来的に高収入を得ることが可能な職種であるという認識も、彼らが憧れを抱く理由の一つでしょう。

しかし、その華やかなイメージと実際の仕事の間には大きなギャップが存在することも事実です。エンジニアとしてのキャリアを歩むためには、まず基本的な技術の修得が欠かせません。

日常の業務には目立たない、地味な作業が山積していることも多く、必ずしも最初から高収入が約束されるわけではありません。この現実とのギャップにより、理想と現実の間で苦しみ、挫折を味わう人も少なくありません。

また、高い期待を抱いて転職した後で、実際の仕事内容に幻滅することもあります。エンジニアという職業は、継続的にスキルを磨き、技術を深めていくことが求められる技術職です。努力と研鑽によって得たスキルが評価されて初めて高収入に結びつきます。

長時間労働になるリスク

エンジニアという職業は、その魅力や可能性にもかかわらず、長時間労働が避けられないという理由で、やめとけという意見もよく耳にします。特にプロジェクトの締め切りが厳しく設定されることが多く、そのために日々の残業が大きく増えてしまうことが一般的です。

クライアントの突発的な要求や予想外のトラブル対応が発生すると、予定以上の仕事が求められることもあり、現実には時間管理が難しい状況が少なくありません。

さらに、エンジニアの働き方は雇用形態によっても大きく異なります。特に派遣先企業で業務を行うエンジニアは、往々にしてその企業の厳しい労働環境に順応せざるを得ない状況に置かれがちです。

派遣社員としての立場上、派遣先の業務ニーズに応じて長時間残業をせざるを得ないケースが多く見受けられます。

このような状況では、個人のライフバランスが崩れがちになり、心身のストレスが積み重なってしまう可能性も考えられます。

短期間で習得すべき知識・スキルが膨大

未経験からのエンジニアはやめとけと言う理由の一つに、短期間に多くの知識やスキルを習得しなければならないというプレッシャーがあります。

IT業界に未経験で飛び込む場合、多くの企業が新人向けの研修プログラムを提供しています。この研修は、職務を遂行する上で必要なスキルを身につけることを目的としていますが、その期間は数週間から数ヶ月と非常に限られています。

新入社員は、この短期間で即戦力として職場で通用するスキルを身につけることが必要です。プログラミングやネットワーク、データベース管理など、既に何らかの事前知識を持っている人でも、この研修期間中に全ての必要スキルを吸収することは大変困難です。

また、IT業界では新しい技術や知識が日々更新されるため、常に学び続ける姿勢が求められます。

さらに試用期間が設定されている企業の場合、期待されるスキルを習得できなければ、そのまま正社員として継続雇用されない可能性もあります。このプレッシャーは、新人にとって非常に大きなストレスとなるでしょう。

継続的なスキルアップが必要

ITエンジニアリングの分野では、日々進化するテクノロジーの波に乗り続けるために、不断の努力が求められます。この業界の変化の速さと新技術の登場頻度は、他の職種と比べても極めて高いものです。

そのため、「エンジニアになるのはやめておいた方がいい」と忠告されることも珍しくありません。

ITの世界では新しい技術やトレンドが次々と生まれています。わずか数年前には夢物語だった生成AIが現実のものとなり、ChatGPTのようなツールがプログラミングの在り方を一変させました。

こうした技術革新は、エンジニアにとって必要不可欠な知識やスキルの更新を迫るきっかけになりますが、反対に最新技術に追いつけなくなる恐れもはらんでいます。

技術の進化のスピード感に追い付くためには、日常的なスキルアップが必須です。しかし、通常の業務に加えて新たな知識やスキルを習得していくことは容易ではありません。

多くのエンジニアたちは、プライベートの時間を削りつつ新しいスキルを磨いていますが、そこには常にプレッシャーが付きまといます。

実際、dodaの調査によれば、IT界で働く多くの人々が、自分の持つスキルが将来にわたって通用するのかについて不安を抱えていることが明らかにされています。

未経験からエンジニアへの転職は可能？

エンジニアへの転身を考える際、未経験者でもその道を歩むことは可能なのでしょうか。エンジニアリングの世界は専門性が高く、未経験者にとっては障壁が高いと感じるかもしれません。

しかし、現実には学歴や専門学校の背景がなくともエンジニアとして成功を収めている人が大勢いるでしょう。現代のIT業界は急速に進化しており、新しい技術やニーズに応えるために、多くの企業は経験の有無に関わらず意欲的な人材を求めています。

これにはいくつかの背景があります。IT業界全体でエンジニアが不足していることが大きな要因です。デジタルトランスフォーメーションの進展により、多岐に渡る分野でエンジニアの需要が急増しています。

多くの企業はこうした状況に対応するため、未経験者でも積極的に採用し、社内で育成する体制を整えています。このような企業では、働きながらスキルを向上させるための研修プログラムが用意されていることが多いです。

しかし、未経験からのエンジニア転職にはいくつかの注意点があります。未経験者歓迎の求人であっても、企業によっては最低限のIT知識やスキルを既に持っていることを期待する場合があります。

また、入社後すぐに希望したプロジェクトや分野の仕事に就けるとは限らず、まずは基礎を固めるための業務からスタートすることが多いです。

そのため、新たなスキルを習得するための学習を入社前から始めることが重要です。プログラミングやデータベースの基礎知識をオンライン教材や書籍で学んでおくと、転職後のスタートがスムーズになります。

未経験からエンジニアに転職した人の実態

給与や仕事内容など、具体的な情報を十分に把握せずにエンジニアへの転職を決めてしまうと、後で後悔する可能性があります。 未経験からエンジニアに転職した人の実態を説明しましょう。

給与・年収

IT業界における転職時の給与事情について、「求人ボックス」が提供するデータによれば、エンジニアが転職する際の平均的な給与は約21万円という結果が示されています。この数字は、業界全体の平均給与である約37万円と比較すると、やや低めであると判断することが可能です。

この背景として、転職直後のエンジニアが新しい職場で実績を積む前の段階では、企業が給与を控えめに設定することが珍しくないことが挙げられます。

しかし、このような現象はIT業界特有のものというわけではなく、日本の労働市場全体に広がっているトレンドです。令和5年の「賃金構造基本統計調査」を見てみると、高卒者の平均年収は約186万円、月収にしておよそ15万5,000円という数値が示されています。

また、大卒者の場合は平均年収が約237万円で、月収だと約19万7,500円となっています。これらの統計を考慮すると、日本社会において、新卒の給与水準は相対的に低く設定されていることが明らかです。

この背景には、新卒者が社会人としてのスキルや経験がやや不足していることが大きく影響しています。企業は新卒者に対し、教育や育成のコストを考慮に入れる必要があるため、初任給を控え目に設定することが一般的です。

同様の理由から経験が少ない者や転職直後の者は、給与が低く抑えられています。

一方、企業での実績を積み重ねていくことで、徐々に給与が上昇していく可能性があるという点も留意すべきです。

仕事内容

エンジニアとしてのキャリアを未経験から開始する方の多くが、オープンポジションでの働き方を選択しています。このオープンポジションとは、特定の職務に縛られず、企業に入社後、自分に最も合った業務領域を模索しながら働くことができるポジションです。

dodaの調査によると、業界未経験者がエンジニアに転身する場合、このオープンポジションでキャリアをスタートさせるケースが一般的であることがわかりました。

未経験でエンジニアとして入社し、すぐに即戦力として活躍するのは難しいとされています。これは、新しい技術や作業フローを学ぶため、ある程度の時間と実務経験が必要であるためです。

そして企業側も、採用時にはその候補者の具体的な適性やスキルをすべて把握することができません。

オープンポジションでは、さまざまなプロジェクトや業務に参画する機会が与えられ、実際の仕事を通して自分の適性や興味を探求することができます。

これにより、企業側も個々の社員がどのような役割に適しているかを把握することができ、社員自身も自分自身の可能性を最大限に引き出すことが可能です。

オープンポジションにおける業務経験は、エンジニアとしての基礎を築くだけでなく、幅広い視点とスキルを身につける良い機会ともなります。将来的にはより専門的で高度な業務にシフトしていくための準備も着実に進めることができます。

この柔軟性のあるキャリアパスは、未経験からのスタートを考える多くの人々にとって、大きなメリットであると言えるでしょう。

未経験からエンジニアに転職するメリット

「エンジニアはやめとけ」という意見がある一方で、未経験からエンジニアになるには、以下のようなメリットがあります。

スキル次第で収入アップが見込める

エンジニアとしてスキルを磨くことで、収入面での向上が期待できるという魅力があります。特に現代では、副業を通じて収入を増やすことが容易になってきました。技術力や専門性を持ち合わせていることで、企業以外からの仕事を引き受けるチャンスが増えるのです。

実際、現在多くの企業が、優秀なエンジニアを求めていますが、必要な人材がなかなか集まらないという悩みを抱えています。このような状況を背景に、エンジニアが副業で請け負える仕事は増加の一途を辿っています。

仕事を終えた後の平日夜間や週末の時間を活用して副業を行うことで、定職に加え、副業の収入を上乗せすることが可能です。

さらに副業を通じて、通常の勤務では経験できないような多様なプロジェクトに参加することができ、自分のスキルセットを一層強化するチャンスが広がります。このようにして得た経験や知識は、将来的に本業にも大いに役立つことでしょう。

柔軟な働き方ができる

エンジニアという職業に就くと、働く時間や場所に大きな柔軟性を持てる場合が多くなります。特にIT業界では、企業がエンジニアの創造性や効率を最大限に引き出すために、多様な働き方を積極的に支援しています。

フレックスタイム制度を導入している企業では、従業員は自分の生活リズムに合わせて出勤時間を調整可能です。朝のラッシュを避けて仕事を開始したり、個々の集中しやすい時間帯に合わせて仕事を進めることができます。

また、リモートワークの導入はますます一般的となり、自宅やカフェなど、オフィス以外の場所で働くことができる環境が整っています。通勤にかかる時間やストレスが軽減され、家族や趣味に費やす時間も増やせるでしょう。

このように近年の働き方改革の波を受け、IT企業ではエンジニアが自分のライフスタイルに適した働き方を選択しやすく、職場と家庭のバランスをより良く保つことが可能です。

この柔軟な働き方は、単なる時間や場所の制約の解消にとどまらず、エンジニアの創造性や生産性を高め、より良い生活の質を実現するためのキーとなっています。

多様なキャリアパスを描ける

一つの分野で長年経験を積んだ後、新たな挑戦として異なる業界や職業に飛び込むことで、これまでの知識やスキルを新たな場で活かすことができます。

異なる分野への転職は一見ハードルが高く感じられるかもしれません。しかし、自分の持つ能力を多角的に発揮するチャンスとなり得ます。

業種を限定せず広い視野でキャリアを考えることで、人としての成長を促進し、多様な価値観や働き方を受け入れる力が養われます。多様なキャリアパスを描くことで、新たな可能性の扉を開き、自己の可能性を再発見することができるでしょう。

未経験からエンジニアへ転職するときに確認すべきポイント

未経験からエンジニアを目指す前に確認しておきたいポイントを、3つにまとめて紹介します。

エンジニアに転職する理由

エンジニアを目指す理由は、人それぞれ多様です。はっきりとした目的を持つことは、転職活動や新たなスキル習得の際に大いに役立ちます。

Webサイトやアプリの開発に情熱を注ぎたいとか、AIやIoTといった最先端技術の世界に携わりたい、といった具体的な目標があります。

あるいは、将来的にフリーランスとして独立し、自分のビジネスを起こしたい、または在宅での柔軟な働き方を追求したいといった願望も考えられるでしょう。

自分の進むべき道が明確であればあるほど、必要なスキルを習得する過程でのモチベーションを維持しやすくなります。

学び続けることに対する強い意志を持てれば、難しい時期でも乗り越えることができるでしょう。逆に、何となく将来性があるからという漠然とした理由ではモチベーションの維持が難しくなります。

プログラミングの世界は、覚えることが多く、挑戦そのものが高い壁として立ちはだかります。そのため、自己の目的をしっかりと見極めておかないと、中途で挫折し努力が報われない可能性もあります。

未経験からエンジニアへの道を選ぶなら、既存の経験者に追いつき、さらに活躍するための努力が求められます。挫折せずにスキルをものにするためにも、まずは何のためにこの道を選ぶのか、エンジニアに転職する理由を再確認することが成功への第一歩です。

エンジニアへの適正

エンジニアとしての将来を考える際、まずはエンジニアへの適正を判断することが重要です。エンジニアリングの道は経験や年齢、性別を問わず誰でも挑戦できるものの、自分の性格や能力がその職業に合っているかどうかは別問題です。

エンジニアとして成功するためには、論理的思考力や問題解決能力、さらには新しい知識を貪欲に吸収し続けられる柔軟性が求められます。これらの特性が備わっているかを自己分析し、適切に見極めることで、適性のある職種で働くことが可能です。

さらに、エンジニアの世界は技術の進化が速く、入社後も常にスキルや知識の向上が求められます。このような厳しい環境でも、適性があると分かっていれば、自分の能力を信じて新しい挑戦に積極的に取り組むことができます。

入社後の働く環境

エンジニアとして新たなキャリアをスタートする際には、自分にとって無理なく働ける環境を見つけることが重要です。

IT業界の企業は、それぞれ異なる職場環境を提供しています。例えば、頻繁に残業が発生する企業もあれば、リモートワークを導入し、比較的フレキシブルな勤務スタイルを許容している企業も存在します。

職場の環境は個々のライフスタイルや働く意欲に大きく影響するため、自分が快適に働ける環境が用意されているかどうかを事前に確認することが必要です。

入社後の働く環境について事前の確認を怠ると、健康面や精神面に負荷がかかり、退職せざるを得なくなる可能性があります。無理な働き方は、成長の機会を逃すことにもなりえます。自分に適した環境で最大限のパフォーマンスを発揮するためにも、入社後の働く環境を確認しましょう。

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まとめ

未経験からエンジニアを目指す際には、周囲の反対に遭うことも少なくありません。その理由には、「残業が多い」「給与が低い」「未経験からのハードルが高そう」といったイメージがあるからです。

明確な理由を持って転職を決めたり、積極的にスキルを磨いたりすることで、エンジニアとして成功している人もたくさんいます。そのためには、事前の準備や心構えが極めて重要です。

実際に企業に入るまで、その会社の労働条件や教育体制について正確に知ることは難しいかもしれません。しかし、転職エージェントの力を借りることで、詳細な業界情報や企業の内情を把握することができます。