採用動画は、応募者に自社の雰囲気や働く人の姿をリアルに伝えられる採用手法です。本記事では、採用動画が注目される理由や期待できる効果、最新のトレンド、テーマ別の事例、制作の流れと費用相場までを解説します。あわせて、採用動画を「見て終わり」にせず応募・選考につなげるための、視聴後の導線設計のポイントもご紹介します。
採用動画とは何か
採用動画とは、企業が採用活動の一環として制作する動画コンテンツの総称です。社員インタビューやオフィス紹介、1日の働き方を追った密着型など、テキストや写真だけでは伝えにくい社風・雰囲気・働く人の表情をそのまま候補者に届けられる点が特徴です。
採用サイトや会社説明会と組み合わせて使われることが多く、母集団形成の初期段階(求人媒体・SNSでの認知)から、選考中の企業理解の後押しまで、幅広いフェーズで活用されています。
採用動画が注目される理由・期待できる効果
採用動画が注目される背景には、テキスト中心の求人情報だけでは自社の魅力が十分に伝わりにくくなっているという事情があります。期待できる効果は主に次の3つです。
- 応募数・エントリー数の増加:働く人の表情や社内の雰囲気が伝わることで、求人への興味・関心を高めやすくなります。
- 入社後のミスマッチ・早期離職の抑制:入社前に実際の職場の雰囲気を確認できるため、入社後の「思っていたのと違う」という認識のズレを減らす効果が期待できます。
- 採用ブランディングへの寄与:動画は情報量が多く記憶に残りやすいため、他の採用手法と組み合わせることで採用ブランドを印象づけやすくなります。
内定後のフォローにおいても、社員と直接ふれあう機会があった学生の内定承諾率は高い傾向にあり(内定者フォローの事例も参照)、動画はその接点を補完する手段としても位置づけられます。
採用動画の最新トレンド
近年の採用動画には、次のような傾向が見られます。
| トレンド | 内容 |
|---|---|
| 縦型・ショート動画の活用 | TikTokやInstagramリール、YouTubeショートなど、スマートフォン視聴に最適化した短尺・縦型フォーマットが増えています。実際に大手企業でも、業務の一部を短時間で見せるショート動画形式が採用されています。 |
| 社員のリアルな声を重視 | 演出を抑え、社員の自然な発言や表情をそのまま見せる「台本のない座談会」形式など、等身大の動画が支持される傾向があります。 |
| SNS・LINEでの個別配信 | 採用サイトへの掲載だけでなく、SNS採用の成功事例やLINEを活用した採用活動を通じて、候補者一人ひとりの興味関心に合わせて動画を配信する運用も広がっています。 |
| インタラクティブ・生成AI活用 | 視聴者の選択でシナリオが分岐するオフィス見学動画や、360度見渡せるオフィスツアーなど双方向型のコンテンツ、生成AIを使った制作の試みも登場しています。 |
採用動画の種類・テーマ別分類
採用動画は目的によって、大きく次のタイプに分けられます。
| 種類 | 目的・特徴 |
|---|---|
| 会社紹介・コンセプトムービー型 | 企業理念やビジョンを伝え、採用ブランディングの核となる動画。採用サイトのトップに掲載されることが多い。 |
| 社員インタビュー型 | 実際に働く社員が仕事内容ややりがいを語る動画。候補者が入社後の自分をイメージしやすい。 |
| 一日密着・仕事紹介型 | 社員の1日の働き方に密着し、業務内容や社内の雰囲気をリアルに伝える。 |
| 座談会・対談型 | 複数の社員・内定者が対話形式で本音を語る動画。信頼性・親近感を高めやすい。 |
採用動画の事例(テーマ別)
各社が公開している採用動画の傾向を、テーマ別に紹介します。
会社紹介・コンセプトムービー型
限られた予算の中でも「実際の仕事現場」を軸にメッセージを伝えるトヨタ自動車九州の事例や、視聴者自身の成長意欲に訴えかける構成のデロイト トーマツ コンサルティングの事例などがあります。
社員インタビュー型
台本のない座談会形式で飾らない言葉から親近感を演出する株式会社ロフトの事例や、仕事の面白さ・難しさをストーリー仕立てで丁寧に描くマルコメ株式会社の事例が挙げられます。内定者インタビュー記事のように、テキストと動画を組み合わせて伝えるアプローチも有効です。
一日密着型
若手社員の実務に密着し入社後の姿を具体的にイメージさせるSky株式会社の事例、CAに密着しナレーションでドキュメンタリー的な深みを出す全日本空輸(ANA)の事例などがあります。
座談会・対談型
内定者による座談会で入社理由や就活時の重視点を語るレバレジーズ株式会社の事例、子育てしながら働く社員による座談会形式の事例なども参考になります。
これらはいずれも各社が公式に公開している情報をもとにした一般的な傾向の紹介です。自社で制作する際は、自社の候補者層(新卒/中途、職種等)に近いテーマ・演出を参考にすることをおすすめします。
採用動画を成功させる制作のポイント
採用動画の効果を高めるうえで、押さえておきたいポイントは次のとおりです。
- ターゲットと訴求ポイントを事前に定義する:新卒/中途、職種、どの選考フェーズで視聴されるかによって、伝えるべき情報も演出のトーンも変わります。
- 「盛りすぎない」等身大の内容にする:過度に演出された内容は、入社後の期待とのギャップを生み、早期離職につながるリスクがあります。実際の業務・雰囲気に近い内容を心がけることが重要です。
- 視聴環境に合わせた尺・字幕設計にする:SNSやスマートフォンでの視聴が中心のため、短尺で要点が伝わる構成、音声なしでも内容が伝わる字幕の有無を検討します。
- 視聴後の行動導線をあらかじめ設計する:動画を見た候補者が次に何をすればよいか(応募・説明会予約等)を明確に示すことが、効果を応募・選考につなげるうえで欠かせません(詳細は後述します)。
採用動画制作の流れ
一般的な採用動画の制作は、次のようなステップで進みます。
- 企画:目的(母集団形成/選考中の理解促進等)、ターゲット、訴求ポイント、活用場所(採用サイト・SNS・説明会等)を整理します。
- 構成・シナリオ設計:企画をもとに、動画の構成案・インタビュー項目・撮影候補者を決定します。
- 撮影:社内・現場での撮影を行います。演出を加えるか、自然な様子を収めるかは、目的に応じて選択します。
- 編集:ナレーション・テロップ・BGMを加え、活用媒体(採用サイト用の長尺版、SNS用のショート版等)に合わせて複数バージョンを制作するケースもあります。
- 配信・活用:採用サイト、求人媒体、SNS、説明会資料など、候補者との接点に応じて配信します。配信後は視聴数や視聴後の行動(説明会予約・エントリー等)も合わせて確認することが望ましいです。
採用動画の制作費用相場(内製 vs 外注)
採用動画の制作費用は、尺・演出の作り込み・撮影日数や場所数・出演者の有無・二次利用範囲などによって大きく変動するため、一律の相場を示すことは難しく、多くの制作会社も「内容に応じて個別見積もり」としています。費用を左右する主な要因と、内製・外注それぞれの特徴は次のとおりです。
| 比較項目 | 内製 | 外注(制作会社) |
|---|---|---|
| 費用の傾向 | 撮影・編集機材やスキルがあれば低コストに抑えやすい | 企画力・演出力・機材面のクオリティが期待できる分、内製より費用がかかりやすい |
| クオリティ | 担当者のスキルに左右されやすい | 一定水準の映像クオリティを確保しやすい |
| スピード感 | 社内リソース次第で柔軟に対応できる | 企画〜納品まで一定の期間が必要になることが多い |
| 向いているケース | 社員インタビューなど頻度高く更新したいコンテンツ | 会社紹介・コンセプトムービーなど採用ブランディングの核となるコンテンツ |
費用を左右する主な要因としては、動画の尺、撮影日数・場所数、出演者の手配有無、ナレーション・BGMなどの編集の作り込み、SNS用ショート版など制作本数、二次利用(広告出稿等)の範囲があります。具体的な金額は制作会社によって幅があるため、目的と予算を明確にしたうえで複数社から見積もりを取ることをおすすめします。
採用動画の効果を最大化する鍵は「動画後」の選考体制
採用動画は、候補者の興味を引き、母集団を形成するための強力な入口です。しかし、動画を視聴して興味を持った候補者が、そのまま応募・選考へと進んでくれるとは限りません。「あの候補者、動画も見てくれて反応も良かったのに、選考の案内を送っても反応がない」という状況は、多くの採用担当者が経験しているのではないでしょうか。
この歩留まりの悪さは、動画の内容そのものよりも、視聴後・接点後に候補者の熱量が冷めないうちに次の行動へつなげる導線が用意されているかどうかに左右されます。実際に、かんりくんの説明会アンケート機能を活用し、説明会の最中にアンケート回答から選考予約までを一つの流れで完結させた場合、説明会からの選考参加率は平均70%という実績があります(利用企業平均実績・自社調べ)。予約後の日程調整も自動化する仕組みと組み合わせることで、担当者の対応が追いつかず候補者を待たせてしまう事態も防ぎやすくなります。
動画コンテンツと合わせてこの導線設計を行った利用企業の例では、教育体制に関する候補者からの質問に対し、テキストではなくショート動画(リール動画)で個別に回答するという施策を実施しました。あわせてLINEを活用した候補者コミュニケーションを整備し、質問への回答を翌日中に配信することを徹底した結果、次のような改善が見られました(利用企業の実績・自社調べ、施策実施前後の比較)。
| 指標 | 施策前 | 施策後 |
|---|---|---|
| LINE連携率 | ー | 97% |
| 説明会参加率 | 60% | 70% |
| 1次選考参加率 | 50% | 68% |
| 面談予約率 | 60% | 82% |
内定辞退の観点でも、内定辞退理由の1位は「より志望度の高い企業から内定が出たこと」(49.8%)であり(出典:マイナビ「2026年卒 企業新卒内定状況調査」)、志望度は内定後も含めて継続的に高め続ける必要があることがわかります。学生が企業選択で最も重視するのは「安定している会社」(51.9%、7年連続最多)である一方、効果のあった内定者フォロー施策の1位は「内定者懇親会」(59.6%)というデータもあり(出典:マイナビ「2026年卒 企業新卒採用活動調査」「2026年卒 大学生就職意識調査」)、動画やイベントなど”人となり”が伝わる接点を、選考の節目ごとに積み重ねていくことの重要性がうかがえます。
つまり、採用動画を制作する際は「良い動画を作ること」自体をゴールにせず、視聴後にどのようなアクションへつなげるか、そのアクションを候補者・採用担当者双方の手間なく実行できる体制になっているかまで含めて設計することが、投資対効果を左右するポイントです。
まとめ
採用動画は、テキストだけでは伝わりにくい社風や働く人の雰囲気を候補者に届け、応募数の増加や入社後のミスマッチ抑制、採用ブランディングに貢献する手法です。効果を高めるには、最新トレンドやテーマ別の事例を参考にしながら、自社の候補者層に合った種類・演出を選ぶことに加え、動画を視聴した候補者の熱量が冷めないうちに、選考予約や次のアクションへとつなげる導線を用意しておくことが欠かせません。
採用一括かんりくんでは、説明会アンケートからの選考予約、LINE連携、AIによる評価の自動集約など、動画やイベントで高まった候補者の熱量を歩留まりよく選考へつなげる機能を備えています。母集団形成した候補者への個別アプローチを強化したい場合は、AIスカウトもあわせてご検討いただけます。採用動画の企画から、視聴後の導線設計まで含めてお悩みの際は、お気軽に無料相談をご利用ください。
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