採用における歩留まりを改善する方法

多くの学生を募り、エントリー数を増やすことが採用のすべてではありません。母集団が多くてもその後の選考に進む学生の割合を見誤る、もしくは学生からの採用辞退を招いてしまうことで想定外の採用結果に陥ります。
採用工程で重要なポイントとして「歩留まり・歩留まり率」というものがあります。
今回は低迷しがちな歩留まりを改善し、新卒入社までつなげる施策をご紹介します。

▼採用の「歩留まり」とは

言葉としては製造業なので用いられるものですが、採用においては次ステージを用意するアクションを実施した後実際にそのステージに進む学生の割合のことを指します。

Ex. 
ステージ:1次面接
アクション:書類選考の合格および1次面接のご案内をメールで通知リザルト:1次面接設定人数:10人→1次面接参加人数:5人=歩留まり率50%

▼歩留まりが低下する原因

【外的要因】

①内定取得数の増加

リクルートキャリア就活白書によれば、2019年の内定取得者数は4年前の2015年内定取得者数から0.34ポイント上がった2.36社となっています。
一人当たりが取得し得る内定数が増えれば、結果として自社選考に残る学生の割合や内定を承諾して入社する割合も変動します。

②労働問題の顕在化とイメージの悪化

残業時間や名ばかり管理職といった法律上の問題をはじめとして、企業の悪評が容易に拡散されるソーシャルメディアの存在が大きくなりました。これらによって学生が一般的に持つ仕事に対するイメージが悪化しているといっても過言ではありません。
つまり、少しでも不安要素や納得できない部分があると内定すら辞退するケースが発生するということです。

【内的要因】

①学生の動機付けや採用ブランディングが不十分

説明会に行った企業の業界における立ち位置がよく理解できない、どういう魅力があるのかいまいち伝わらなかったとなれば、「ここで働きたい」という動機を作り出すことができません。複数の選考を受ける中でスケジュールが合わなくなってくるだけで選考を辞退することも珍しくありません。
仮に内定まで出したとしても、学生は複数の内定を持っている可能性が高いため、ブランディングが不十分だと競合他社に承諾することもあるでしょう。

②学生への連絡・説明が不十分

エントリーが来た時点でメールを送信することはもちろんのこと、面接の設定や面接後の対応を細やかなに行うことが印象アップにつながります。
それに加えて、仕事の具体的な説明があると学生が働くイメージをより明確にできるため、選考に進む意欲を向上させることができます。

③そもそも企業と学生がマッチしていない

どれだけブランディングを行い、学生と綿密なコミュニケーションをとっても企業の持つビジョンと学生が目指したい方向が異なれば留まる可能性は低いでしょう。
無論お互いのために無理に採用を決行するのはよくありません。学生との相違が少ない採用過程を実現するためにはエントリー段階から見直す必要があるでしょう。

▼歩留まり項目と低下ポイント

①エントリー→書類選考or 説明会
②面接設定→面接実施(2次面接以降も同様)
③内定→内定承諾
④内定承諾→入社

これらの段階で歩留まり低下を抑えたいステージとしては①の母集団形成からの本選考に乗せる①と、内定承諾につなげる③になります。
②は選考が進むと最後まで受けようとする学生の割合が、途中で辞退する学生の割合よりも多いため、防止ポイントとしては優先度は低いです。
④は内定者フォローという形で対策をする必要があります。

①エントリー時点での自動返信、面接完了対象への一括案内

早めのアプローチで母集団を取りこぼさないために、自動返信は必須です。
また選考を進む学生にも次面接2~3日前の確認や24時間以内の返信対応など、マメに連絡を行うことで選考中の歩留まり率を高く保てます。

②内定者に選択の自由を伝えつつ、相談に乗る

いわゆるオワハラのような圧力がある内定通知は学生を遠ざけてしまうばかりです。
合格者を快く歓迎すること、そして悩みがあればいつでも相談に乗る仕組みがあれば、頼もしく見えます。

③内定者との距離を縮めるSNSや懇親会イベント

内定者のフォローとしてインターンを実施するほか、学生と年齢の近い社員とが気軽にコンタクトをとれるSNSを活用する方法があります。社員と社内の雰囲気を知ることで得られる働くイメージは安心感と信頼感を与えることができます。

▼まとめ

歩留まり率を向上させるには、まずどこに問題があるのかを知らなければなりません。その上で採用活動を改善する包括的な施策を打つことで歩留まりが良くなるでしょう。
採用管理ツールは施策に直接作用し、サポートを行う不可欠なツールです。
歩留まりを見直す際は、是非ツールも見直してみてください。