新卒離職率の平均・現状とは?離職を防ぐためにできること

以前話題になった「七五三現象」という言葉を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。

現在は中卒新入社員が6割、高卒新入社員が4割、大卒新入社員が3割離職しているのが現状です。

しかし、新入社員の離職は他社員に対してマイナスな影響があるため、離職がなくなるよう改善と対策をする必要があります。

本記事では特に大学卒新入社員が離職してしまう原因を分解し、離職を防ぐためにできるポイントについてご説明いたしますので参考にしてください。

離職率とは?

そもそも離職率とはある一定の期間の中で離職をした社員の数の割合を指します。

 期間によって離職率の値は変化するため、どの期間を指しているのかを揃えた上で他社や平均と比較する必要があります。

離職率の計算方法

離職率の出し方は

  離職者数÷当初の従業員数×100  

です。

例えば期初の従業員人数が100名の従業員数の企業において3年間で離職者数が10名だったとします。この時の離職率は10÷100×100=10%となります。

新卒離職率の現状

新卒の離職率は業界や規模、地域によって異なります。この項目では厚生労働省が公表しているデータから新卒の離職状況について解説いたします。

参照:新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)を公表します

新卒入社3年以内の離職率

まずは新卒入社3年以内の離職率についてです。中卒や高卒入社新卒の離職率は昨年比では上昇傾向にあるものの、七五三現象と比べると減少傾向にあります。

しかし、大学卒の入社3年以内の離職者は依然として3割を上回って推移しています。

【 中学 】 52.9% (▲4.9P) 【 高校 】 37.0% (+1.1P) 

【 短大等 】42.6% (+0.7P) 【 大学 】 32.3% (+0.8P)

業界別の新卒離職率の傾向

続いて業界別大学卒新卒離職率の状況についてです。離職率が低い業種no1は「電気・ガス・熱供給・水道業」が10.5ポイント、次いで「鉱業・採石業・砂利採取業」が13.5ポイントと続いています。高い業種をみると、「宿泊業・飲食サービス業」が51.4ポイント、次いで「生活関連サービス業・娯楽業」が48.0ポイントと続いています。

高卒の離職率と比べても離職率が高い業種に差はなく、同様の業種が高くなっているようです。

入社前や選考中からどのような業務を行うのかがはっきりしている専門性の高い業種は、離職率が低いことがわかります。

事業所規模別の新卒離職率の傾向

業界別新卒離職率同様に大卒の事業規模別離職率の状況についてご紹介します。従業員規模が5人未満の会社では54.1%、1000人以上の会社では26.1%と28%の差があります。

事業規模別離職率は従業員規模が少ないほど高いという結果になっており、企業規模が大きいほど離職率は低いことがわかります。

新卒が離職してしまう主な要因

新卒市場では一定数の離職が起こってしまっていることについて実際のデータから読み解いてきました。では、新卒が離職してしまう主な要因はどこにあるのでしょうか。

よく要因として挙げられる4点をご紹介いたします。

職場の人間関係

まず1点目の要因は、「職場の人間関係」です。

厚生労働省の雇用動向調査結果の概況によると転職入植者が前職を辞めた理由別割合において「職場の人間関係が好ましくなかった」という理由が個人的理由の「その他」を抜いて多く挙げられています。

同僚、上司、先輩などと良い人間関係を築けないと、悩みがあっても相談ができなかったり、仕事自体も辛くなってしまい、退職を選択してしまっているようです。

残業や休日の少なさなど労働条件への不満

2点目の要因は、「残業や休日が少ないなどの労働条件への不満」です。仕事量が多く休日を返上しないと仕事を終えられなかったり、労働時間が長いなどの状況が起こっている場合は離職の要因になりやすいです。

特にZ世代はフリーランスやユーチューバーという会社に囚われない働き方を身近にして育ってきた世代です。そのためワークライフバランスや働きやすさを重視する傾向にあるためです。

求人内容とのギャップ

3点目の要因は、「求人内容とのギャップ」があった場合です。専門性の高い業種は業種ごとの離職率で比較した際に離職率が低い傾向にありました。この場合、仕事内容、求人内容に関してギャップが少ないことが考えられます。

実際の業務に適性がなかったり、思い描いていた仕事内容ではなかったり、想定していた求人内容とギャップを感じてモチベーションが低下し離職に繋がってしまうケースがあります。

給与/福利厚生への不満

4点目の要因は、「給与や福利厚生への不満」です。自らの仕事に対する評価が低いとモチベーションは下がってしまいます。

転職活動をすると現状の給与よりも高い企業もあります。そうすると、他の企業が良く映ってしまい、離職を意識することも十分にあるでしょう。

新卒離職率を防ぐためにできること

新卒の離職は既存の社員に大きな悪影響を与えてしまう可能性があるため、できれば避けたいというのが担当者の方の本音だと思います。

離職を防ぐためにできることを5つお伝えいたします。

採用活動時のアピールポイント、企業情報の明示

まず1つ目は採用活動時にアピールするポイントと企業情報を明示することです。どんな仕事ができるのか、どんな福利厚生を持っているのか、企業によって強みは様々ですので、必ずアピールのポイントを抑え、そのアピールポイントに魅力を感じている候補者を採用できるよう努めましょう。また、この項目でのポイントは企業の「良い面だけ」を伝えすぎないことです。良い面ばかりをみて入った候補者がギャップを感じて離職することを避けるためです。

入社前研修の充実

2つ目は「入社前研修の充実」をさせることです。入社前のオンボーディングは内定が決まってから入社までの期間にモチベーションを担保するために効果的です。加えて、仕事の厳しい面を伝えることで入社前に辞退者が出てしまう可能性もありますが、その上で入社した候補者の定着を期待できます。

例えば内定者に向けたインターンを用意したり、先輩社員との面談を設けたり、人事から数回の入社前研修を設けるなどの施策を行えると良いでしょう。

定期的なフィードバックやキャリアパスの提示

3点目は「定期的なフィードバックやキャリアパスの提示をすること」です。

入社後に新入社員のキャリア形成について一緒に考える時間をとると良いでしょう。入社前や就職活動中にはキャリアについて考える時間があり、将来に対して前向きな気持ちを持っていることが多いですが、仕事が始まると、新しいことや目の前のことでいっぱいになることもあります。目標設定の面談やキャリア面談を通じて将来をイメージした際の今の業務との関わりなどを紐付けることで仕事へのモチベーションを高め、離職を防止できるでしょう。

ワークライフバランスの改善

4点目はワークライフバランスの改善に取り組むことです。労働条件がよかったり福利厚生が整っている職場では離職率が低い傾向にあります。従業員数が多くなるにつれて離職率が下がっていることもこの要因が影響していると言えるでしょう。長時間の労働や休日出勤、残業時間など働き方を見直しましょう。

また、福利厚生を整えるなども、社員のロイヤリティを高めることができるため効果的です。

社内コミュニケーションの活性化

5点目は「社内のコミュニケーションを活性化させる」ことです。コミュニケーションを増やすことは社内の風通しを良くすることに直結します。風通しが良くなると新入社員の声を拾いやすいようになり、加えて新入社員が意見を出しやすいとオーナーシップを持って取り組んでもらえるようにもなります。

まとめ

離職率が高いと、社員のモチベーションを下げるだけでなくせっかく投資した採用や教育のコストが無駄になってしまったり、追加で採用したくとも採用するのに時間もコストもかかってしまったりと様々な悪影響が考えられます。

離職がおきないように職場環境の整備に取り組んだり、フォローの施策を考えるなどを行う対策をすることで離職率の低下を期待できるでしょう。