今すぐ使える!採用KPI作成テンプレート
採用業務を成功させるには、データに基づく計画と検証が欠かせません。その鍵となるのが「採用KPI」の設定と管理です。とはいえ、「KPIをどのように設定し、管理表に落とし込めば良いのか?」と悩む人事担当者も多いでしょう。
そこで本記事では、採用KPIの基本や設定手順を解説するとともに、すぐ使える採用KPIシートの無料テンプレートを提供します。テンプレートのダウンロード方法や使い方も詳しく紹介しますので、ぜひ活用して自社採用の効率化・最適化にお役立てください。
\採用KPIエクセルテンプレートを今すぐ無料ダウンロード!/
採用KPIとは何か?なぜ重要なのか
「採用KPI」とは、企業が採用活動において設定する重要業績評価指標のことです。簡単に言えば、「最終的な採用目標(KGI)を達成するために途中経過として設定する数値目標」を指します。たとえば、新卒採用で「年度内に内定者7名確保」というKGI(最終目標)を掲げた場合、その達成に向けて各プロセスで追うべき指標(応募者数や面接通過率、内定辞退率など)を定める──この各プロセスの指標が採用KPIです。
近年、人材採用の分野でもKPIによる管理手法が浸透してきました。採用KPIを設定することで、採用活動の進捗を定量的に評価・把握でき、どの段階で課題が生じているかを客観的に見極められます。結果として、現状に即した改善策を打ちやすくなり、採用成功までの最短ルートを見つけるのに役立ちます。
重要性: 人材確保が難しい昨今、採用KPIの活用により素早くPDCAを回すことがますます重要になっています。定量目標があることでチーム内の認識合わせが容易になり、効果測定のサイクルも短くできるためです。言い換えれば、採用KPIは採用活動の羅針盤となり、採用担当者に「今どこに注力すべきか」「どの施策が奏功しているか」を示してくれるのです。
採用KPIの代表的な指標項目【使用例】
採用KPIとして設定される指標は、各企業の採用プロセスや採用目標によって様々ですが、一般的に次のような項目が利用されています。
募集・応募段階
応募者数(母集団数)、求人閲覧数・クリック数、各採用チャネル別の応募者数や応募転換率、応募から初回連絡までのリードタイム等。募集開始からどれだけ母集団を形成できているかを測る指標です。
説明会・イベント段階
会社説明会や採用イベントへの参加者数、参加率(エントリー者に対する出席率)、説明会後の選考応募移行率、説明会アンケートによる満足度など。母集団を選考フェーズへいかに繋げられたかを測定します。
書類選考段階
書類選考通過者数・通過率、書類選考から次フェーズ(一次面接等)へのリードタイム、不合格理由の内訳(スキル不足・経験不足など)。書類段階でのフィルタリング効果や課題を数値で捉えます。
面接段階
一次面接実施数、通過者数・通過率、面接辞退率、各面接官の評価平均点、各面接から次段階までのリードタイム。面接プロセスの質と歩留まりを示す指標です。
内定〜入社段階
最終面接通過率(内定率)、内定承諾率、内定辞退率、入社率など。内定者確保や辞退防止の成果を測ります。また、入社後定着率(一定期間内の離職率)をKPIに含める場合もあります。
上記は一例ですが、このように各選考フェーズごとにKPIを設定することで、採用プロセスを細分化して管理できます。何名の応募があれば目標の内定者を確保できるか、ボトルネックはどこか、といったことが数値ではっきりするのです。
メモ: 企業によって重視すべきKPIは異なります。例えば大量採用が必要なケースでは「応募者数」や「書類通過率」が特に重要になる一方、高スキル人材を少人数採用するケースでは「面接通過率」や「内定承諾率」が重要になる、といった違いがあります。自社の採用方針に合った指標を選定しましょう。
採用KPIの立て方・手順(KPI設定のステップ)
では、具体的に採用KPIをどのように設定すればよいのでしょうか?ここでは採用KPI設定の基本ステップを紹介します。
最終目標(KGI)の設定
まずは企業としての採用KGI(Key Goal Indicator)を明確にします。KGIとは「採用活動の最終的なゴールとなる数値目標」で、例えば「今年度中に新卒5名・中途3名の計8名を採用する」のように具体的な数字で定めます。このKGIがゴール地点です。
採用フローを書き出す
次に、自社の採用フロー(募集〜応募〜面接〜内定〜入社までの流れ)を洗い出します。どの段階を経て最終ゴールに至るのか、プロセスを可視化します。各段階の担当者や役割も整理しておくと、後工程のKPI設定がスムーズです。
実はこの部分こそ、後述するテンプレートの「選考フロー」シートが活躍します。理想的な選考プロセス像を書き出しつつ、現状の課題や抜け漏れを洗い出しましょう。
現状データと歩留まり率の把握
可能であれば過去の採用実績データを確認し、各ステップの歩留まり率(通過率)を算出します。たとえば「応募100人中書類通過20人=20%」「一次面接通過率50%」等、現状値を把握することで、次に設定するKPI値の妥当性を考える材料になります。テンプレートの「実績分析」シートに昨年度などのデータを入力すれば、各段階の歩留まりが自動計算されます。現状を正確に捉えることが重要です。
各段階のKPI目標値を設定
KGIを達成するために、各選考ステップで必要な数値目標(KPI)を定めます。ここで逆算の発想を使います。最終的に〇名の入社が必要→そのためには内定〇名が必要→そのためには一次面接通過〇名……と逆方向に計算します。自力で計算するのが難しい場合でも、テンプレートを使えば目標入社数と理想の歩留まり率を入力するだけで必要な応募者数や各段階の数値が一瞬で算出されます。例えば「入社5名には応募〇〇名が必要」のように自動で算出されるため、計画を立てやすくなります。
KPIのSMARTチェック
設定した各KPIが適切かどうか、SMARTの法則で検証しましょう。【Specific(具体的)】【Measurable(測定可能)】【Achievable(達成可能)】【Relevant(関連性がある)】【Time-bound(期限がある)】という5つの観点で、KPIの妥当性を確認します。
たとえば「〇月末までに応募者○名確保」といったKPIは、具体的で測定可能・期限ありですが、社内の採用力で達成可能か、採用目標(KGI)との関連は適切か、をチェックするイメージです。SMARTに沿ったKPI設定は、無理のない計画と的確な進捗管理につながります。
このようなステップでKPIを設定すれば、あとは実行あるのみです。しかし計画通りに進まないことも多々あります。そこで次章では、策定したKPIを運用する際のポイントやKPIシートの活用法を解説します。
採用KPI作成・運用のポイント(効果的に活用するために)
採用KPIを立てっぱなしにせず、現場で運用して成果につなげるためのポイントを押さえておきましょう。以下にいくつか重要なポイントと注意点をまとめます。
自社に合った指標を選ぶ
前述のとおり、会社によって重要なKPIは異なります。大量採用重視なら母集団形成の指標を、質重視採用なら選考通過率や辞退率を重視するなど、自社の採用目標・課題にマッチした指標を選定しましょう。他社の真似ではなく、自社にとって意味のあるKPIを設定することが大切です。
必ず期限を設定する
KPIには達成期限を設けましょう。目標数値に期限がないと、だらだらと達成を先延ばしにしてしまう恐れがあります。「今期末までに○件」など期限つきで設定することで、計画にメリハリが生まれます。期限があることでチームに適度な緊張感が生まれ、業務の効率も上がります。
アクションプランもセットで用意
KPI達成のための具体的施策(アクションプラン)もあらかじめ考えておきましょう。KPI数値だけ決めても行動が伴わなければ意味がありません。「応募者数100名確保」がKPIなら、「求人媒体Xに○件掲載する」「社員紹介制度を実施する」など実行策を決めておきます。もし途中で計画が効果を発揮しなければ柔軟に施策を見直すことも重要です。
常に進捗をモニタリング
KPIは立てたら終わりではなく、リアルタイムで進捗を追跡し、問題があれば速やかに改善策を講じます。週次・月次でKPIシートを更新し、予定値と実績値を比較しましょう。たとえば「応募者が目標比◯%不足」など早期に発見できれば、追加募集をかける等の対策をすぐ打てます。定期的な確認と迅速な対応が採用成功率を高めます。
データ収集方法を明確に
KPIに必要なデータをどう集めるかも決めておきます。例えば応募者数は採用管理システムから取得、内定辞退率はスプレッドシートで手動集計、など最初にルール化しておくと良いでしょう。データ不足や不正確なデータは、せっかくの分析を誤らせる原因になります。正確なデータ収集体制を整えることもKPI運用の一環です。
以上のポイントを意識してKPIを運用すれば、単に数値管理するだけでなく採用活動の質そのものを改善するPDCAサイクルが回り始めます。
【テンプレート解説】採用KPIシートの使い方とダウンロード方法
では、この記事の冒頭でも案内した「採用KPIシート」無料テンプレートの具体的な使い方を解説します。ダウンロードがまだの方は、以下のリンクから入手してください。
\採用KPIエクセルテンプレートを今すぐ無料ダウンロード!/
※クリックするとGoogleスプレッドシートのコピーボタンに飛びます。コピーしてご利用ください。(社内でExcelファイルをお使いの場合はインポートしてご利用ください)。
テンプレートを開いたら、主に使うシートは「選考フロー」と「実績分析」の2つです。以下、手順に沿って使い方を説明します。
まず、貴社の採用チーム内で「今年度の採用計画」を整理しましょう。新卒・中途それぞれ何名採用したいのか、どのチャネルからの採用を想定しているか、といった情報です。これをもとにテンプレートへ入力していきます。
1. 「選考フロー」シートで採用プロセスを書き出す
テンプレートの「選考フロー」シートを開きます。ここには予め一般的な採用ステップが見出しとして並んでいます(例:説明会、一次選考、二次選考、面談、最終選考、内定〜承諾、承諾後フォロー等)

選考フローの例(各ステップの目的・担当・アクションを整理するシート)。自社の採用プロセスに合わせて自由に追加・編集可能。ブルーの項目は記入例。
各ステップについて、以下の項目を埋めていきます(不要な項目は「-」や空欄で構いません)。
- 理想の状態: そのフェーズで理想的に達成したい状態を書きます。例:「自社により興味を持ってもらう(説明会)」や「自社で活躍できる人か見極める(面接)」等。
- 担当: そのフェーズの責任者は誰か(人事担当者、現場部長、役員など)。
- 役割とスタンス: 担当者が果たすべき役割や望ましい姿勢。例:「丁寧かつ公正な評価をする」「会社のビジョンミッションを熱意を持って伝える」等。
- 選考官: 実際に面接等で評価する人。一次面接なら「人事担当と現場リーダー」など。説明会や書類選考では「-」とするケースもあります。
- 行動: 具体的に行うことを書きます。例:「説明会資料を作成」「面接官トレーニングを実施」など各段階で必要なアクションです。
- メモ: 各フェーズにおける課題や工夫を書き留めます。例えば「説明会後のフォローが課題」「二次面接辞退が多いので日程調整迅速化」など、今後改善すべき点を記録します。
このシートを埋めることで、自社の採用プロセス全体像と各段階の課題が見えてきます。「説明会から選考応募への移行率が低い」など課題が明文化されれば、次の対策検討に繋がります。また、採用チーム内でプロセスを共有する資料としても活用できます。
2. 「実績分析」シートでKPIシミュレーション&実績管理
続いて「実績分析」シートを使って、採用KPIの数値計画を立てます。このシートは以下の手順で活用します。

(A) 目標採用人数(KGI)の入力
シート上部のオレンジ色セルに、今年度(または対象期間)の採用目標人数を入力します。新卒・中途やチャネル別に項目が分かれている場合は、それぞれ設定してください(例えば「新卒:◯名、キャリア採用:◯名」等)。
(B) 過去実績値の入力(任意)
シート上部のオレンジ色セルに、今年度(または対象期間)の採用目標人数を入力します。新卒・中途やチャネル別に項目が分かれている場合は、それぞれ設定してください(例えば「新卒:◯名、キャリア採用:◯名」等)。
(C) 想定歩留まり率の入力
次に、今年度の目標歩留まり率を各ステップの青色セルに入力します。たとえば「書類選考通過率50%」「一次面接通過率50%」「内定承諾率80%」等、目標とする数値を設定します。ここはステップ1で設定したKPI目標値に相当します。過去実績を踏まえて改善を織り込んだ値にすると良いでしょう。
(D) 必要母集団数の算出(自動計算)

目標歩留まり率と最終目標を入力すると、シートが自動的に各段階で必要な人数を計算します。たとえば「内定5名には一次面接◯名必要」「一次面接◯名には応募◯◯名必要」のように、各フェーズの必要人数が算出されます。それらがKPIツリーとしてツリー図または一覧表で表示され、採用計画としてまとめられます。この数字こそが設定すべき各KPIとなります。
(E) 実績値のモニタリング
採用活動が進んだら、同じシートに最新の実績値を入力していきます。例えば毎月末に「その時点での応募者数・面接通過者数・内定承諾者数」を入力すれば、シートが自動で現時点の歩留まり率や目標達成率を計算して表示します。達成状況が数値で一目瞭然になるため、進捗管理ツールとして非常に便利です。「会社説明会参加率」「一次選考辞退率」など主要な指標は全て自動計算されます。
こうして、シミュレーション(計画)とモニタリング(実績追跡)を一元管理できるのがテンプレートの強みです。計画段階では「各チャネルで何名の応募を集めればよいか」までシミュレーションできますし、実行段階では「今どの段階で目標未達か」を即座に把握できます。
テンプレート活用のポイント: シートには基本的な計算式や項目が入っていますが、自社の状況に合わせてカスタマイズして構いません。選考フローが異なれば段階を追加したり、逆に不要な項目は削除するなど調整してください。重要なのは、自社の採用プロセスにフィットした形で使うことです。
採用KPIシート導入で得られる効果と活用例
最後に、提供した採用KPIシートテンプレートを活用することで得られる効果や活用シーンを補足します。
採用計画の見える化
シミュレーションにより「必要な母集団数」が明確になるため、例えば新卒〇名採用には合説◯回参加・求人〇件掲載が必要など、具体的な計画を立てやすくなります。闇雲に「良い人が来るのを待つ」のではなく、計画的に母集団形成や選考実施ができるようになります。
課題の早期発見
KPIシートで各段階の進捗を管理することで、「一次面接通過率が低下している」「内定辞退が増えている」などの変化にすぐ気付けます。例えばある月に一次面接通過率が目標を下回ったら、すぐ面接プロセスを見直す、といった俊敏なPDCAが可能です。
関係者間の共有ツール
シートは経営層や現場責任者への報告資料としても使えます。数値に基づいて「どこに課題があるか」を説明できるため、上層部の理解を得やすく、追加リソースの提案などもしやすくなります。また、面接官など現場メンバーともKPIを共有すれば、チーム全員が同じ目標認識で動けます。
次年度以降の計画精度向上
蓄積したデータを分析すれば、「毎年◯月は応募が落ちる」「内定承諾率は新卒より中途の方が高い」など傾向分析ができます。その結果を踏まえて翌年の採用KPIを見直すことで、より精度の高い計画策定につながります。
データ収集・分析を効率化するツールの活用も検討を
なお、採用KPIの運用に慣れてきたら、採用管理システム(ATS)などツールの導入も視野に入れてみてください。専用システムを使えば、求人媒体や応募フォームから応募データを自動で集約し、安全に蓄積できます。
また分析機能が充実しているため、手作業では見落としがちな傾向分析も容易です。例えば当社提供の「採用一括かんりくん」のようなATSでは、募集〜選考〜内定まで一気通貫でデータを管理でき、KPIモニタリングの手間を大幅に削減できます。人為的ミスも減り、より正確なデータに基づいて採用戦略を練ることができるでしょう。
まとめ
採用活動においてKPIを設定・管理することは、採用成功への近道です。そして、そのKPIを運用するためのシート(テンプレート)は、人事担当者の心強い武器になります。
本記事では採用KPIの基礎から立て方、運用ポイント、そして実際に使えるテンプレートの活用方法まで包括的に解説しました。ぜひ提供した採用KPIシート無料テンプレートをダウンロードして、明日からの採用業務にお役立てください。数字に基づく計画と改善で、貴社の採用活動がより戦略的かつ効果的に進むことを願っています。