「ChatGPT×採用 活用ガイドブック:プロンプト付き」
Chat GPTは代表的な生成AIとして注目を集めており、業務工数削減などの業務改善に活用できると聞いたことのある担当者様も多いのではないでしょうか。
本記事では採用活動においてchatgptはどのように活用できるのか、プロンプトも交えて徹底検証いたしました。
Chat GPTとは?
Chat GPTとは、OpenAIが開発した人工知能技術の1つです。
ユーザーがプロンプトと呼ばれる質問や指示を入力すると、人間と会話をするように自然にプロンプトへの回答を返すことができます。Chat GPTはテキストやネット上のデータを元に学習しており、質問に答える以外にも、会話を続けたり、文章を生成すること、リマインダーとしての活用などもできます。
Chat GPTでできること
では、Chat GPTを使って具体的にどのようなことができるのかについてみていきましょう。
文章の要約
まず1つ目は、文章の要約です。Chat GPTは与えられた文章の文脈を理解して内容を要約することができます。
長い記事や、研究レポートなどを読む際、時間がない場合や重要なポイントを素早く理解したい場合に活用できるでしょう。
ブレインストーミング
2つ目は、ブレインストーミングです。
Chat GPTは人の代わりに新しいアイデアを提示することができます。適切な情報を学習させた上で質問すれば、データを元にアイデアを出してもらうことも可能です。
さらに、欲しいアイデアの数を指定することもできるため、アイデアが出ずに行き詰まってしまう際などには多くのアイデアを生み出すこともできるでしょう。
サポートやヘルプデスク
3つ目は、サポートやヘルプデスクとして活用することです。
Chat GPTは質問に対して回答を行うことができます。この機能を応用し、ユーザーの質問に自動応答することを可能にします。
例えば、一般的な質問やFAQの回答を学習させておけば、社員の稼働していない時間帯にも24時間対応でユーザーをサポートすることができます。
ChatGPT活用実態
近年の調査によると、日本企業におけるChatGPTの認知度は高い水準にありますが、実際の業務での利用率はまだ限定的であることが示されています。それに比べて、アメリカではChatGPTをはじめとする生成AIのビジネス現場への導入が、急速に進んでいます。それぞれどのような違いや背景があるのでしょうか。
日本企業のChatGPTの利用率
株式会社MS-Japanの調査では、管理部門におけるChatGPTの利用率はわずか7%に留まっていると報告されています。しかし、同じ調査でChatGPTの認知度は76%と高く、多くの企業がその存在は知っているものの、本格的な導入には至っていない現状がうかがえます。
そして、企業がChatGPTの導入に踏み切れない理由としては、セキュリティ面への懸念が挙げられることが多いです。機密情報の漏洩リスクなどを考慮し、慎重な姿勢を取る企業が少なくありません。
参照:株式会社MS-Japan『管理部門のChatGPT使用実態調査』
アメリカのChatGPT活用実態
株式会社MM総研の調査によると、2023年5月末時点でアメリカ企業の半数以上にあたる51%がすでに生成AIをビジネスに導入していると報告されています。この高い導入率は、アメリカ企業が業務効率化や生産性向上のためにAI技術を積極的に取り入れていることを明確に示しています。
参照:株式会社MM総研『日米企業におけるChatGPT利用動向調査(2023年5月末時点)』
Chat GPT活用メリット
どのように採用でChat GPTを活用できるのかについてお伝えいたしましたが、実際に上記のような場面でChat GPTを活用した場合、メリットはあるのでしょうか。
本項目では活用のメリットについてご紹介いたします。
採用業務効率化、リソースの補充
1つ目のメリットは、採用業務の効率化、リソースの補充を見込める点です。
Chat GPTは人事の代わりに、「長文作成」「情報整理応「簡単な候補者対応」を行うことができます。
例えば、Chat GPTは人間よりも速いスピードで文章を出力することができ、「3000字以内で求人情報を作成する」場合、人間とChat GPTとではChat GPTの方が素早く作成ができるでしょう。
その他にも、Chat GPTのチャットボットを活用すれば簡単な候補者対応ができるなど、人事の業務負担をなくすこともできます。
採用コストの削減
2つ目のメリットは、採用コストの削減ができる点です。メリットの1点目でご紹介したように、Chat GPTが人事の業務を負担できるため、元々は人事が負担しなければならなかった時間を別の業務時間に充てることができます。
そうすると「業務の生産性が上がる」、「人事の人件費の増加を防ぐ」という観点で結果採用コストの削減に繋がります。
グローバル採用への対応
3つ目のメリットは、グローバル採用への対応を可能とさせる点です。
Chat GPTは多言語に対応しているため、自然に外国籍の応募者とやり取りができるようになり、グローバル採用の対応が期待できます。
特に、2023年9月に実装された、音声でAIとやり取りができる機能を活用すると、リアルタイムに言語翻訳が可能です。そのため、面接などにおいての応募者とのやり取りも、言語の壁を感じることなく同様に評価を行うことができるでしょう。
情報整理の機能で偏りなく正しい判断のサポート
4つ目のメリットは、情報整理の機能で偏りなく正しい判断をサポートすることです。
人は先入観やこれまでの人生で育んできた価値観や経験によって、全く偏りのない判断をすることは難しいでしょう。
採用担当者の方は、面接官が異なれば候補者に対する評価に偏りが出ることは容易に想像できるのではないでしょうか。
その際、Chat GPTに履歴書の情報や自社で採用したい人材の評価基準を読み込ませることで履歴書の情報を整理し、その人材は自社の評価基準に沿った人物なのかを判断することができます。
そのため、個人の感覚や判断で評価することなく、一定の基準を参考に選考の質を一定の水準に保つことが可能となるでしょう。
Chat GPT活用デメリット
しかし、Chat GPTの活用はメリットばかりではありません。
上手く活用するには起こりうるデメリットについて理解をしておく必要もあります。
返信精度の低下
1つ目のデメリットは、返信精度が低下してしまう点です。
Chat GPTは学習させた情報データや一般的なデータをもとに回答されるため、読み込ませていない企業の情報や複雑な回答、専門知識が必要な回答などを行うことはできません。
情報漏洩や不正利用のリスク
2つ目のデメリットは、情報漏洩や不正利用のリスクがある点です。
上記で述べたようにChat GPTはデータから学習を行うため、個人情報や機密性の高い情報などを読み込ませてしまった場合には、プライバシーの問題や情報漏洩のリスクが発生する可能性があります。
採用において応募者の個人情報は必要不可欠な情報であるため、取り扱いには十分に注意しなければなりません。
提供情報の不足や正確性の欠如
3つ目のデメリットは、提供情報の不足や正確性の欠如が起こりうる点です。
この点に関しても同様に回答はデータの質と量に依拠するため、十分で正確な情報提供を行うにはそれだけのデータを学習させる必要があります。
Chat GPTの採用における活用例
では、Chat GPTを採用に活用したい場合はどのような活用例があるのでしょうか?
本記事では
・求人票の作成
・スカウトメール文面の作成
・自動日程調整
・面接質問の作成
の計4点をご紹介いたします。
求人票の作成
1つ目の活用例は、求人票の作成です。
Chat GPTは採用したい要件や実際の採用情報を学習し、求人票を作成することができます。
前述した通り、Chat GPTは「文章作成」や「アイディア出し」に長けており、採用担当者が0から文章を構成し推敲するよりも、採用担当者が推敲を担当し、たたきはChat GPTに出してもらうことで効率的に作成ができるでしょう。
スカウトメール文面作成
2つ目の活用例は、スカウトメール文面の作成です。
求人票の作成と同様に、自社の採用情報や求人情報などを学習させ、要点をまとめてもらいスカウトメールの文面を作成することが可能です。Chat GPTは文章の要約や言葉を理解して言い換えるなども得意とするため、魅力の伝え方の引き出しを増やすといった活用もできるでしょう。
自動日程調整や候補者との連絡
3つ目の活用例は、自動日程調整や候補者との連絡です。
上記を可能にするにはChat GPTの自動応答チャットボットを活用します。
Chat GPTはカレンダーアプリとも連携可能なため、担当者との日程を調節することや応募者や担当者へリマインドを行うことが可能です。
面接質問やFBの作成
4つ目の活用例は、面接質問の作成です。
一般的な面接の質問集を出してもらうことから、採用基準や業務の特徴などを学習してもらった上で評価の対象となる深堀質問集などをプロンプトによって出すことが可能です。
また、昨今では、口コミ文化の影響も相まって面接に対してFBを書くと良いと聞いたことのある採用担当者の方も多いのではないでしょうか。
そこで活用できるのがChat GPTです。良いFBと面接をした候補者の特徴を学習させて、FBの案を作成することもできます。
ChatGPTでどこまでいいスカウトメールを作成できる?
Chat GPTの概要について説明しましたが、実際に採用において活用する場合、人と比べてどれほどの品質で活用することができるのでしょうか。
スカウトメールの作成で検証してみましょう。
スカウトメールに必要な情報とは
まずは、スカウトメールの文面作成に必要な情報を聞き出すためChat GPTに下記の質問を投げてみました。
まずは下記のようなプロンプトでスカウトメールの文面に学習してもらうべきデータを
抽出します。

すると、下記のような返答が返ってきました。

もらった条件に沿ってデータを入力し、スカウト文面を作ってもらえるよう質問してみます。

実際に作成してもらったスカウトメール文面はこちらです。

無料版と有料版ではどう違う?
Chat GPTには無料版(Chat GPT3.5)と有料版(Chat GPT4.0)があるのはご存じの方が多いのではないでしょうか。
同じ質問をした場合にどのような違いがあるのかを検証してみました。
プロンプト例有料版
無料版と同様に下記のプロンプトでスカウトメールの文面に学習してもらうべきデータを
抽出します。
すると、下記のような返答が返ってきました。

もらった条件に沿ってデータを入力し、スカウト文面を作ってもらえるよう質問してみます。
実際に作成してもらったスカウトメール文面はこちらです

内容を確認してみると、無料版と有料版では学習すべき項目の詳細の量が異なったり、補足事項の出力の精度に差があることがわかりました。
しかし、回答の質は学習させるデータに依拠するため、良いスカウトメールを作成するために必要で的確なデータを学ばせることができれば無料版でも有料版に近づけた回答を得ることができるでしょう。
h2:採用業務でChatGPTと親和性の高いサービス
ATS(採用管理システム)
まず一つ目に紹介するのは、ATS(採用管理システム)です。 ATSは、エントリー情報の管理、選考状況の追跡、面接スケジュールの調整、合否通知の送信といった多岐にわたる機能を備えており、ChatGPTを組み合わせることで、採用業務の精度向上が期待できます。例えば過去の面接評価やスキルマッチング情報データを出力し、ChatGPTが面接官向けに効果的な質問を提案することなどができるかもしれません。
チャットボット
新卒採用において、多くの求職者が企業の採用ページを訪れ、多様な質問を投げかけます。従来のFAQページでは対応しきれない複雑な疑問にも、ChatGPTを活用したチャットボットを活用すれば対処が可能になるかもしれません。さらに、企業のWebサイトに設置されたチャットボットは、「説明会の予約方法」「求める人物像」「福利厚生の詳細」「選考スケジュール」といった一般的な質問に自動で回答し、採用担当者が直接対応する手間を省き、業務効率を大幅に向上させることも可能です。
AI面接サービス
近年増加傾向にある動画面接ツールとChatGPTを組み合わせることで、面接の質を飛躍的に向上させることが可能です。AI面接サービスでは、ChatGPTが面接官の補助として機能し、求職者の発言内容をリアルタイムで要約したり、適切な追加質問を提案したりすることができます。これにより、面接官は求職者の話に集中しつつ、より深く本質的な情報を引き出す質問を投げかけることが可能になります。従来の面接では見逃されがちだった潜在的な資質を評価し、より客観的で公正な評価を実現するとともに、採用担当者の選考負担を軽減し、効率的で質の高い採用活動を後押しします。
データ分析ツールとの連携
ChatGPTとデータ分析ツールを連携させることで、採用に関する意思決定の精度を大幅に高めることができます。この連携により、過去の選考データから「どのような求職者が入社後に活躍しているのか」「どの選考ステップで離脱が多いのか」といった具体的な傾向を可視化することが可能になります。ChatGPTはこれらの分析結果を基に、詳細なレポートを自動生成し、採用戦略の改善点や次のアクションを明確に提示します。さらに、求職者の履歴書や面接評価をスコアリングし、AIが最適な人材を推薦するシステムの構築も可能です。
まとめ
Chat GPTは現在も進行形で改良され続けており、今後より精度が高くなっていくことが予想されます。
そのため、今以上にChat GPTを活用することで、上記で紹介したように業務が効率化される場面も増えてくるでしょう。
売り手市場、少子高齢化が進む採用市場でいかに業務を効率化しつつ採用につなげるかが鍵であるため、Chat GPTの活用も視野に入れてみるのはいかがでしょうか。