「思うように応募が集まらない」「理想の人材からエントリーが来ない」「内定辞退が続く」
など多くの企業が新卒採用に課題を抱えています。
現在、新卒採用の現場では環境の変化が加速しており、従来のやり方だけでは成果につながりにくくなっています。そのため、企業はこうした変化に適応しつつ、将来の成長を担う優秀な人材を確保していく必要があります。
そして、その鍵を握るのが“採用力”の強化です。
まずは新卒採用における課題とその背景を正しく把握し、効果的な打ち手を講じることが求められます。
今回は、新卒採用を取り巻く環境とよくある課題、さらに課題ごとの具体的な解決策について解説します。あわせて、実際に課題を乗り越えた企業の成功事例もご紹介します。
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新卒採用でよくある悩み5選
新卒採用の現場で企業が抱える主な悩みは、以下の5つです。
エントリーが集まらない
少子化や企業の採用意欲の高まりにより、学生一人ひとりの選択肢が増え、希望する企業にエントリーが集まらないケースが増えています。
特に、大企業を除いた多くの企業や、業界・職種に対する学生の理解が進んでいない場合、エントリー数の確保が困難になる傾向にあります。
加えて、オンラインでの情報収集が主流となった今、学生が企業を見つける手段も多様化しています。したがって、ナビサイトに依存した採用活動だけでは、十分な母集団形成が難しくなっているのです。
応募からの次選考設定率が悪い
せっかくエントリーがあっても、次の選考に進む学生が少ないという課題も見られます。
これは、企業が設定する選考フローに学生の興味を引く要素が乏しい場合や、説明会・面談における情報提供が不十分であることが原因として考えられます。
特に、企業側の魅力を一方的に伝える説明会や、学生が自分ごととして捉えにくい選考プロセスは、学生の離脱につながりやすい傾向にあります。
面接通過率が低い
面接に進んだ学生の通過率が低い場合、企業が求める人材像と応募者との間にミスマッチがある可能性があります。
また、面接官のスキル不足や評価基準の曖昧さも、適切な人材を見極める上での障壁となり得ます。
求める人物像が明確でなかったり、面接官によって評価がばらついたりすると、適した人材を見逃してしまうリスクが高まります。
内定辞退が多く、計画通り進まない
新卒採用における内定辞退も、企業にとって大きな課題のひとつです。
内定を承諾した後でも、他社の条件に魅力を感じて辞退されるケースは珍しくありません。
選考段階から内定・入社に至るプロセスでは、学生側の事情による辞退を完全に防ぐことは困難です。とはいえ、企業側の取り組み次第で辞退率を抑えることは可能です。
そのためには、学生が安心して内定を承諾し、入社を決意できるような関係性と情報提供が求められます。
採用担当者のリソース不足
新卒採用は年間を通して行われ、相応の工数や専門的知識が求められます。
しかし、人事部の人員が不足している、または採用担当者が他業務と兼任している場合、十分な活動ができず、前述のような課題が未解決のまま残ってしまいます。
特に中小企業やベンチャー企業では、専任の採用担当者を置けないケースも多く、結果として戦略的な採用が難しくなることがあります。
新卒採用の課題が生まれる5つの背景
上記のような課題は、さまざまな要因が複雑に絡み合って発生しています。
主な背景として、以下の5つが挙げられます。これらを理解することで、より根本的な解決策を見出すことができます。
市場構造|売り手市場と通年化による長期戦
日本の新卒採用市場では、少子化の影響により「売り手市場」の傾向が年々強まっています。
企業は優秀な学生を確保しようと採用数を増やしていますが、その結果、学生1人あたりの求人倍率が上昇し、企業間の競争も激化しています。
さらに、外資系企業やベンチャー企業を中心に「通年採用」を導入する動きが加速し、採用活動が年間を通じて行われるようになりました。
これにより、企業は常に学生の動向を注視し、柔軟に対応する必要が生じており、採用担当者の負担が増しています。
学生側の変化|情報取得のデジタル化と価値観の多様化
現代の学生は、インターネットやSNSを活用して多角的に企業情報を収集しています。
企業の公式情報だけでなく、口コミサイトやSNS上での評判など、リアルな声に触れる機会も増えているため、企業には発信する情報の「質」「量」「信頼性」が求められます。
また、学生の就職観も多様化しており、「安定」だけでなく、「社会貢献」「成長機会」「ワークライフバランス」「やりがい」など、重視するポイントが人それぞれ異なります。
したがって、画一的なアプローチでは学生の共感を得ることが難しくなってきています。
企業側の対応|旧来の手法からの脱却が追いつかない
こうした市場の変化に対し、企業側の対応が追いついていないケースも少なくありません。
例えば、従来から続けている合同説明会の参加や、定型的な面接の実施、一定時期の一斉内定出しなど、旧来の手法に依存している企業は多く存在します。
しかし、これらの手法は現代の学生には響きにくくなっており、新しい採用手法に関する情報収集や導入が遅れている企業は、採用競争で後れを取る可能性があります。
採用プロセスの複雑化|工数増と分業化の限界
採用活動の差別化を図るため、多くの企業がインターンシップ、OB/OG訪問、個別説明会・面談など、多様なアプローチを導入しています。
その結果、採用プロセスは複雑化し、採用担当者の業務量が大幅に増加しています。
この業務負荷に対応するため、分業体制を取る企業もありますが、情報共有の不足や連携ミスなどの課題が発生しやすく、分業の限界に直面する企業も少なくありません。
新卒採用の課題別の解決策
これまでにご紹介したように、新卒採用では主に「エントリーが集まらない」「応募からの次選考設定率が悪い」「面接通過率が低い」「内定辞退が多い」「採用担当者のリソース不足」といった5つの課題があります。
ここからは、それぞれの課題に対する具体的な解決策をご紹介します。
貴社の状況に応じて、最適な方法を検討してみてください。
母集団形成の課題の場合
エントリーが集まらない場合、まず重要なのは採用チャネルの拡大と訴求方法の見直しです。
SNSの活用
X(旧Twitter)、Instagram、TikTokなどのSNSを活用し、学生が日常的に利用するプラットフォームで情報発信を行いましょう。
企業の雰囲気や社員の様子、仕事のやりがいなどをリアルタイムに伝えることで、学生の興味を引きやすくなります。
また、採用専用アカウントの運用や、社員による積極的な情報発信も非常に効果的です。
SNS採用とは?デメリットを抑え、コツを掴んでSNS採用を成功させる
ダイレクトリクルーティングの活用
ナビサイトでの応募を待つだけではなく、企業側から学生に直接アプローチできる「ダイレクトリクルーティング」も有効です。
学生のプロフィールや志向に基づいてアプローチを行うことで、自社に興味を持つ可能性の高い層へ効率的に訴求できます。
求める人材のミスマッチが課題の場合
応募からの歩留まりが悪い、あるいは面接通過率が低い場合、求める人材とのミスマッチが原因となっている可能性があります。
採用ペルソナの設定
「どのような学生に来てほしいか」を明確にするために、採用ペルソナを具体的に設定しましょう。
学歴や専攻だけでなく、性格や価値観、強み、将来のビジョンまでを言語化することで、採用活動の軸が定まり、ターゲットへの訴求力が高まります。
訴求メッセージの再設計
設定したペルソナに基づき、企業が発信するメッセージを見直しましょう。
単なる情報提供ではなく、企業の魅力や仕事の意義、入社後のキャリアパスを具体的にイメージできる内容にすることで、学生の関心を高めることが可能です。
Webサイトやパンフレット、説明会資料など、すべての媒体で一貫性のあるメッセージ発信が重要です。
人材見極めが課題の場合
面接での通過率が低い、あるいは評価がばらつく場合は、選考基準の明確化と面接官のスキル向上がポイントになります。
評価シート
評価の統一性を確保するために、面接用の評価シートを導入しましょう。
評価項目や基準を明確に設定することで、主観によるばらつきを防ぎ、客観的な判断がしやすくなります。
評価シートをご用意しておりますので、ぜひご活用ください。
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面接官教育
面接官のスキルは採用の成否を左右します。
面接官向けに研修を行い、目的の理解、適切な質問の仕方、傾聴力、評価基準の理解を深めましょう。
模擬面接の実施なども、実践的なトレーニングとして有効です。
選考辞退・内定辞退
選考途中や内定後の辞退を防ぐためには、学生との関係構築と選考プロセスの最適化が欠かせません。
早期フォロー
選考中や内定後も、定期的なコミュニケーションを維持しましょう。
疑問や不安を解消する機会を設け、企業への理解を深めてもらうことで、エンゲージメントの向上につながります。
社員との座談会や個別面談、ランチ会の実施も効果的です。
また、LINEなどのツールを使い、社員紹介コンテンツなどを定期的に配信することも有効なフォロー方法です。
選考設計の見直し
選考期間が長すぎたり、フローが複雑だったりすると、学生のモチベーションが低下しやすくなります。選考設計を見直し、負担を軽減しましょう。
加えて、インターンシップやワークショップなどの体験型選考を導入することで、企業や業務の理解を深めてもらい、入社後のミスマッチを防ぐことが可能です。
採用担当者のリソース不足が課題の場合
採用業務のリソース不足は、全体の質と進捗に大きく影響します。
そのため、効率化や外部リソースの活用が必要です。
採用管理ツール(ATS)の導入
応募者の情報管理、選考進捗、連絡対応などを一元化できる採用管理ツール(ATS)を導入することで、業務効率が大きく向上します。
手作業のミスも減らせるため、正確かつスピーディーな対応が可能になります。
さらに、自動化機能を活用すれば、リマインドメールの送信や連絡業務の効率化を図ることができ、歩留まり改善や辞退防止にも寄与します。

業務の外注
書類選考、一次面接、説明会運営、日程調整などの定型業務は、外部委託を検討しましょう。
これにより、採用担当者は戦略立案や学生との対話といった、より重要な業務に集中できるようになります。
【番外編】採用活動の振り返りを行う
採用活動を成功させるためには、PDCAサイクルをしっかり回すことが重要です。
採用活動が終わった後には、必ず振り返りのプロセスを設けましょう。
例えば、以下の観点からの分析が有効です。
- 目標の達成度合い
- 各選考ステップでの通過率
- 内定辞退の理由
- 学生からのフィードバック
これらのデータを元に、課題を特定し、次回の採用活動へとつなげていくことがポイントです。
データに基づいた改善を繰り返すことで、より精度の高い採用戦略が構築できるようになります。
新卒採用の課題を解決するための最新トレンド
変化の激しい新卒採用市場においては、従来の枠にとらわれない新しいアプローチが求められます。
ここでは、今注目されている3つの最新トレンドをご紹介します。
DXの活用
採用活動におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進は、業務効率化に加えて、学生体験(CX)の向上にも寄与します。
具体的には、
- オンライン説明会
- AIを活用した書類選考
- Web面接システム
- チャットボットによるQ&A対応
といった取り組みにより、企業側・学生側の双方にとってスムーズな採用体験を提供できるようになります。
Z世代に適した採用手法を取り入れる
現在の新卒採用の中心は「Z世代」と呼ばれる若者たちです。
彼らはデジタルネイティブであり、SNSでの情報収集に慣れ親しんでいます。
また、個人の価値観や多様性を尊重し、企業の社会的意義や存在目的(パーパス)を重視する傾向が強くなっています。
そのため、以下のような姿勢が求められます。
- 一方的な情報発信ではなく、双方向のコミュニケーションを重視する
- 社員や現場の「リアル」を伝える
- 企業の社会的なスタンスや文化を明示する
CX(候補者体験)を加味した採用設計
採用CX(Candidate Experience)とは、応募者が企業とのすべての接点において体験する一連の印象や感情を指します。
例えば、
- エントリー時の対応スピード
- 面接時の雰囲気や態度
- 内定通知の伝え方
- 入社前フォローの手厚さ
といった各接点での体験が、学生の入社意欲や内定承諾率に大きな影響を与えます。
したがって、採用CXを意識した設計に取り組むことは、単なる「マナー」の範囲を超えて、戦略的な採用成果につながる重要な施策となります。
採用CX(Candidate Experience)とは?候補者体験が採用に重要な理由・ポイントを解説
応募〜内定まで“ぜんぶ管理したい”を叶える、「採用一括かんりくん」
新卒採用における複雑なプロセスを一元管理できる「採用一括かんりくん」は、多くの企業にとって心強い味方となります。
このツールを導入することで、
- 応募者情報の一括管理
- 選考進捗の可視化
- 面接日程の調整
- 合否連絡の効率化
- 内定者フォロー
といった業務がすべて1つのプラットフォーム上で完結可能となります。
さらに、自動化機能やLINE連携なども搭載しているため、連絡業務の手間を大幅に削減し、学生との継続的なコミュニケーションに時間を割くことができます。これにより、採用担当者の工数削減と学生理解の促進の両立が実現します。
実践事例~仕組みを整え成果を上げられた企業~
ここでは、実際に採用管理ツール「採用一括かんりくん」を導入することで、採用課題を改善し、成果を上げている企業の事例をご紹介します。
ツール導入だけでなく、運用体制の見直しや施策の最適化を進めたことにより、採用成功につなげている企業ばかりです。
株式会社メディロム様|大幅に工数を削減し、エントリーからの説明会参加率が向上
株式会社メディロム様では、採用管理ツールの導入により、煩雑だった応募者情報の管理や選考進捗の把握を効率化しました。これにより、採用担当者の業務工数を大幅に削減することができました。
削減したリソースを学生対応やフォロー体制の強化にあてた結果、エントリーから説明会への参加率が向上し、質の高い母集団形成にも成功しています。
株式会社hajimari様|数値分析を基にデータ活用型の採用活動を実現
株式会社hajimari様は、「採用一括かんりくん」で蓄積されたデータを詳細に分析し、データドリブンな採用活動を展開しています。
各選考ステップごとの通過率や内定辞退率などを可視化することで、どこに課題があるのかを明確に特定できるようになり、課題に対して効果的な改善策をスピーディーに実行しています。
株式会社識学様|工数削減に成功し、採用マーケティングへ注力
株式会社識学様では、採用管理ツールの導入と採用業務フローの見直しによって、採用担当者の工数削減に成功しました。
これまで手が回らなかった採用広報やブランディングといった**「採用マーケティング」に本格的に取り組める体制を整備**。企業の魅力を戦略的に発信することで、ターゲット学生の認知度向上と、応募者の質・量の両面で成果を上げています。
まとめ|新卒採用の課題は「仕組み」と「可視化」で乗り越えられる
新卒採用の課題は、「応募が集まらない」「通過率が低い」「辞退が多い」「リソース不足」など、多岐にわたります。しかし、それらを乗り越えるためには、採用活動の仕組みを整えることと、状況をデータで可視化することが欠かせません。
- 採用管理ツール(ATS)の導入による業務効率化
- 採用プロセスの見直しと最適化
- 適切な指標に基づいた振り返りと改善
これらを通じて、再現性のある採用活動が実現でき、変化の激しい市場環境においても、優秀な新卒人材の確保につなげる強力な基盤となるでしょう。
