ホーム » 採用ノウハウ » 内定者フォロー完全ガイド:内定辞退を防ぐフォローの重要性と成功事例紹介

内定者フォロー完全ガイド:内定辞退を防ぐフォローの重要性と成功事例紹介

内定者フォローとは

内定者フォローとは、企業が内定を出した求職者に対して、入社までの期間中に行う様々なサポートやコミュニケーション活動のことを指します。

内定者は企業に対して入社を確約したわけではなく、複数の企業からの内定を得ている場合や就活を密かに続けている学生も多くいます。

そのため企業は、自社へ入社してもらえるように積極的にフォローし、内定者の不安を解消したり、自社への志望度を落とさない工夫をしなければなりません。

そこで注目されているのが内定者フォローです。

本記事では、内定辞退を防ぐために必要とされる内定者フォローについて成功事例から徹底解説いたします。

新卒採用の戦略立案・見直しの方法と戦略実行のポイント

内定者フォローは何故重要なのか

内定者フォローが重要視される理由は、「売り手市場」という現代の採用市場の動向と大きく関係しています。

理由1:採用は超売り手市場

以前は就職氷河期と呼ばれ、学生にとって就職先を見つけることが非常に難しい時代でした。

一転して、現在は売り手市場となり、企業が優秀な学生を採用することの方が難しい状況です。

特に、優秀な学生は自社だけが採用したいと思っているわけではありません。複数の企業から内定を受け取るため、企業は他社との競争に勝ち抜き、自社に入社してもらうための対策が必要になるのです。

理由2:入社主導権が候補者に

内定を出すまでは企業が主導権を握っていますが、売り手市場の背景から、内定を出した後は学生に主導権が移ります。内定者は自分に対する企業の対応やコミュニケーションの質を評価し、自分に最適な企業を選びます。もしも内定後に企業からの連絡が途絶えたり、サポートが不十分だと感じると、内定者は他の企業への志望度が高まり、最終的に内定辞退を選択する可能性が高まります。

このため、内定後も内定者とのコミュニケーションを密に保ち、フォローを行うことが不可欠です。内定者フォローをしっかりと行うことで、内定者の入社意欲を高め、内定辞退を防ぐだけでなく、入社後の早期離職も防ぐ効果が期待できます。

内定者フォローの目的

内定者フォローは、内定者が抱える不安を解消し、企業への期待感を高める役割をもちます。そして、主な目的としては内定辞退の防止や早期離職の防止、そして入社前準備の3つの目的があります。

そして、内定者の入社決断を後押ししスムーズに職場に適応できるようサポートするためにも重要です。以下、具体的な3つの内定者フォローの目的について詳しく解説します。

内定辞退防止

まず1つ目の目的は、内定辞退の防止です。

内定辞退の防止は、内定者フォローの最も重要な目的の1つです。内定を出した企業にとって、内定者が辞退することは大きな損失です。例えば、採用に費やした時間やコストが無駄になるだけでなく、内定者同士のつながりができている場合だと他の内定者への影響も考えられます。

もし内定辞退が発生すると、人員計画の見直しが必要になり次年度の事業戦略にも影響を与える可能性があります。そのため、企業は内定者フォローを通じて、内定者の不安を取り除くことで企業に対する信頼感や期待感を高める努力をしています。

早期離職防止

2つ目の目的は、入社後の早期離職防止です。

新卒社員が入社してから短期間で退職することは、企業にとって大きな損失になります。

内定辞退と同様に採用にかけた時間やコストが無駄になるだけでなく、他社員のモチベーションにも影響を与えます。

厚生労働省のデータによると、2019年における大学卒の新入社員のうち、32.8%が入社3年以内に退職しており、約3人に1人が早期退職しているのが現状です。このような事態を防ぐためには、内定者フォローを通じて入社前に企業文化や業務の雰囲気などを伝え、入社後のギャップを減らすことが重要です。内定者とのコミュニケーションを密に保ち、入社前からしっかりとサポートすることで早期離職のリスクを低減しましょう。

入社前準備

3つ目の目的は、入社前の準備です。内定者が入社後にスムーズにチームに馴染み、早期に活躍できるようにするためには、事前の研修や教育が必要です。内定後に企業との接点が減ると、内定者の志望度が低下することがあります。そのため、企業は内定者フォローを通じて、入社前から内定者との接点を保ち、企業への期待やモチベーションを維持することが求められます。

これにより、内定者が入社後も高い意欲を持って業務に取り組むことができ、早期に成果を上げることが期待できます。

内定辞退を防ぐ、内定者フォロー施策10選

内定辞退を防ぐためには、内定者に対する細やかなフォローと工夫が求められます。ここでは、内定辞退を防ぐための施策について10個を抜粋して解説します。

内定通知の工夫

1つ目の施策は、「内定通知の工夫」です。

内定通知は、内定者に対して企業の誠意を示す絶好の機会です。多くの企業から内定をもらう学生でも、内定通知は特別な瞬間であり、インパクトのある内定通知は学生の心に強く残ります。

例えば、社長や採用担当者から直接内定を伝えると、学生に対して特別感を与えることができます。プロ野球のドラフト会議で、監督が直接指名選手に連絡するという例があるように、企業のトップが直接内定を伝えることは、学生にとって大きなインパクトとなり、内定承諾の意欲を高める効果があります。

また、内定通知を送る際には単なる結果通知ではなく、なぜその学生を選んだのかや企業としてどのような期待を持っているのかを具体的に伝えることが重要です。

このようなパーソナライズされたメッセージは、学生に特別感を演出すると共に企業の真剣さと誠意を示し、他社との差別化を図ることができるでしょう。

内定辞退理由を聞く

2つ目の施策は、「内定辞退理由を聞く」ことです。

内定辞退を防ぐためには、辞退理由をしっかりと把握し再発を防ぐことが不可欠です。

内定者フォローの初期段階で内定辞退のリスクを減らすためには、学生が抱える不安や悩みを早期に察知し、対応することが重要です。しかし、売り手市場の現代では候補者が複数社から内定をもらっていることがほとんどで、内定辞退を完全に防ぐことも難しいです。そのため、起こってしまった際には何が決め手になり他社に決めたのかを聞いておくようにしましょう。

また、内定者がどのような不安を抱えているかを聞き出し、その不安に対するフォローを実施することができると、内定辞退のリスクを減少させることができます。定期的に内定者に対してアンケートを実施し、内定者が抱える不安や問題点を把握することも重要です。

フォローメール

3つ目の施策は、「フォローメール」です。

内定者フォローメールは、企業と内定者との関係を維持し、内定辞退を防ぐための効果的な手段です。内定者は他社との選考を並行して進めることが多く、企業への興味や期待が時間とともに薄れる可能性があります。定期的にフォローメールを送ることで、内定者に自社の最新情報や社内の様子を伝え、関心を維持することができます。

フォローメールの内容としては、以下のような情報を含めると効果的です。

  • 会社の最新ニュース: 社内イベントの報告や業績など。
  • 社員紹介: 先輩社員のインタビューやプロフィールを掲載し、社内の雰囲気を伝える。
  • 入社準備情報: 入社までに準備すべきことや必要な手続きについての案内。
  • 内定者同士の交流機会の案内: 内定者向けのイベントや座談会の案内。

内定者に負担をかけないよう、メールの内容は簡潔にし、読みやすさを心掛けましょう。また、定期的にフォローメールを送ることで、内定者は企業に対して親しみを感じやすくなります。

座談会

4つ目の施策は、「座談会」の実施です。

座談会は、内定者が企業の現場を知り、社員との交流を深める絶好の機会です。座談会を通じて、内定者は自分が働くイメージを具体的に持つことができ、不安の解消につながります。また、内定者同士の交流も促進されるため、入社後のチームビルディングがスムーズに進みます。

座談会の成功のためには、参加社員の協力が必須です。参加社員の選定と参加社員への事前共有は下記の点を考慮して行ってみてください。

  • 参加社員の選定: 座談会に参加する社員は、企業や業務の魅力的な部分を伝える役割を担うため、普段から会社にロイヤリティを感じている人を選ぶと良いでしょう。さらにフレンドリーでコミュニケーション能力の高い社員であれば適任です。
  • 座談会前事前共有: 参加する社員には、座談会の目的や座談会参加内定者情報などをしっかりと理解してもらいましょう。内定者の不安を解消し、入社意欲を高めることが目的であることを共有することで、適切な対応ができるでしょう。

内定者懇談会

4つ目の施策は、「内定者懇談会」の実施です。

内定者懇談会は、内定者同士のコミュニケーションを促進し、仲間意識を醸成する場です。内定者は入社後にどのような同期と仕事をするのか、また同期と仲良くできるのかといった点でも不安を感じています。懇談会を通じて内定者同士が交流し、互いの不安や期待を共有することで、仲間意識が高まり、内定辞退の防止にもつながります。

学生との個別面談

5つ目の施策は、「学生との個別面談」です。内定者懇談会や座談会とは異なり、個別面談は個人で行うため、より密なコミュニケーションが可能になります。大人数の場での発言が苦手な学生や、人見知りをしてしまう学生にも配慮したフォローが必要です。

個別面談の実施は単発の面談ではなく、定期的に面談を行うと効果的です。30分といった少ない時間であっても継続して行うことで、都度内定者の不安や疑問が出てきた際にサポートできます。入社前の時期によって内定者の関心事や知りたい情報は変わるため、それに合わせて面談の内容も調整しましょう。

社内報

6つ目の施策は、「社内報」の送付です。

社内報を内定者に送付することで、企業の文化や最新の動向を理解してもらうことができます。

例えばさまざまな部署で働く社員の声を紹介することで、具体的な業務内容や職場の雰囲気を伝えることができたり、現在進行中のプロジェクトや新しい取り組みを紹介することで、企業の活力や成長性を感じてもらえます。

資格取得支援

7つ目の施策は、「資格取得支援」です。

内定者に対する資格取得支援は、入社前のスキルアップを促進し、企業に対する安心感を提供します。企業から必要とされている資格を入社以前に取れると、内定者の自信にも繋がります。そのため、資格取得支援を行う際には、業務に必要な資格や推奨される資格のリストを内定者に提供し、どの資格を取得すればよいか明確に伝えることが重要です。また、可能であれば資格取得に必要な教材や講座を提供することで、内定者が効率的に学習できる環境を整えられるとなお良いでしょう。

内定者研修

8つ目の施策は、「内定者研修」の実施です。内定者研修は、入社前に企業の文化や業務内容を理解してもらうために重要です。内定者研修の内容には、企業の歴史やビジョン、ミッションの紹介、各部署の業務内容や役割の説明、内定者同士や先輩社員との交流を通じたチームビルディング活動などが含まれます。これにより、内定者が企業に対する理解を深め、入社準備を整えることができます。

社内イベントへの招待

9つ目の施策は、「社内イベントへの招待」です。社内イベントに内定者を招待することで、企業の雰囲気や社員の業務以外の一面を知ってもらう機会を提供します。

例えば、忘年会、新年会、バーベキュー、スポーツイベントなどを行うと良いでしょう。イベントを通じて、企業の文化や価値観を自然に共有し、内定者が企業に親近感を持てるようにします。社内イベントへの参加を通じて、内定者が企業に対する理解を深め、社員との距離を縮めることが期待できます。

内定者フォローのユニークな事例

HRクラウド株式会社での成功事例を参考に、内定者フォローを工夫しましょう。

実際HRクラウド株式会社の内定辞退率は毎年10%をきっています。

内定者プロジェクトの実施

HRクラウド株式会社では、内定者同士が協力してプロジェクトを進める「内定者プロジェクト」を実施しています。コンテンツ内容は、内定者がチームを組んで就活生に向けた企業PR記事を作成し、それぞれの記事のPV数で競うというものです。

このプロジェクトを通じて、内定者は事業や一緒に働く仲間への理解を深めるだけでなく、主体的に動ける環境を提供することで、自発性や積極性を引き出したり、協働作業を通じてチームワークやリーダーシップを培うことができています。この取り組みでは、プロジェクトの成果を発表する機会も設けられており、内定者は自分たちの活動がどのように評価されるのかを経験できます。

候補者の目線に一番近い内定者が企業をPRするため、魅力に感じるポイントなどを繊細に捉えて記事が作成され、採用力の向上としても効果を発揮しています。

内定者フォローのポイント

ポイント1:接触頻度を増やす

内定者フォローを成功させるためには、定期的な接点を持つことが重要です。

内定者は次にいつ連絡が来るのかがわからない状態では不安を感じやすくなります。そのため、月に一度の定期連絡や、入社に向けた準備の情報提供を行うことで、内定者の安心感を高めることができます。

また、単に一方的な連絡に終わらず、内定者からのフィードバックを受け取る機会を設けることも有効です。これにより、内定者が会社とのつながりを実感し、安心して入社準備を進めることができます。 

ポイント2:内定者同士の交流を深める

内定者同士の交流を促進することもフォロー施策の一環として重要です。オンライン懇親会やグループチャットなどを活用し、内定者同士が情報を交換できる場を提供することで、一体感を醸成します。例えば、オンライン懇親会では事前にプロフィールを共有することで、共通点を見つけやすくし、コミュニケーションのハードルを下げることができます。内定者同士の仲間意識を深めることは、入社後の研修や仕事をスムーズに進める基盤となります。

ポイント3:内定者主導で行う

内定者フォローの中で、内定者自身が主体的に行動できる場を提供することも効果的です。たとえば、内定者同士のオンラインミーティングを設定し、その中でプロジェクトを進めたり、ディスカッションを行う機会を設けることが考えられます。会社のサポートはもちろん大事ですが、内定者が主体的に行動することで、自発的な成長やコミュニケーションスキルの向上が期待できます。これにより、入社後も自主的に課題解決に取り組む姿勢を持つ人材が育ちます。

ポイント4:情報はオープンに

内定者フォローにおいて、会社の情報を積極的に開示することも非常に重要です。特に先輩社員との懇親会を通じて、実際の仕事の内容や働き方を直接伝える機会を設けることで、内定者は会社への理解を深め、不安を解消することができます。また、社内報や先輩社員のブログを通じて、日々の業務や社内の雰囲気を伝えることも効果的です。これにより、内定者は「この会社で働く自分」をより具体的にイメージでき、入社に対する期待感を高めることができます。

内定者フォローに役立つツールとサービス

続いて、内定者フォローに役立てることのできるサービスについてもご紹介いたします。

採用管理システム

1つ目は採用管理システムです。

採用管理システムは、内定者フォローにおいて非常に活用できるツールです。

例えば、日程調整を自動化する機能や、コミュニケーションを円滑にするためのLINEとの連携機能を搭載しているものもあります。これにより、人事担当者の業務負担を大幅に軽減しつつ、内定者フォローに取り組むことが可能です。

特にLINEを活用した採用管理システムは、内定者とのコミュニケーションを活性化させる手段として有効です。LINEメッセージは、メールと比べて一方通行になりにくく、内定者からのレスポンスも早いため、迅速なやり取りが可能です。また、プライベートと就職活動を分けたい内定者のニーズに応じて、「LINEでの連絡を希望する」か「メールでの連絡を希望する」かを選択できる機能も提供されています。これにより、内定者の負担を軽減しつつ、スムーズなコミュニケーションを実現します。

SNSの活用

2つ目のツールはSNS活用です。SNSはZ世代の内定者にとって欠かせないツールです。InstagramやTikTok、Xなどを通じて企業の最新情報を発信することで、内定者に企業の雰囲気や活動内容を伝えることができます。SNSを活用することで、内定者は日常的に企業の情報を受け取ることができ、企業への親近感や理解が深まります。定期的にイベントや懇親会の案内をSNSで行うことで、内定者の参加意欲を高めることも可能です。

eラーニング

eラーニングは、内定者が入社前に必要な知識やスキルを学ぶための効果的なツールです。オンラインで提供される講座や研修プログラムを通じて、内定者は自分のペースで学習を進めることができます。これにより、内定者は入社前に業務に必要な基本知識を習得し、入社後の業務にスムーズに移行できます。

また、自分の成長を実感できる学習体験を提供することで、内定者のモチベーション向上にも寄与します。

まとめ

内定者フォローは、内定者の不安を解消し、企業への期待感を高めるために非常に重要な施策です。紹介した施策やポイントを参考に内定者フォローを実施することで、内定者の入社意欲を高め、内定辞退を防ぐことができます。

内定者フォローを充実させ、企業と内定者双方にとって良好な関係を築いていきましょう。