Instagram採用とは
Instagram採用とは、写真や動画をメインに投稿・閲覧するSNS「Instagram」を活用して行われる採用活動のことです。
Instagramの視覚的な魅力を活かし、企業のカルチャーや社員の人柄、オフィスの様子をリアルに伝えることで、求職者とのミスマッチを防ぎ、企業認知度の向上を目指します。
Instagramの主なユーザー層は10代から30代であるため、特に若い世代のユーザーに強い訴求力を持ち、若手人材をターゲットとした新卒採用や若手経験者採用に最適です。
Instagramのユーザー数・年齢層
Instagramは世界的に人気の高いSNSであり、国内では月間アクティブユーザー数が3,300万人を超えています。
特に10代から30代のユーザーが多く、具体的には18歳から24歳が32パーセント、25歳から34歳が36パーセント、35歳から44歳は16パーセントと、若年層にリーチするには最適のプラットフォームです。
出典:We Are Social; Instagram, Inc.; DataReportal; Meta Platforms, Inc.; Meltwater/Digital 2024: April Global Statshot Report
他のSNSとの比較
他のSNSと比較して、Instagramの最大の特徴は視覚的な訴求力です。XやFacebookなどの他SNSと比較すると、Instagramは画像や「リール」と呼ばれる短い動画によって視覚的に情報を伝えることができます。以下で、主要なSNSとの比較を行いましたので参考にしてください。
X
Xは約4,500万人の国内ユーザーを持ち、リアルタイム性や拡散性に優れています。短文での情報発信がメインで、最新情報やトレンドを迅速に伝えることができます。しかし、一度に伝えられる情報量が限られており、主に10代から20代のユーザーが中心です。そのため、経験者採用にはやや不向きとされています。
Facebookは実名制のSNSで、約2,600万人の国内ユーザーがいます。長文の投稿が可能で、企業の詳細な情報を一度に伝えることができます。ビジネス向けの利用が多く、特に20代から40代のユーザーに適しています。ただし、若年層の利用者は減少しており、若手人材へのアプローチには向いていません。
YouTube
YouTubeは動画共有プラットフォームで、約6,200万人の国内ユーザーがいます。動画を通じて企業の魅力を伝えることができ、求職者の応募意欲を高める効果があります。しかし、動画制作には撮影や編集といった工数がかかるため、リソースが限られる中小企業にはハードルが高い場合があります。
LINE
LINEは約8,400万人の国内ユーザーを持ち、幅広い年齢層に利用されています。1対1でのコミュニケーションが可能で、求職者との密な連絡が取れるのが特徴です。ただし、初めに求職者との接点を持つ必要があるため、情報発信の初期段階には向いていません。
InstagramはこれらのSNSと比較して、視覚的な情報を効果的に伝えることができるため、企業のリアルな雰囲気やカルチャーを伝えるのに最適です。また、若手人材に強く訴求できる点で、特に新卒採用や若手経験者採用に向いています。Instagramの活用を通じて、企業は求職者とのミスマッチを防ぎ、魅力的な企業イメージを構築することができます。
Instagram採用を行う理由
企業がInstagram採用を行う理由はなぜなのでしょうか。
候補者は新卒採用と経験者採用共に職場環境を重視
新卒や経験者の候補者は、共に職場環境を重視する傾向があります。
例えば新卒採用では、学生たちは自分に合った企業を探すために、企業のリアルな姿を知りたいと考えているため、企業の文化や職場の雰囲気を視覚的に伝えることが重要です。Instagramの写真や動画を活用すれば、オフィスの様子や社員の日常、社内イベントなどを紹介することで、求職者に企業の魅力をアピールできるでしょう。
一方、経験者採用でも、求職者は職場の環境や同僚の雰囲気を重視する傾向があります。そのため新卒採用同様にInstagramを通じて具体的な仕事内容やプロジェクトの様子、チームの雰囲気を伝えることで、求職者にとっての魅力を高めることができるでしょう。
新卒と経験者、それぞれのターゲットに応じたコンテンツを発信することで、幅広い求職者にアプローチできるのがInstagram採用の強みです。
中小企業にとってのInstagram採用の重要性
中小企業にとって、Instagram採用は特に重要です。大手企業と比べて知名度が低い中小企業は、求職者に自社の魅力を伝えるために工夫が必要です。Instagramは視覚的なコンテンツを通じて、短時間で効果的に企業の雰囲気や強みを伝えることができるため、中小企業にとって非常に有効なツールとなります。
また、Instagramはコストパフォーマンスに優れています。広告費を抑えながらも、自社の魅力を広く発信することができます。さらに、Instagramのユーザー層は若年層が多く、新卒採用や若手人材の経験者採用においても効果的です。中小企業がInstagramを活用することで、大手企業との差別化を図り、独自の魅力をアピールすることができます。
Instagram採用を通じて、中小企業は限られたリソースで最大の効果を得ることができます。求職者に企業のリアルな姿を伝えることで、共感を呼び、優秀な人材を引き付けることが可能です。視覚的な訴求力を活かし、求職者に強い印象を残すことで、中小企業の採用活動はより効果的になります。
Instagram採用のメリットとデメリット
Instagramを採用活動に取り入れることで、現代の候補者の行動特性に合わせた採用活動を行うことができます。しかし、採用活動にInstagramを活用することはメリットもありますがデメリットもあるため、正しく把握してから導入を検討する必要があります。
Instagram採用のメリット
まずはInstagramを採用活動に取り入れることのメリットからご紹介いたします。
企業の魅力を視覚的にアピールできる
Instagramの最大の強みは、視覚的なコンテンツを活用して企業の魅力を効果的にアピールできる点です。写真や「リール」と呼ばれる短い動画を通じて、企業のカルチャーや職場の雰囲気を直接伝えることができます。視覚的な情報はテキストよりも記憶に残りやすく、求職者に強い印象を与えるため、企業の魅力をダイレクトにアピールするのに最適です。
社風が伝わりやすく、ミスマッチ防止につながる
Instagramを活用することで、テキストでは伝えにくい社風や社員の人柄を視覚的に伝えることができます。オフィスの様子や社員の日常、社内イベントの様子などをリアルに紹介することで、求職者に企業の実際の雰囲気を感じてもらえます。これにより、入社後のギャップを減らし、早期離職を防ぐことができます。
企業イメージを向上できる
Instagramは企業のブランドイメージを向上させるための強力なツールです。企業のミッションや独自の魅力を視覚的に発信することで、他の企業との差別化を図り、「この企業で働きたい」と思わせることができます。採用ブランディングの一環として活用することで、企業の認知度と好感度を高めることが可能です。
転職潜在層にもリーチできる
従来の採用手法では、転職意欲が明確な求職者に焦点を当てることが多いですが、Instagramを利用することで、転職を考えていない潜在層にもリーチできます。Instagramは転職目的で利用されるSNSではないため、将来の求職者となり得る大学生や転職潜在層に対しても効果的にアプローチできます。これにより、広範な層から優秀な人材を発掘することができます。
採用コストの削減につながる
Instagramの利用は基本的に無料であり、広告を活用する場合でも比較的低コストで運用できます。これにより、求人広告や人材紹介に頼らずに母集団を形成できるため、採用コストを大幅に削減することができます。企業の認知度が高まれば、自然に応募が集まりやすくなり、費用対効果が向上します。
採用サイトより気軽に情報発信できる
Instagramは手軽に投稿できるため、採用サイトやブログと比べて気軽に情報発信が可能です。写真や動画がメインのため、テキストの編集に時間をかける必要がなく、日常的に多くの人が利用するSNSであるため、運用や管理に特別なスキルは不要です。これにより、企業はリアルタイムでタイムリーな情報を求職者に届けることができます。
広告利用時は細かいターゲット設定ができる
Instagramの広告機能を利用することで、フォロワー以外の広範なユーザーにもリーチすることができます。ユーザーの登録情報や行動データに基づく細かいターゲット設定が可能なため、自社が求める人材に効率的にアプローチできます。コストを調整しやすく、少額からでも利用できるため、認知度を上げたい企業には特におすすめです。
Instagram採用のデメリット
続いては、Instagramを採用活動に取り入れることのデメリットについてご紹介します。
企業イメージがかえって低下する恐れがある
Instagramを活用する際には、投稿内容が企業イメージに大きく影響する点に注意が必要です。不適切な内容や誤解を招く表現が含まれている場合、企業のイメージを低下させるリスクがあります。また、SNSは拡散性が高いため、一度ネガティブな情報が広まると、その影響は大きくなります。炎上リスクを避けるためには、投稿前に内容を慎重にチェックし、複数人で確認する体制を整えることが重要です。
継続的な運用・コンテンツ制作に人的コストがかかる
Instagram採用を成功させるためには、定期的な投稿と高品質なコンテンツの制作が欠かせません。更新頻度が低いと求職者の目に留まりにくくなり、効果が薄れます。写真や動画の撮影、編集、投稿の一連のプロセスには時間と労力がかかるため、運用には人的リソースを確保する必要があります。特に、中小企業では限られたリソースの中で効果的な運用を行うことが求められます。
採用マーケティング等の知識が必要になる
Instagram採用で成果を上げるためには、基本的なSNS運用の知識に加えて、採用マーケティングの知識も必要です。効果的なハッシュタグの使用やストーリーズの活用、アルゴリズムの理解など、専門的な知識が求められます。ただ闇雲に投稿を続けても、ターゲット層にリーチすることは難しいため、計画的な運用が求められます。専門知識を持つスタッフの育成や外部の専門家のサポートを受けることも検討すべきです。
効果が実感できるまで時間がかかる
Instagram採用は即効性のある手法ではありません。アカウントを開設してから一定のフォロワー数を獲得し、投稿を継続することで徐々に効果が現れます。特に知名度の低い企業にとっては、多くのフォロワーを獲得するまでに時間がかかることが多いです。「応募が増えた」「内定承諾率が上がった」といった具体的な成果を実感するまでには、長期的な視点で運用を続ける必要があります。中長期的な目標を設定し、地道に運用を続けることが成功の鍵となります。
Instagram採用を成功させるポイント
実際の担当者をアイコンにする
Instagramでの採用活動では、企業アカウントとは別に採用担当者のアカウントを作成し、アイコンに実際の担当者の写真を設定することが有効です。これにより、「対企業」ではなく「対人」のコミュニケーションが可能となり、親しみやすさを感じてもらいやすくなります。年度ごとに担当者が変わる場合は、事前にストーリーズなどで告知し、フォロワーの減少を防ぐ工夫が必要です。
担当者や企業のリアルを通じて情報発信する
採用活動で魅力的な投稿を作成することは大切ですが、過度に美化された内容は避けましょう。採用担当者の目線から、企業のリアルな様子や魅力を率直に伝えることが重要です。これにより、入社後のミスマッチを防ぎ、求職者に対する信頼を築くことができます。企業の良い点や特徴を率直に紹介し、求職者が共感できる内容を発信しましょう。
ターゲットを明確にコンセプトをぶらさない
Instagramでの採用活動では、ターゲットとする人材像を明確にし、その人材に響くコンテンツを継続的に発信することが重要です。発信内容に一貫性を持たせることで、求職者に対して企業の魅力を強く訴求することができます。ターゲットを明確にした上で、適切なコンテンツを計画的に作成し、発信していくことが成功の鍵です。
インサイトでプロフィールへのアクセス数を計測する
Instagramのプロアカウントを利用することで、投稿のリーチ数やプロフィールへのアクセス数、フォロワーの属性などのデータを確認できます。これらのデータを活用して、求職者の興味や関心を把握し、より効果的なアプローチを行いましょう。特にプロフィールへのアクセス数は、企業に興味を持った求職者の指標となるため、重要なデータとして活用してください。
求職者のエンゲージメントを指標にする
Instagramを通じた採用活動では、求職者とのエンゲージメントを高めることが重要です。単なる情報発信にとどまらず、コメントやDMを通じて積極的にコミュニケーションを図り、求職者との信頼関係を築くことが求められます。エンゲージメントが高い状態を維持することで、ミスマッチの少ない採用が実現します。
継続的に更新する
Instagramでの採用活動は、即効性のある施策ではありません。フォロワー数や投稿のエンゲージメントが高まるまでには時間がかかるため、継続的な更新が不可欠です。定期的に投稿を続けることで、求職者の関心を引き、企業の認知度を高めることができます。計画的な投稿スケジュールを立て、継続的にコンテンツを発信しましょう。
ハッシュタグやストーリーズ・リールを活用する
Instagramの機能を最大限に活用することも重要です。適切なハッシュタグを使用することで、ターゲットとする求職者にリーチしやすくなります。また、ストーリーズやリールを活用することで、より多くの情報を視覚的に伝えることができます。これらの機能を効果的に活用し、求職者にとって魅力的なコンテンツを提供しましょう。
Instagram採用の投稿内容と活用方法
フィード
Instagram採用の基本となる投稿方法は、フィードです。フィードはタイムラインに表示される基本的な投稿で、写真や動画を共有する場です。フィード投稿は、ユーザーのホーム画面に表示され、「いいね」や「コメント」などの反応を通じて双方向のコミュニケーションが可能です。ハッシュタグを効果的に活用することで、ターゲット層へのリーチを広げることができます。企業の文化や職場の雰囲気を伝える写真や動画を定期的に投稿し、企業の魅力をアピールしましょう。
ストーリーズ
ストーリーズは、投稿から24時間で自動的に消える投稿機能です。国内のデイリーアクティブユーザーの70%が閲覧しており、フィードよりもさらに多くの閲覧が期待できます。ストーリーズでは、日常的な企業活動の様子やイベントの裏側、社員のインタビューなど、フィードとは異なる内容を発信することで、ファン化を促進します。さらに、フィードやリールの投稿をストーリーズで告知することで、それぞれの投稿のリーチ数を高めることができます。
リール
リールは最大60秒のショート動画を投稿できる機能です。エンタメ性の高い動画を作成し、企業のカルチャーや社員の魅力を発信するのに適しています。音楽に合わせたダンス動画や職場の一日を追った動画など、視覚的に訴求力のあるコンテンツを提供することで、若年層の求職者に対して強い印象を残すことができます。リールは短時間で閲覧できるため、気軽に多くのユーザーにアプローチすることが可能です。
ライブ配信
ライブ配信は、リアルタイムで求職者とコミュニケーションを図ることができる機能です。視聴者はコメントを通じて質問や意見をリアルタイムで送信でき、担当者がその場で回答することで、双方向のコミュニケーションが可能です。ライブ配信では、企業のイベントやオフィスツアー、社員とのQ&Aセッションなどを行い、企業のリアルな姿を伝えることができます。これにより、求職者に対する信頼感と親近感を高めることができます。
Instagram採用の成功事例
続いて、実際にInstagram採用を実施している企業事例を2つご紹介します。ぜひ各社の取り組みを参考にしてみてください。
株式会社ベネフィットジャパンの事例
MVNO事業者として、一般顧客向けに総合的なインターネットサービスを提供する株式会社ベネフィットジャパンでもInstagramを活用した採用活動に取り組んでいます。
同社はInstagramだけでなく、TikTokなどの様々なSNSツールを採用活動に取り入れています。
プロフィールにその他SNSや採用ホームページに遷移できるURLを設置し、興味を持った候補者が欲しい情報を自ら取りにいくことができるような導線を作っています。
さらにはエントリー可能なURLも配置し、興味度合いが高いうちにエントリーまでできるような工夫がされています。
SNS URL:https://www.instagram.com/benefitjapan_recruit/
アンファー株式会社の事例
“予防医学”を基に、医療との連携を通してプロダクトの企画から開発を行うアンファー株式会社でもInstagramを採用活動に取り入れています。
リールやストーリーズを頻繁に更新し、候補者の興味に基づいて社内のリアルや社風を届ける工夫がされています。
SNS URL:https://www.instagram.com/angfa.recruit/
まとめ
Instagramを採用活動に取り入れるとなると、一定の導入コストはかかりますが、上手く活用することができれば媒体コストをかけることなく候補者の母集団形成ができる経路にもなり得ます。
企業として認知拡大の効果もあるため、メリットやデメリットを正しく把握し、ぜひ導入を検討してみてください。