企業はリファラル採用を取り入れるべき?メリットとデメリット、チェックリストもご紹介

リファラル採用のルールがあるだけで実際は機能していないといったお声もよくお聞きします。今回の記事では、リファラル採用のメリットデメリットを改めて確認し、採用を成功に導くためのステップもご紹介いたします。

リファラル採用を取り入れる企業も増えてきましたが、思うように効果を出すことができないという担当者様は多いのではないでしょうか?
リファラル採用のルールがあるだけで実際は機能していないといったお声もよくお聞きします。
今回の記事では、改めてリファラル採用のメリットデメリットを確認し、リファラル採用を成功に導くチェックリストも一緒にご紹介いたします。

リファラル採用とは?

リファラル採用とは、現従業員に知り合いを紹介してもらい、採用する手法のことをいいます。
他の採用手法が集客にお金がかかるのに対してリファラル採用では集客時点で費用が発生しないことや、従業員の経歴の中で出会った知り合いであるために同じように入社後の活躍を期待できるのが特徴です。

リファラル採用が注目されている背景

リファラル採用が注目されている背景は二つあります。
一つ目は「採用難易度の増加」2つ目は「定着率の向上」です。

 採用難易度の増加

 年々市場の採用難易度は高くなっています。なぜなら、将来的に少子高齢化の影響で、日本の生産年齢人口は2060年には2019年と比べて50%も減少すると見込まれているからです。加えて外部要因から、働き方が多様化することによる社員の仕事への意識の変化などもあり、採用難易度はより高くなっていくことが予測されます。
企業は今後も少ない母集団の中から人材獲得をしなければならないと言う採用難を前にして、様々な新しい手法を試行錯誤しており、以前までの採用手法ではない方法の一つがリファラル採用というわけです。

 定着率の向上

 外部要因による働き方への意識の変化は採用難易度をあげることに加えて、社員の離職に も影響しています。そのため、「社内のエンゲージメントを高めること」、「定着してもらえるような人材とマッチングすること」が着目されているのです。

リファラル採用のメリット・デメリット

メリット

 マッチングの精度が高い

 現従業員からの紹介のため、人材のマッチ度は高いことが期待できます。求人媒体の場合であれば、マッチする人物かもわからない上に応募がこないこともあります。
 応募者数を増やしてマッチする人材を獲得する確率をあげるよりも、従業員と近いターゲットにピンポイントでアプローチができるほうが効率が良いと言えるでしょう。

 採用コストの削減

 紹介者へのインセンティブ、採用活動中の交際費のみがリファラル採用でかかる費用です。一つのナビ媒体に掲載するだけでも何百万と費用がかかる場合と比べてコストを削減しつつ自社にマッチした人材と出会える可能性が高いです。

 転職潜在層を採用できる

 また、転職潜在層を採用できる可能性も一つのメリットです。市場に出ている候補者は基本的に競合他社の採用選考を受けていることが多いでしょう。採用担当者としては、できるだけ自社で活躍してくれそうな市場価値の高い人物を採用したいというのが本音です。まだ転職を本格的に考えておらず、転職活動をしていない、まだ市場に出ていないスキルを持った人材に出会うことができるかもしれません。

 入社後の定着率が向上する

 現在の従業員からの紹介のため、会社についてよくも悪くも内情や文化などが本人に認識のある状態のことが多いです。そのため、離職の原因で多い、入ってから「思っていたのとは違った」と言うギャップが生まれにくく長期間の勤務を期待することができます。

デメリット

 不採用を出しづらい

 従業員の紹介ではあるものの、実際に企業にマッチするかどうかは見極める必要があります。入社が決まっているわけではないため不採用を出す可能性ももちろんあります。しかし紹介した友人が不採用になると、社員と紹介された友人の人間関係はきまずくなってしまう可能性もあります。せっかく紹介した社員の人間関係も尊重したいと考えると不採用を出しにくいというデメリットがあるでしょう。

 効果がでるまで時間がかかる

 社員の協力あってこそ、リファラル採用は成立します。そのため、社員がリファラル採用について認知が低いとそもそも母集団にもならない可能性があります。また、メリットの裏返しではありますが「まだ転職市場に出ていない人物のため、現職をすぐには辞めることができない」といった時間を要するケースが存在するため時間がかかることを初めから想定してリファラル採用に取り組みましょう。

 社員の協力と理解が必要

 社員の協力が必須なのはもちろんですが、採用経験のない社員が紹介をしてくれた際に、ターゲットの理解や自社にマッチする候補者の判別ができずミスマッチを引き起こす可能性が高いです。そのため、社員にどのような人物が採用したいのかといった「ターゲット」や制度を理解してもらいましょう。

リファラル採用を行う際の注意点

 他の採用手法も並行して行う

 他の採用手法を取り入れるべき理由は継続的な成果を出すために採用手法は状況に応じて使い分ける必要があるためです。リファラル採用を取り入れてもすぐには効果に繋がりません。また、現状の採用課 題に対してリファラル採用を選択するのが最善ではない場合もあるでしょう。例えば、「欠員補充で離職社員と同様のスキルを持った人材を2ヶ月以内に採用しなければいけない」場合は媒体を利用する方が現状ほしい人材をピンポイントで募集できるかもしれません。

 公平な評価を行う

 社員の紹介だからといって絶対に自社にマッチしているという確証はありません。志向性やスキルは似ている可能性もありますが、採用すべきかどうかは他の採用手法と同様の評価軸で選定しましょう。

 社員の負担をなるべく軽減させる

 いくつものルールが敷かれたマニュアルから一度目を背けたくなるように、複雑なプロセスなものであればあるほど敬遠されてしまいます。社員が簡単に紹介できるような仕組み作りを心がけましょう。

リファラル採用を成功に導くステップ

 自社社員のエンゲージメント向上

 何度も上述してきましたが、社員の協力あってのリファラル採用です。従業員がおすすめできる企業であるためには従業員にまずは魅力を感じてもらう必要があります。
 「福利厚生などの制度による働きやすさ」「人間関係などの職場環境における働きやすさ」などの改善を行い、従業員の満足度を上げていきましょう。

 ターゲットやペルソナを作成する

 リファラル採用について、従業員にどのような人材がほしいのかを理解してもらう一つの手法としてターゲットやペルソナを作成するのがいいでしょう。これらを作成することによって、ほしい人材の解像度が上がり、人事が集めてきてほしいと考えている人材像との齟齬が小さくなります。初めから自社にマッチしている可能性の高い人材に出会えるため、効率的でもあります。

 ルールや仕組み、制度を構築する

 従業員が紹介したくなるような制度、紹介しやすい制度を仕組みとしてしっかりと構築しましょう。仕組みはマニュアルのような形で社内に公表し、いつでも確認できるようにしておくといった配慮があるとより良いです。また、不採用になった際の仕組みやフォロー体制を事前に作成しておきましょう。

 リファラル採用について社員に認知してもらい、認識を揃える

 人は「利があること」に基本能動的になります。そのため、リファラル制度を活性化させるにはリファラル採用がどのように従業員に寄与できるのか、制度はどのようなものなのか社員に齟齬のないよう認知してもらいましょう。
 せっかく紹介してもらった人材が全く採用に繋がらないと、紹介した従業員も紹介者と気まずくなってしまうかもしれません。それでは結局従業員のエンゲージメントを下げることにも繋がります。

 アクション方法まで具体例で伝える

 最後に、従業員が行動を起こしやすいようにサポートすることも必要です。例えば、紹介文のテンプレートを一緒に配布したり、簡単に呼ぶことができるカジュアル面談の機会をセッティングするなど、ちょっとした配慮を行うことが重要です。

リファラル採用に協力した社員の声

リファラル採用に協力した社員に対し、意識していたことについて聞いてみたところ、下記のような回答が得られました。
 :ok_女性:複数の趣味をもち、〇〇だから誘うなど定期的に参加できるコミュニティを持つようにしています。
 :no_男性:仕事上の関係値の延長で、食事に誘うことや、共通趣味での会合などを設定していました。
 :ok_女性:何かあったらあの人に話そうという一次想起を意識した関係構築を意識していました。

「リファラル採用を目的に行っているのではないこと」が前提にあるとのことでしたが、複数のコミュニティを持っている社員や社内でも相談役に乗ることが多いような社員に意識してもらってみるのもいいかもしれません。

まとめ

メリットを理解してもらうことができると、積極的に協力してくれる社員も多いようです。また、コミュニティを多く持っている社員が1人でも協力してもらうことができると、リファラル採用という制度を社内に広めることもできます。
まずは1人の社員からリファラル採用に協力してもらえるよう、長期的な目線で取り組みましょう。