採用ペルソナはなぜ重要?ミスマッチを抑える設計のポイントとテンプレート例も紹介

採用ペルソナ作成時には、「本当にこれがいい採用ペルソナなのか」独自の方法で作成しているため自信がないといったお声をよく聞きます。今回は採用ペルソナの設計方法、ポイント、新卒採用のペルソナ設計テンプレート例もご紹介いたします。

採用ペルソナを作成する際に、「本当にこれがいい採用ペルソナなのか」独自の方法で作成しているため自信がないといったお声をよく聞きます。

そこで今回は効果的な採用ペルソナの設計方法、ポイントについて新卒採用のペルソナ設計テンプレート例も交えながらご紹介いたします。
来年度の採用ペルソナの作成や、今年度の採用ペルソナ作成の振り返りとしてご活用ください。

採用ペルソナとは

「自社で最も採用したい人物像」を具体的に表現しているもののことを、採用ペルソナといいます。
「ペルソナ」とはマーケティングでよく使われている概念の一つです。ターゲットとなる顧客像や架空の人物を具体化し、そのターゲット像に基づいてサービス設計を行ったりプロモーションを考えるといった使い方をします。
現在の採用市場は年々採用競争が激しくなっており、「採用ペルソナ」という考え方は上記の由来を踏まえても非常に重要になっていると言えます。

ペルソナとターゲットの違い

「採用ペルソナ」と近い概念として「採用ターゲット」があり、違いは解像度です。
「採用ターゲット」の中に「採用ペルソナ」が入っているイメージをしてください。
どちらも採用活動において重要ですが、使う場面が異なります。

採用ターゲットは年齢や性別といったカテゴリを組み合わせた「共通部分」のことを指し、候補者を面で捉える際に有用です。
採用ペルソナは共通部分の中にいる「架空の人物」のことを指し、点で捉える際に活用します。

採用ペルソナはなぜ重要か

採用ペルソナを作成すると、それを起点として採用においての指標や基準が定まり、下記のメリットを得ることができるためです。

ペルソナ設計のメリット

 自社にマッチした人材と出会える

 より会社にマッチした人物に向けて訴求ができるようになるため、集まってくる応募者の中に、全く自社にあっていない人物がいるという状態をなくすことができます。
 人物像に合わせた訴求をすると候補者が自らに当てはめてイメージしやすく、当てはまっている場合は安心感や自信を持って応募することに繋がるためです。
 当てはまっていないと感じた候補者は別の求人を探しにいくために、企業は自社で活躍する可能性のある人物と選考で会うことができるのです。

 採用したい人材のイメージを共有できる

 ペルソナがあることで面接の評価や採用計画、振り返り時に社内で共通の認識を持つことができます。
 もしもペルソナがなければ面接官は評価の判断が難しく、ミスマッチにつながる可能性や、共有やFBにも時間がかかってしまうなど非効率な状態を作ることになります。

 面接や面接後の活動では社員の力を借りる機会が多くあるため、事前にペルソナを共有できるようにしておきましょう。

上記の結果、効率的な採用活動ができるようになるため採用ペルソナは非常に重要な役割を担います。

ペルソナ設計までの流れ

下記の流れを利用してペルソナの設計を行ってみましょう。
・採用目的を明確にする
・経営陣や現場社員からニーズをキャッチアップする
・市場の調査を行う
・求める人物を構成する条件を整理する
・ペルソナの認識を社内共通にする

 採用目的を明確にする

 初めに、採用をなぜしたいのか、目的を明確にします。
 なぜなら、採用目的によって採用したい人物像は変わるためです。
 例えば採用目的が「プロジェクト体制の強化」なのであれば、そのプロジェクトを進めていくのに必要な知見やスキルを持った人材にターゲットを設定することが必要です。
 欠員補充なのか、増員なのか、など何をするための採用なのかを明確にしましょう。

 経営陣や現場社員にヒアリングし、ニーズを洗い出す

 実際に活躍できるのかどうか、どのような人材が必要なのか、必要なスキルは何か、どのような人材が今定着しているのか、などは現場の社員が一番理解しています。
 現状のデータからペルソナを作成する際には現場社員をモデルにしたり、聞きにいくのが いいでしょう。
 経営陣には、「企業の展望」について詳しく聞き、それらを実現していく上でどのような スキルを持った人材が必要なのかを明確にしましょう。

 市場調査を行う

 市場ではどのような採用基準、福利厚生、給与条件で募集をかけているのかを調査しましょう。
 重要なのは、他社の条件に無理に合わせず、あくまで自社の採用条件を決定するデータとして活用することです。
 何故なら、自社と他社で比べたときに比較的採用条件は少し条件が悪いとしたら、その分採用基準を少し下げなければ人は集まらない可能性があるためです。
 自社の採用目的に沿った人物はどのような採用条件で市場で募集がかかっているのかを参考に調査しましょう。

 求める人物を構成する条件を整理する

 ペルソナの基盤を作るためにも、求める人物を構成するであろう条件を書き出しましょう。下記のような項目で条件を書き出してみてください。

基本項目
 年齢 性別 学歴 居住地 家族構成 
プライベート
 趣味特技
経験/仕事
 部活動/アルバイト
 現在の仕事内容/経歴
 職種
 成果
 転職軸
 保有スキル

 仮のペルソナを設計して認識を関係者とすり合わせる

 仮のペルソナを設計したら、認識のズレがないのか経営陣や現場社員と確認しましょう。
 その際にも、経営陣と現場社員では意見が異なる場合もあります。それぞれ譲れない条件、あるといい条件などと優先順位まで聞いておくのがいいでしょう。

ペルソナ設定のポイント

 共有

 採用ペルソナを作成したら社内の関係者に共有しましょう。人事が考えている社内に必要な人物と現場が考えている必要な人物、関係者三者三様のイメージがあるはずです。
 そのイメージを具体化し、社内共通認識を持って採用に臨める一つの指標となるものなので必ず共有して認識をすり合わせておきましょう。

 細かく設定しすぎない

 採用ペルソナは特定の人物をイメージし、趣味や意思決定の仕方まで考えます。
 その際に考えなければいけない項目と考えなくてもいい項目の境が曖昧になってしまい細かく設定しすぎてしまうことがあります。
 ですが、「りんごは青色の方が好き」といった業務に関係のないことまで決める必要はありません。
 細かく設定すると、その採用ペルソナにあった人物になかなか出会えなかったり、ペルソナにあっていないからと不採用にしてしまい、せっかく採用力を強化するための採用ペルソナも意味がなくなってしまいます。

 複数パターン用意する

 全く同じ思考の人物でプロジェクトを行うよりかは異なる思考を持った人物が様々な観点を持ち寄りプロジェクトを行う方がいいものが出来上がるといった経験をしたことはないでしょうか?
 もしくは、チーム競技に例えるとわかりやすいのですが、サッカーにおいてフォワードばかりのメンバーが集まっても勝つことはできません。それぞれが得意なポジションで活躍し、協力することで強いチームに勝つこともできます。
 同じように採用の目的によって大まかな方向性は決まるものの、その中でも全て同じような人物をとるのではなくいくつかのパターンを用意しておくのがいいでしょう。

 優先順位をつけておく

 項目には必ず優先順位をつけておきましょう。ペルソナは架空の人物にすぎません。ペルソナを構成する要素の全てが当てはまる人に出会える確率はほとんど0に近いでしょう。どの項目を優先して見るのかを決めておきましょう。

 定期的にブラッシュアップする

 採用ペルソナは作成した後に、求人などが集まってきてから本当の結果がわかります。その際に、採用ペルソナがあっていなかったのか「人が集まらない」「採用につながらない」
といったことも起こりえます。
 その際は一度作成した採用ペルソナにこだわりすぎず、変更することも考えましょう。
 また、採用の市況によっては変えざるを得ない場合もあるかもしれませんので、柔軟に対応しましょう。

ペルソナ設定実例

 新卒採用テンプレート例

年齢現役入学の21歳
性別男性
学校郡H大学 文系
所属コミュニティ大学:サークル所属なし
アルバイト:個別指導塾講師
居住地東京
資格教員免許(仮)TOEIC
経験中学は地元の公立中学に進み、部活動は陸上部に所属。
陸上部ではチーム戦というよりも個人競技になるため個人の技を磨くことに一生懸命取り組んできた。
そんな中、他者優先の姿勢を評価され生徒会に選ばれ、「自分がどんな行動をすれば相手が喜ぶのか」、「物事をもっとよくしていくにはどうしたら良いかを考えること」、陸上競技では感じられなかった、”周りを巻き込むことでプラスに動かす”ということに価値を感じるようになった。

上記のように、特有の経験から構成された「思考の仕方」まで記載するのがいいでしょう。また、特有の経験は過去の経験、体験などからまずは考えてみましょう。

ペルソナ設定後の施策

 媒体選定

 採用ペルソナが決定したら、まずは最初に候補者の目に触れる媒体の選定し直しをしましょう。
 もしもベンチャー思考の候補者に多く出会いたいのであれば、合同説明会等に参加するよりはダイレクトスカウトに登録するのがいいかもしれません。

 求人情報やスカウト文面の変更 

 求人情報の内容も書く内容を精査し、採用ペルソナが興味を持ってくれたり、共感してもらえるような内容に変更しましょう。
 ダイレクトスカウトは、個別アプローチができ、特別感を出しやすいチャネルです。全ての人に刺さりそうな内容にするのではなく、「なぜあなたなのか」がわかる文面が求職者の応募意欲につながります。
 設定した採用ペルソナを活用し、どんなスカウトであれば応募したくなるのかを考え、思考に沿ったスカウトを打ってみるのもいいでしょう。