自社では一人当たりにどれほどの採用コストがかかっているのか、また、新卒採用一人当たりの平均採用コストはどれくらいなのかご存じでしょうか。
少子化やオンライン化で採用競争が激化する中、採用コストを抑えつつ、採用する方法を探したいという採用担当者の方は多いと思います。
そこで、 採用力を落とさずに採用コストを削減するためのポイントと方法を、新卒採用一人当たりの平均コストと合わせて紹介いたします。
採用コストとは
採用コストとは、企業が1年間で採用において利用した費用の総額を指します。
求人の募集や面接に携わった人の人件費、研修費用など、候補者が企業に入社するまでにかかる全ての費用が含まれます。無駄なコストを削減するために、採用コストを正しく把握し、自社にあった適切な施策を打てるようになりましょう。
次に採用コストの中でも「内部コスト」と「外部コスト」は何を指しているのかについて説明します。
内部コスト
内部コストとは、人件費がメインの「社内でかかる費用」を指します。
例:採用担当者や、面接官などの採用に携わった人間の人件費、リファラル採用のインセンティブ
人件費は数値化が難しいため、担当者や面接官が採用にかけた時間を控えて、時給換算できるようにしておくことが重要です。
内部コストを削減する際に最初に思い着くのは「採用担当者を減らすこと」だと思いますが、担当者を減らした分一人当たりの負担が増え、採用の質が落ちてしまうといったことも懸念されるため、注意しましょう。
外部コスト
外部コストとは「社外の力を借りてかかる費用」を指します。
例:求人媒体の掲載費 管理システムやスカウト媒体、面接ツール等の利用費
新型コロナウイルスの蔓延によりオンライン化が促進され、SNSでの広告やアプローチが以前と比べてメジャーになりました。目まぐるしく変化する市場で、その時々の傾向に合わせて何にどれだけの外部コストを使うのか、定期的に見直しましょう。
採用単価とは
「採用単価」と「採用コスト」は同義ではなく、候補者一人を採用するのにかかった費用のことを採用単価といいます。
算出方法
採用コスト、採用単価はそれぞれ下記の方法で算出できます。
採用コスト = 内部コスト + 外部コスト
採用単価 = 採用コスト ÷ 採用人数
例えば、「採用コストが500万円、採用人数5人」の場合100万円が採用単価です。
新卒採用一人当たりの採用コストは?
では、新卒採用1人あたりの平均コストはどれほどなのでしょうか。
2019年度 93万6000円
2018年度 71万5000円
引用:就職みらい研究所.就職白書2020
平均およそ100万円弱、1年間でおよそ20万円以上増加していることがわかります。
「新卒採用に関わる平均人数」についても調査しており、企業の規模が大きいほど、採用に関わる社員の人数が増えています。
規模が大きいほど採用の人数が多くなることが要因として考えられ、その点内部コストも伴って増加するでしょう。
採用コストの推移
就職みらい研究所の就職白書は2021年度以降1人あたりの平均コストに関する記載が無くなりました。その代わり、企業の採用に費やす総費用の見通しを掲載しています。
調査結果によると、採用に費やす総費用が「昨年度と同額」と回答した企業は67%、「昨年度よりも増える」と回答した企業が22%、「昨年度よりも減らす」と回答した企業は10%でした。
そのため、ほとんどの企業が採用コストを昨年度と同様もしくは増加することを考えていることがわかります。
背景には少子高齢化の影響による有効求人倍率の増加があると考えられます。何故なら有効求人倍率が上がると自ずと企業間で「人材」の獲得競争が始まり、採用コストは競争に伴って増加していくためです。
削減ポイント
採用コストは闇雲にコストカットしようと考えると採用の質が落ちる要因となり、結果、より採用コストがかかってしまうでしょう。
そこで着目したいのは、採用の質を落とさずに採用コストを削減する方法です。
まずはコスト削減のための見直しポイントを紹介します。
ポイントは、
・適切に外部コストを投資する
・採用ターゲットのミスマッチを防止する
ことです。
「適切に外部コストを投資する」
外部コストが採用コストのほとんどを占めています。外部の力を借りて自社のプロモーションをすることももちろん大切ですが、自社でできる工夫をすることで多大な外部コストを使わなくても採用できる可能性があります。
例えば母集団形成においても、成果の出やすい経路は継続して利用し、成果の出ていない経路は無料の広告媒体に変えてみるなどしても良いかもしれません。
「採用ターゲットのミスマッチを防止する」
なぜミスマッチを防止するべきなのか、それはミスマッチが生じてしまうと、内定承諾までにかけた採用コストが無駄になってしまうためです。
加えて、新たに採用をするために再度採用コストが必要となるでしょう。
結果として、ミスマッチがあった場合と無かった場合では採用コストに倍以上の差が生じることが考えられます。
削減するための方法
今すぐに取り組める施策について、上述したポイントと合わせて説明します。
現状の利用コストをチェック
採用コストを今どこにどれだけかけているのか、媒体を複数利用しているのであれば費用対効果等を把握しましょう。
膨大な人事のリソースを使っている作業が、システムを利用することで自動化されることがあったり、効果の少ないツールに料金を多大に払っている可能性もあります。
≪具体的な見直し例≫
L 内部コスト
選考フローの工数の見直し 面接官ごとの移行率
L 外部コスト
母集団形成の費用対効果を把握(求人媒体、人材紹介etc)
母集団形成でコストを抑えるには?
ダイレクトリクルーティングを取り入れる
ダイレクトリクルーティングでは、採用したいターゲットに企業がアプローチすることができます。自社にマッチするであろう人材に直接魅力を伝えることができ、候補者も「アプローチをされる」という特別感を味わうことができます。
無料で掲載できる広告媒体に登録する
最近は無料で求人広告を掲載することができる媒体もあります。
例えば、indeedやengageなどが挙げられます。
リファラル採用を取り入れる
リファラル採用とは社員に友人や知人を紹介してもらう方法のことを指します。リファラル採用では広告費用もかかりませんし、社員から社内の情報を候補者がキャッチした上での応募になるためミスマッチも起こりづらくなります。
リファラル採用にかかるのは内部コストとなる紹介社員へのインセンティブのみのため、採用コストを大幅に削減することができます。
自社の採用サイトを強化
学生が就職活動中に参考・活用したメディアは何か?というアンケートで「ホームページ」と回答した学生が81%です。
実際に学生が企業を知るために参考にする一番の情報収集の場となるため、企業理念や社員の声など、会社の「リアル」が伝わるようなコンテンツを用意すると志望度が高まります。
ホームページを作成する内部コストは発生しますが、一度作成すると、広告費用などはかかりませんのでコストを大幅に削減することが可能です。
引用:就職みらい研究所「採用活動中間調査 就職活動状況調査 データ集 2022年卒」の就職活動中に参考・活用したメディア
ソーシャルリクルーティングを活用する
今ではほとんどの学生がSNSで情報収集をしています。
ソーシャルメディアは、無料で始めることができるものも多く、簡単に開始することができます。現代のZ世代はSNSネイティブと呼ばれるほどITリテラシーが高いため、コストをあまりかけずに媒体では出会えないような人材と会うことができるかもしれません。
ターゲットを明確にする
自社で必要なターゲットのペルソナを明確にしましょう。
明確なターゲットがあることで必要な採用フローや媒体など取捨選択がしやすく、目的から方法が逸れてしまうことなく採用活動を行うことができるため結果的に採用コストをおさえることが期待できます。
例えば複数のサービスを利用して集客をすると様々な候補者に出会うことができますが、媒体ごとで集まりやすいターゲットは決まっているため、ターゲットに合わせて自社にあった集客サービスを1つ選択する方が採用コストは抑えつつ集客に取り組むことができます。
選考フローの見直し
ターゲットが定まったら、自社の選考フローの中で「選考辞退」「内定辞退」「ミスマッチ」など、いわゆる採用の「歩留まり」が生じているところはないか確認してみましょう。
採用の歩留まりが生じている場合は、下記の施策の取り入れを検討してみるといいかもしれません。
カジュアル面談
ミスマッチが起こる要因として挙げられるのは、入社前と入社後のギャップにあります。
入社前に会社の良い面ばかりを伝えてしまったために、厳しさや課題に直面した際に少しのギャップであっても本人に取っては大きな指標で離職を考えてしまうということは決して少なくありません。
このギャップを埋めるために、実際の職場で働いている「生の声」を聞いてもらう機会を作ることで、仕事面や人間関係など、仕事をした際のイメージをよりリアルな形で持ってもらうことができます。
また、選考となると候補者は自分をアピールする場になりますので、なかなか本心を聞き出すことが難しい場合があります。選考要素のない場を設けることで、企業も候補者の本音と向き合い、双方がマッチしているかを確認する機会にもなるでしょう。
データ・進捗の可視化
採用市場のトレンドが目まぐるしく変化していくように、振り返りにおいて歩留まりを確認しているだけでは他社との人材獲得競争において優位性を確立確率することが難しくなってくるでしょう。
現在目標に対してどれくらいの進捗で進んでいるのか、進捗の悪いところがあればリアルタイムで修正をかけれる状態にしておくことが望ましいです。
見る指標は、経路ごとの母集団形成数、選考移行率、目標達成率です。また、候補者分析もできているとなお良いでしょう。なぜなら、内定している候補者ににている人材にオファーを出したり現状進行中の似た候補者にアプローチをかけるなど、コストカットの工夫が可能なためです。
最後に
弊社では「採用管理システム」サービスを提供しており、
上述したコスト削減見直しのポイントのどちらにもサポートできる機能が備わっております。
企業様の新卒採用課題に応じたご提案を致しますので、ぜひお声がけください。