リクルーター制度とは、企業の採用活動において内部の社員をリクルーターとして任命し、彼らが候補者と直接接触することで採用の質を高める制度です。リクルーター制度を導入すると、求職者に選考外の接点を持ち、より密なコミュニケーションを取ることができるため、企業の魅力を効果的に伝えることができます。
本記事では、リクルーター制度の概要と導入方法について詳しく解説し、企業における具体的な役割や選定基準、育成方法についても紹介します。リクルーター制度を上手く活用し、企業の採用活動をさらに強化しましょう。
リクルーター制度とは?
リクルーター制度とは、企業が内部の社員をリクルーターとして任命し、彼らが候補者と接触・面談を行う仕組みのことを指します。リクルーターは、求職者との直接的なコミュニケーションを通じて、企業の魅力を伝え、優秀な人材を引き付ける役割を担います。
リクルーターの役割と企業における重要性
まずはリクルーターの役割や企業におけるリクルーター制度の重要性についてご紹介いたします。
リクルーターの具体的な役割
企業におけるリクルーター制度の役割は、単なる採用活動のサポートに留まりません。リクルーターは、企業の顔として候補者と接触し、企業文化や価値観を伝える重要な役割を担います。
リクルーターの具体的な役割には、以下のようなものがあります。
- 母集団の形成
- 自社の魅力のアピール
- 内定辞退の防止
リクルーター制度を効果的に運用することで、企業は優秀な人材を確保し、採用活動の成功率を高めることができます。下記でそれぞれの役割について詳しくご紹介いたします。
母集団の形成
1つ目の役割は、「母集団の形成」です。
リクルーターは、企業説明会や就活イベントなどのイベントで積極的に候補者と接触し、企業が求める人材の母集団を形成する役割を担うことができます。
母集団を増やすことができれば、より広範な候補者の中から最適な人材を選ぶことが可能になります。
対面のイベントに限らず、オンラインのLinkedInやmacherなどのSNSでリクルーターが活動することでも潜在的な候補者とつながることができます。
自社の魅力のアピール
2つ目の役割は、「自社の魅力のアピール」です。リクルーターは、企業の魅力を候補者に伝える役割も担っています。
彼らが実体験などを踏まえて伝えることで候補者はより身近に感じやすい上、理解度を上げることもできるでしょう。アピールし、候補者の興味を引き付けます。
内定辞退の防止
リクルーターは、内定辞退防止策としても重要な役割を果たします。
リクルーターを活用して候補者と継続的にコミュニケーションを取れば、企業への志望度を高めるサポートにもなります。
例えば内定後に候補者が感じる入社への不安や疑問をいち早くキャッチアップできたり、信頼関係を築くことができれば、入社への意欲を高めることも期待できるでしょう。
リクルーターに必要なスキルと適性
リクルーターの選定は、リクルーター制度を成功させるにあたって非常に重要なポイントになります。
例えば、リクルーターには、以下のようなスキルや適性が求められるため、選定基準として参考にしてみてください。
- コミュニケーションスキル
- 公平な態度で候補者とコミュニケーションをとることができる
- 企業文化の理解:自社の文化や価値観を深く理解し、それを候補者に伝えることができる。
- 候補者との年齢が近い
- 企業へロイヤリティを感じている
はじめから上記のスキルを持っている人材を選定しなくとも育成するという方法もあります。
リクルーター制度のメリット・デメリット
リクルーター制度が企業にとって重要な制度であると感じた担当者の方も多いのではないでしょうか。
もしも採用活動にリクルーター制度を活用するのであればメリットやデメリットを正しく把握する必要があります。
本項目では実際に活用した場合に起こりうるメリットとデメリットをご紹介いたします。
リクルーター制度のメリット
まずはリクルーター制度のメリットについてご紹介します。
早期からアプローチできる
1つ目のメリットは、早期からアプローチができることです。
リクルーター制度を導入することで、企業は早期から優秀な候補者にアプローチすることが可能になります。就活解禁の前でも面談であれば実施に問題はありません。
実際に様々な企業が、他社に先駆けて有望な人材を確保するため、早期インターンなどのあらゆる手法を活用して早めの採用活動に取り組んでいます。
HR総研と楽天みん就が実施した【HR総研×みん就】2025年卒学生の就職活動動向調査(3月)によると学部3年生6月以前から就活開始する25卒学生は約50%という結果も出ています。
求職者の本質の把握ができる
リクルーターは候補者と面接要素のない環境で接触するため、候補者も話しやすく、面接だけではわからない候補者の本音や能力を理解することができます。
志望度の向上
リクルーターが候補者と良好な関係を築くことで、候補者の企業への志望度を高めることが期待できます。実際に同じ状況下で働いている先輩社員の生の声を聞くことで、入社した際のイメージの解像度を上げることができたり、候補者が企業に対して持つ不安や疑問を解消する役割を果たすことができるためです。
また、候補者一人ひとりのニーズや質問に応じた対応が行えるため特別感を与えることもでき、志望度を高めることができるでしょう。
リクルーター制度のデメリット
一方で、リクルーター制度にはいくつかのデメリットも存在します。
リクルーター制度を取り入れる前にデメリットをしっかりと理解し対策を講じることが重要です。
リクルーターの質に依存
リクルーター制度の成功は、リクルーターの質に大きく依存します。リクルーターが適切なスキルや知識を持っていない場合、採用活動の効果が逆に低下する可能性もあります。厳正なリクルーターの選定や継続的なトレーニング、フィードバックなどをしっかり行うようにしましょう。
企業イメージへの影響
リクルーターの活動が不適切であった場合、企業イメージに悪影響を及ぼす可能性があります。もしも候補者が不適切な対応に対して不満や疑問を抱いた場合、SNSなどに情報が書き込まれ共有されてしまう可能性もあります。すると、企業全体の評判が悪化し、他の候補者にも悪影響を与えるかもしれません。
従業員への負担増加
リクルーターを担当する従業員にとって、通常の業務に加えて採用活動を行うことは負担となります。特に忙しい時期には、リクルーター業務が従業員のストレスや疲労を増加させることにも繋がりかねません。リクルーターを担当する従業員の業務量を適切に把握し、過剰な負担をかけないようにしましょう。
リクルーター制度の導入ステップ
リクルーター制度を導入する際には、下記のステップを参考にしてください。
リクルーター制度導入の準備
リクルーター制度を導入する前に、企業はしっかりとした準備を行う必要があります。まず、企業のニーズや目標を明確にし、それに基づいてリクルーター制度の設計を行います。以下のステップを理解し、準備を進めていきましょう。リクルーター制度の設計には目標や目的の設定、制度の導入に必要なリソースの確保などが含まれます。また、リクルーター制度を導入することにより企業のイメージ悪化などを招かないよう、ルールの設計も同時に行いましょう。
リクルーター制度を導入する候補者の選定
リクルーター制度を導入する際には、導入する候補者の選考フェーズを選定しておきましょう。なぜなら、リクルーター制度にアサインする担当者は無限にいるわけではないからです。さらに、普段別の業務を行っている担当者をアサインするとなると担当者に過度な業務負担を強いる可能性があるため、事前にリクルーター制度を導入する選考フェーズを制限しておく必要があります。
リクルーターの選定
次に行うのはリクルーターの選定です。リクルーター制度の成功は、適切なリクルーターの選定が大きく影響します。そのため、まずはリクルーターに必要なスキルや資質を明確にし、基準に基づいて選定しましょう。学生の心を開き、自社の魅力を正しく伝えられるリクルーターを選定することが、リクルーター制度の効果を感じるには不可欠です。
リクルーターの育成・トレーニング
続いてのステップは、リクルーターの育成・トレーニングです。採用目的や候補者評価の方法についても理解しておかなければなりません。また、リクルーター制度の定期的なフィードバックを実施してリクルーターの育成につながる環境づくりに努めましょう。
リクルーター制度の運用と周知
リクルーター制度を運用する際には、制度が円滑に機能するように管理することが重要です。定期的なフィードバックを行い、改善点を指摘しましょう。また、説明会や大学、個人面接などにおいてリクルーター制度があることを提示することもいいでしょう。
リクルーター制度に活用したいワンポイント
本項目では、リクルーター制度を導入する際に取り入れたいポイントについてご紹介します。
適性検査の導入
リクルーターの選定の際に活用できるのが適性検査です。例えば、最終選考前の候補者に対してリクルーターをつけるとします。
その際、適性が合う人材がアサインできた方が共通点も多く本音を引き出しやすい可能性があります。適性検査の結果をもとに担当リクルーターをアサインするなどの工夫をしてみることも一つの手段です。
まとめ
リクルーター制度は、企業が採用活動を効果的に進めるための強力な手段の1つです。本記事で紹介したポイントを踏まえ、リクルーター制度を適切に導入・運用することで、優秀な人材を効果的に採用し、競合他社との競争力を強化することができるでしょう。
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