新人教育で即戦力を育てるコツとは?失敗例、取組事例を紹介

新入社員が加わる際に行われる新人教育は、企業の成長という面で大変重要な役割を果たします。なぜなら、新人教育が成功すれば即戦力として活躍できる人材が育ち、失敗してしまうと早期離職が生じてしまう可能性があるためです。

本記事では、新人教育で即戦力を育てるためのコツから失敗例や取組事例をご紹介いたしますので、今後の新人教育活動の参考にしてみてください。

新人教育の目的

ほとんどの企業に共通する新人教育の目的は、「企業を成長させるための即戦力にすること」です。

この目的を達成させるために行うべき項目は、下記2点です。

  • 基本の社会人スキルを身につける。
  • 業務を行うための知識やスキルを身につける。

まず1点目は、基本の社会人スキルの習得です。

学生だった新人が会社の顔としてお客様や顧客の前に立つ際には、メールの書き方や名刺の渡し方、電話の受け答えなど最低限のマナーやスキルを身につける必要があります。

2点目は、業務上の知識やスキルの習得です。職種や業務内容によって身につけるスキルや知識はさまざまです。例えば、商材の理解や市場の知識、簿記などの検定結果が必要な職種もあります。

新人教育の具体的手法

続いて、新人教育の具体的な方法について、一般的に使用されている手法は

  • OJT
  • Off-JT
  • オンライン研修

の3つです。

OJT

OJTとはOn the Job Trainingの頭文字をとった略称で、実際の業務を行う中で新人を教育する方法です。

実務に基づいてスキルを身につけることができるため、より実践的なノウハウをためることができます。また、その場でフィードバックができるため、PDCAをより回しやすくなったり、個人の進捗に合わせて進めることができることも大きなメリットです。

Off-JT

Off-JTとはOff the Job Trainingの頭文字をとった略称で、例えば、セミナー形式であったり本を読んでもらうなどの座学での新人教育のことを指します。

一度の開催で大人数の教育ができることや、グループワークなどを取り入れることが可能なため、新人同士の横の繋がりができることなども離職防止につながるためメリットになります。

オンライン研修

その他の手法としてオンライン研修があります。例えばe-ラーニングなどが代表的なものとして挙げられます。学習する者のタイミングで視聴や学習できることや、場所を選ばずに受講できることがメリットです。

新人教育失敗例

上記の手法を活用し、「企業を成長させる即戦力人材の育成」のために新人教育は大変重要であることをお伝えしました。

同時に、新人の成長や離職の可能性は新人教育が大きく影響すると言っても過言ではありません。本項目では失敗を事前に防ぐことができるよう、失敗例をご紹介いたします。

感情的に対応する

1つ目の失敗例は、「感情的に対応すること」です。

新人の態度や失敗などに時には苛立ちを覚えることもあるかもしれません。しかし、新人教育において学ぶ側が萎縮してしまう環境は新人の積極性を削いでしまったり、「怒られないために」仕事を行うようになってしまいます。

また、現代ではパワハラなどで大きな問題にもなり得ますので十分に注意しましょう。

自身の経験を絶対視する

2つ目の失敗例は、「自身の経験を絶対視すること」です。自分の経験により、失敗を防ぐこともできるかもしれません。しかし、自身の実績は自分のスキルや価値観、その際の環境や状況によって形成されたものでもあります。そのため、全く異なる新人に同様の手法で行うことが正解とは限りません。

社内用語の説明が不十分、多用してしまう

3つ目の失敗例は、「社内用語の説明が不十分であったり、多用してしまうこと」です。「はたらく」ことそのものが初めての新人には、聞くこと見ること全てが初めてのものばかりです。そのため、教育担当が当然と思っていることも新人には理解するまでに時間がかかります。

新人が上司に、わからないことについて話を遮り質問することは勇気が要ります。そして

わからないまま進めてしまうことで起こりうるリスクの可能性も考えると、研修担当がしっかりと配慮することが必要でしょう。

仕事の目的や背景を伝えない

4つ目の失敗例は、「仕事の目的や背景を伝えないこと」です。誰しも目的や背景を知らないことに対してモチベーションを維持することは難しいのではないでしょうか。新人は特に仕事への理解や企業への理解もままならず、自ら目的を見出すことは難しい傾向にあります。

指摘の際に改善点を伝えない

5つ目の失敗例は、「指摘の際に改善点を伝えないこと」です。

指摘された点の反省ができたとしても、右も左もわからない新人の改善方法の引き出しは多くありません。新人教育の目的は「企業を成長させるための即戦力にすること」とすると、新人の改善スピードをあげるためにも改善点を伝えることは重要です。

新人教育で即戦力を育てるコツとは?

続いては、新人教育で即戦力を育てるためのコツを7つご紹介します。

新人の質問できる環境を整える

まず1つ目のコツは、「新人の質問できる環境を整える」ことです。

企業としては、教育担当の業務負担を少なくすることなどに取り組みましょう。教育担当が片手間で新人教育を行うと、新人は質問したくとも憚られてしまいます。

また、教育担当は普段のコミュニケーションを通して質問できる関係性を構築する必要があります。

「怖いから質問できない」や「聞いていいのかわからない」といった、質問せずに自分で解決しようとすると、時間もかかり解決のバリエーションも少ないためむしろ非効率的です。

わからないを前提に説明をする

2つ目のコツは、「わからないを前提に説明をする」ことです。

上述してきたように、新人は見るもの聞くもの、全てが目新しく、数年その業務を行ってきた教育担当に比べるとわからないことばかりです。

わからないまま業務を行いミスしてしまうことを考えると、「わかっているだろう」と考えるのではなく、わからないものだと考えて丁寧に説明しておきましょう。

思考の余白を与える

3つ目のコツは、「思考の余白を与えること」です。

思考の余白を与えることで、自分で答えを導き出す思考力を身につけることができます。その場では時間がかかってしまうかもしれませんが、繰り返すと1人で自走できる人材に育つため長期的な視点で見ると工数の削減に繋がるでしょう。

挑戦を進め、失敗を受け入れる

4つ目のコツは、「挑戦を勧め、失敗を受け入れること」です。

経験することほど成長を促すものはありません。知識は頭だけでの理解ですが、経験は頭と身体で身につけることができます。百聞は一見にしかずということわざがあるように、経験することでわかることは多くあります。

積極的に新人が挑戦できる環境を整えるのも教育担当の役割です。そして、失敗を恐れて挑戦がなくならないように失敗を受け入れることも重要です。

明確な目標を設定する

5つ目のコツは、「明確な目標を設定すること」です。明確なゴールを設定すると、新入社員の学習や達成意欲を高めることができます。

もしも明確な目標がなかった場合、現在の仕事が何に繋がっているのかがわからず、だらけてしまったり介在価値などを感じられなくなってしまう可能性があります。

フィードバックを積極的に行う

6つ目のコツは、「フィードバックを積極的に行うこと」です。フィードバックを行うことで自らでは気づくことができなかった自分の課題や改善点を見つけることができます。

第3者の視点を知ることで視野も広がるため、積極的にフィードバックを行うようにしましょう

新人教育の評価を行う

7つ目のコツは、「新人教育の評価を行うこと」です。

月ごとや年ごとなど、新人教育に関して必ず振り返りを行い、評価をもらうようにしましょう。教育担当は「新人教育」が仕事にあたります。良かったのか、悪かったのか、改善するべき点は何かなど、次年度に向けた改修としても必ず行う必要があります。

新人教育取組事例

最後に、新人教育取組事例についてご紹介いたします。簡単に取り組むことができるものをご用意いたしましたのでぜひご参考くださいませ。

1.社員研修を実施する

社員研修を実施することです。例えば、「名刺の渡し方」や「メールの送付の仕方」などを教える研修カリキュラムを用意したり、e-ラーニングを取り入れるなどをしても良いでしょう。

カリキュラム例

  •  名刺交換の方法
  • メール送付時のマナー
  • 受電対応
  • 経営方針や組織図について
  • コンプライアンスについて
  • キャリア設計

2.マニュアルや教材を用意する

 マニュアルや教材を用意するのも良いでしょう。マニュアルや教材の作成には時間がかかりますが、言語化し形に残すことができるので、教育の質を均一にできます。

最大のメリットは、属人化を防ぎ、教え忘れ等による個人間に差が出ないことです。

3.メンター制度に適性検査を用いる

似たような思考を持つ人物同士であれば、行動の背景や知りたい情報を察してフォローでき、相互のコミュニケーションもよりスムーズになります。

また、同じような経験をしてきたのであれば新人のわからないことや、不安なことなどの早期のキャッチアップも期待できます。

まとめ

本記事では新人教育の目的と失敗例、即戦力を育てるためのコツについてご紹介いたしました。

新人教育の担当の方や、新人の早期離職に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。