企業の成長において、 「どのような人材を採用するか」 は非常に重要な要素です。しかし、スキルや経験が豊富な人を採用すれば成功するとは限りません。企業文化との適性や、長期的な活躍が見込めるかどうかも、採用の成否を左右します。
そこで必要となるのが 「人材要件」 です。人材要件を適切に設定することで、 採用のミスマッチを防ぎ、企業の成長に貢献できる人材を確保 しやすくなります。しかし、要件が曖昧だと、採用基準にブレが生じたり、優秀な候補者を見逃してしまうリスクもあります。
本記事では、 人材要件の定義から、作成時に活用できるフレームワーク、効果的な作成プロセスやポイント まで、詳しく解説します。
人材要件とは?定義と重要性を徹底解説
人材要件とは、企業が求める人物像を明確に定義したものです。具体的には、求めるスキル、経験、価値観、特性などを言語化し、採用プロセスにおいて一貫した基準を持つために活用されます。企業のビジョンや事業戦略と照らし合わせ、どのような人材が組織に貢献できるのかを明確にすることが目的です。
例えば、IT企業でエンジニアを採用する場合、「プログラミングスキル」「論理的思考力」「新技術への学習意欲」などが人材要件として設定されるでしょう。また、営業職の場合は「コミュニケーション能力」「交渉力」「目標達成意識」などが求められます。このように、職種や企業文化によって適した人材要件が異なるため、各企業が自社に最適な要件を定めることが重要です。
人材要件が必要な理由
人材要件は企業が求める人材の基準を示すものであり、採用の成功を左右する重要な要素です。企業が成長し続けるためには、人材要件を適切に設定し、必要に応じて見直していくことが求められます。
その中でも3つの理由を具体的に紹介します。
採用ミスマッチ・早期離職の防止
人材要件が明確でない場合、企業の期待と応募者のスキルや価値観が合わず、入社後にミスマッチが生じる可能性があります。ミスマッチが原因で早期離職が発生すると、企業は再度採用活動を行う必要があり、コストや労力が増大します。人材要件を明確にすることで、求職者が自身の適性を判断しやすくなり、企業との相性が良い人材を採用できる確率が高まります。
採用基準の統一と質の均一化
人材要件が定まっていないと、採用担当者ごとに評価基準が異なり、応募者の選考にばらつきが出てしまいます。例えば、一次面接と二次面接で評価の観点が異なれば、企業が本当に必要とする人材を見落とすリスクが生じます。一方で、人材要件が明確であれば、どの担当者も共通の基準で応募者を評価でき、採用の質を一定に保つことが可能になります。
企業の成長戦略・経営戦略との整合性
企業が中長期的に成長するためには、戦略に適した人材を確保することが不可欠です。例えば、海外展開を予定している企業なら「英語力」や「異文化適応力」が求められるでしょう。また、スタートアップ企業では「変化への柔軟性」や「主体的な行動力」が重視されることが多いです。経営戦略と採用戦略を一致させるためにも、人材要件の明確化は重要な役割を果たします。
採用ターゲットや採用ペルソナとの違い
人材要件と似た概念に「採用ターゲット」や「採用ペルソナ」があります。採用ターゲットは、年齢や職歴、学歴などの基本的な条件を指し、人材要件よりも広い範囲をカバーします。一方、採用ペルソナは人材要件をもとに、より具体的な人物像を設定するものです。例えば、「コミュニケーション能力が高い人材」という人材要件に対して、採用ペルソナでは「学生時代にリーダー経験があり、プレゼンテーションが得意」といった具体的な人物像を作成します。
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人材要件を構成する主な項目
人材要件は、企業が求める人物像を明確にするための指標であり、採用活動の成功を左右する重要な要素です。スキルや経験だけでなく、性格や価値観、期待する役割まで含めることで、より精度の高い採用が可能になります。採用活動の精度を高め、ミスマッチを防ぐためにも、以下の基本要素を明確にすることが求められます。
スキル
スキルとは、業務を遂行するために必要な知識や技術を指します。専門的なスキル(ハードスキル)と、対人関係や問題解決能力などの汎用的なスキル(ソフトスキル)の両方を考慮する必要があります。
例:
エンジニア職:プログラミングスキル(Java, Python)、システム設計能力
営業職:交渉力、プレゼンテーション能力、顧客折衝スキル
管理職:リーダーシップ、組織マネジメント能力
能力
能力は、スキルよりも広い概念であり、特定の業務遂行に必要な特性や強みを指します。これは先天的な才能だけでなく、経験を通じて培われるものも含まれます。
例:
問題解決能力:課題を発見し、適切な解決策を講じる力
論理的思考力:物事を筋道立てて考える力
適応力:変化の激しい環境に柔軟に対応する能力
経験
経験は、過去にどのような職務を担当し、どのような成果を上げてきたかを評価する要素です。経験が求められる理由は、業務の即戦力として活躍できる可能性が高いからです。
例:
マーケティング職:SNS広告運用経験、データ分析経験
プロジェクトマネージャー:複数プロジェクトの同時進行経験
経理職:決算業務の実務経験、税務申告対応
人柄・性格
性格や行動特性は、職場の雰囲気やチームワークに影響を与えるため、人材要件に含まれることが多い要素です。
例:
協調性:チーム内で円滑に業務を進められるか
主体性:自ら課題を見つけ、積極的に行動できるか
ストレス耐性:プレッシャーのかかる環境でも安定したパフォーマンスを発揮できるか
志向性
志向性とは、仕事に対する価値観やキャリアの方向性を指します。企業の文化やミッションに共感するかどうかも重要なポイントとなります。
例:
成長志向:スキルアップやキャリアアップを目指す意欲
チャレンジ精神:新しいことに積極的に挑戦する姿勢
顧客志向:顧客満足を最優先に考え、行動する意識
期待する役割
期待する役割は、組織内で担うべき責務や貢献を具体的に示したものです。職種やポジションごとに異なり、業務内容とともに明確に定義する必要があります。
例:
リーダー職:チームをまとめ、成果を最大化する
企画職:市場調査を基に新しい戦略を立案する
エンジニア職:システム開発において高品質なコードを書く
労働条件
労働条件も人材要件の一部として設定することで、応募者とのミスマッチを防ぐことができます。
例:
勤務時間:フルタイム、フレックスタイム制の有無
給与水準:月給・年収レンジ、昇給・賞与の有無
福利厚生:社会保険、リモートワーク可否、資格取得支援制度の有無
人材要件の作成プロセス
人材要件を作成するプロセスは、企業の成長戦略と採用計画を一致させるために欠かせない要素です。
企業理念の確認、業務分析、現場の声の反映、要件の分類、そしてPDCAによる継続的な改善を行うことで、適切な人材を確保し、組織の成長につなげることができます。
企業理念・経営戦略の確認
人材要件を作成する最初のステップは、企業理念や経営戦略の確認です。企業のビジョンや事業方針に基づいて求める人材像を明確にすることで、組織の方向性と採用の整合性を取ることができます。たとえば、グローバル展開を進める企業であれば「英語力」や「異文化適応力」、新規事業を強化する企業であれば「チャレンジ精神」や「リーダーシップ」が重要視されるでしょう。
また、短期的な採用ニーズだけでなく、中長期的な成長戦略も考慮し、人材要件を定義することが大切です。
募集ポジションの業務分析
次に、採用する職種・ポジションの業務内容を詳細に分析します。具体的な職務内容を明確にすることで、必要なスキルや経験、能力が見えてきます。
業務分析のポイントは以下の通りです:
日々の業務:このポジションで担当する業務の流れや重要なタスクを整理
必要なスキル・知識:業務を遂行するうえで必須となるスキル(例:プログラミング、営業交渉力)
成果指標(KPI):このポジションにおいて期待される成果や目標(例:売上目標、プロジェクト進行率)
業務を明確にすることで、求職者が自身の経験やスキルと照らし合わせやすくなり、ミスマッチのリスクを軽減できます。
既存社員へのヒアリング
実際に同じ業務に従事している社員や配属先の部署にヒアリングを行うことで、より実務に即した人材要件を作成できます。採用担当者だけで要件を決めてしまうと、現場との認識にズレが生じる可能性があるため、以下のポイントを中心にヒアリングを行いましょう:
現在の課題:今のチームや部署で不足しているスキルや能力
必要な特性:仕事を成功させるために求められる性格や行動特性
過去の成功事例・失敗事例:優秀な社員の特徴や、過去の採用で起きたミスマッチの要因
条件をMUST/WANT/NEGATIVEに分類
人材要件を明確にするために、「MUST(必須条件)」「WANT(望ましい条件)」「NEGATIVE(避けたい条件)」の3つに分類します。
MUST(必須条件):職務遂行に不可欠なスキル・経験(例:エンジニア職ならプログラミング言語の習得、営業職なら顧客折衝経験)
WANT(望ましい条件):あれば業務の遂行がスムーズになる要素(例:リーダー経験、英語力)
NEGATIVE(避けたい条件):組織との相性が悪い特性(例:チームワークを苦手とする、指示待ちの傾向)
PDCAサイクルでの改善
人材要件は一度設定すれば終わりではなく、定期的に見直しを行うことが重要です。採用後の社員のパフォーマンスや、業務環境の変化に応じて最適化していく必要があります。PDCAサイクルを活用し、以下のプロセスで改善を行いましょう:
Plan(計画):現時点での採用要件を作成
Do(実行):実際の採用活動で要件を活用
Check(評価):採用した人材の適性や活躍度を評価
Act(改善):採用成功・失敗の要因を分析し、要件を修正
人材要件作成に役立つフレームワークの紹介
人材要件を明確にする際には、フレームワークを活用することで、求める人材像を論理的かつ効果的に整理できます。本記事では、企業の採用戦略を最適化するために役立つ5つのフレームワークを紹介します。
MUST・WANT・BETTER・NEGATIVE
MUST・WANT・BETTER・NEGATIVEは、人材要件を優先度別に分類するフレームワークです。採用基準を明確にすることで、適切な候補者を効率よく選定できるようになります。
MUST(必須条件):業務遂行に絶対に必要なスキルや経験(例:プログラミング経験3年以上)
WANT(歓迎条件):持っていると望ましいが、必須ではないスキル(例:英語でのビジネスコミュニケーション)
BETTER(あれば尚可の条件):さらに価値を高める要素(例:特定の資格やマネジメント経験)
NEGATIVE(不要・避けたい条件):自社に適さない特性(例:協調性が欠如している)
まずMUST・NEGATIVEを明確にし、そこからWANTやBETTERへ振り分けることで、採用基準に一貫性を持たせることができます。
コンピテンシーモデル
コンピテンシーモデルは、企業内で優秀な成果を上げている社員の行動特性やスキルを分析し、理想の人材像を定義する手法です。これにより、実際に成果を出せる人物を特定しやすくなります。
このフレームワークを活用するステップ:
高いパフォーマンスを発揮している社員を特定
その社員の共通するスキルや行動特性を抽出
新たに採用する人材に求める条件として反映
例えば、営業職の場合、「顧客課題を正確に理解し、最適なソリューションを提案できる能力」が共通しているなら、それを人材要件に組み込みます。
STP法
STP法はマーケティングで使われる手法ですが、人材採用においても応用できます。人材市場を分類し、自社に最適な人材をターゲット化し、他社との差別化を図る際に役立ちます。
Segmentation(市場の細分化):業界経験、新卒・中途、志向性などで分類
Targeting(ターゲット設定):企業文化や業務にマッチする層を特定
Positioning(自社の強みを明確化):他社との差別化要因を整理し、魅力をアピール
新卒採用では、学部・学科・ゼミ・志望業界などで分類し、ターゲットを絞ることで、効果的な採用戦略を立てられます。
氷山モデル
氷山モデルは、人材の「目に見える要素」と「目に見えない要素」を整理するフレームワークです。採用ではスキルや経験などの表面部分だけでなく、価値観や行動特性などの深層部分も考慮することが重要です。
水面上の部分(見える要素):職務経験、スキル、資格など
水面下の部分(見えない要素):価値観、動機、行動特性、志向性など
採用時には、スキルマッチだけでなく、企業文化やチームとの相性も考慮し、長期的に活躍できる人材を見極めることがポイントです。
GRPIモデル
GRPIモデルは、組織開発のフレームワークですが、人材要件の定義にも活用できます。以下の4つの要素で整理することで、組織の目標達成に貢献できる人材を特定できます。
Goal(目標):企業の成長戦略に基づいた採用目的
Role(役割):担当する業務と責任範囲
Process(手順):必要なスキルや知識
Interaction(関係性):企業文化やチームワークの適性
新卒中途採用における人材要件のポイント
人材要件を設定する際には、新卒採用と中途採用の違いを明確にし、それぞれの特性に合った基準を設けることが重要です。新卒採用ではポテンシャルを重視し、成長可能性の高い人材を確保するのに対し、中途採用では即戦力としてのスキルや経験が求められます。以下、それぞれの採用における人材要件のポイントを詳しく解説します。
新卒採用ならではの要件「ポテンシャル重視・育成前提の採用」
新卒採用では、職務経験がない学生を対象とするため、実務スキルや専門的な知識よりも、「成長意欲」や「価値観の一致」「コミュニケーション能力」といったポテンシャルを重視することが一般的です。特に、将来的なリーダー候補や専門職としての活躍を見据え、入社後にスキルを習得し、企業の文化に適応できるかが重要な評価ポイントになります。
例えば、IT企業のエンジニア職であれば、「プログラミングに対する興味・関心」や「論理的思考力」、営業職であれば「積極性」や「対人スキル」などが求められます。一方で、特定のプログラミング言語の習得経験や営業の実務経験などは、入社後の研修やOJTを通じて習得できるため、必須要件とされることは少ないでしょう。
また、新卒採用では、企業のビジョンや価値観に共感し、長期的に活躍できる人材を採用することが重要です。急成長を遂げるスタートアップ企業では、「挑戦心」や「変化への適応力」、大手企業では「組織のルールを尊重する姿勢」や「協調性」が重視されることもあります。このように、新卒採用では即戦力よりも長期的な視点で人材要件を定義することが求められます。
中途採用に求められる要件「 即戦力としてのスキル・過去の経験とのマッチング」
中途採用では、すでに社会人経験を持つ求職者を対象とするため、実務スキルや経験のマッチングが最優先されます。企業は、現在の業務に即座に貢献できる人材を求めており、職務経歴や過去の成果、保有スキルが評価の大きなポイントとなります。
たとえば、マーケティング職の中途採用では「デジタル広告運用経験」や「データ分析スキル」、エンジニア職では「特定のプログラミング言語の実務経験」や「システム設計の経験」などが必須条件として設定されることが多いです。また、管理職候補として採用する場合には、「リーダーシップ」や「チームマネジメント経験」も重要な評価基準になります。
さらに、企業文化や組織の風土に適応できるかも中途採用では重要な要素です。たとえば、裁量権の大きいベンチャー企業では「自発的に課題解決ができる人材」、大手企業では「組織の方針を理解し、協調性を持って業務を遂行できる人材」が求められることが多いでしょう。
人材要件を設定する際の注意点と改善のコツ
人材要件を適切に設定することは、企業の採用活動を成功させるうえで不可欠です。しかし、要件を厳しくしすぎたり、主観的な要素を含めたりすると、採用の難易度が上がり、結果としてミスマッチを引き起こす可能性があります。ここでは、人材要件を設定する際の注意点と、改善のコツについて解説します。
過度な条件設定を避ける
人材要件を設定する際に必要以上に厳しい条件を設けると、採用の間口が狭まり、応募者が減少してしまう恐れがあります。例えば、MUST要件を増やしすぎると、優秀な人材であっても要件をすべて満たせず、エントリーをためらってしまう可能性があります。一方で、MUST要件を減らしすぎると、企業が本当に求めるスキルや経験を持つ人材を見極めることが難しくなります。
改善のコツ:
MUST(必須条件)とWANT(歓迎条件)を明確に分類する
育成で補える要件は、必須条件ではなく歓迎条件に設定する
求人市場の動向を考慮し、現実的な条件を設定する
例えば、「特定の資格を必須」としてしまうと、取得していない優秀な候補者を逃す可能性があります。資格がない場合でも、実務経験や学習意欲でカバーできるのであれば、MUSTではなくWANT要件として設定するのが望ましいでしょう。
主観的な要素の混入を避ける
採用担当者の主観が入りすぎると、人材評価の基準が曖昧になり、面接官によって評価にバラつきが生じる可能性があります。特に、「〇〇な性格の人が向いている」「第一印象が良い人を重視する」といった曖昧な基準は、客観性を欠き、企業の成長に必要な人材を見落とす原因となります。
改善のコツ:
定量的な評価基準を導入する(例:業務成果、スキルテスト)
コンピテンシーモデルなど、実績のある人材の特性をもとに要件を設定する
複数の面接官で評価し、バイアスを防ぐ
例えば、「チームワークが良い人」という要件は曖昧な表現ですが、「チームでのプロジェクト経験があり、協働の実績がある」という具体的な要件に置き換えることで、より客観的な評価が可能になります。
採用対象別に条件を変動させる
新卒採用と中途採用では、求める人材要件が異なります。新卒採用では、スキルや経験よりもポテンシャルや成長意欲が重視されます。一方、中途採用では即戦力としてのスキルや経験が求められます。
改善のコツ:
新卒採用では、価値観や学習意欲を重視する
中途採用では、職務経験や業務適性を重視する
ポジションによって、求めるスキルセットを適切に調整する
例えば、新卒採用においては「業務経験なしでも学習意欲が高い人」を求めるのに対し、中途採用では「類似業務の経験があり、すぐに活躍できる人」をMUST要件に設定するといった違いが生じます。
定期的な見直しと改善
人材要件は、一度設定したら終わりではなく、定期的に見直しを行い、採用市場や企業の成長に応じて調整することが重要です。採用後に、期待したスキルを持つ人材が十分に活躍できているか、ミスマッチが発生していないかを検証し、PDCAサイクルを回しながら改善を続ける必要があります。
改善のコツ:
採用データを分析し、適切な要件になっているか検証する
入社後の活躍状況を定期的にモニタリングする
面接官や現場社員のフィードバックを取り入れる
例えば、「必須条件として設定したスキルが実際の業務でほとんど使われていない」などの課題が発見された場合には、要件の見直しを行うことで、より適切な採用基準を作ることができます。
見直しのためには、業務効率化・可視化が重要
採用要件を適切に管理し、定期的な見直しをスムーズに行うためには、採用プロセスの可視化が不可欠です。採用管理システム 「採用一括かんりくん」 を活用すれば、応募者のデータを一元管理し、採用基準の改善に役立つデータ分析が可能になります。
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人材要件の具体例
中途ITエンジニアの人材要件
ITエンジニアの中途採用においては、即戦力となるスキルや経験が求められます。そのため、採用要件を MUST(必須)、WANT(歓迎)、NEGATIVE(避けたい要素) に分類し、実務に適した人材を見極めることが重要です。
MUST(必須条件)
ITエンジニアとしての業務を遂行するために欠かせないスキルや経験:
2年以上の開発経験(Java、Python、C++などの主要言語)
Webアプリケーションまたはシステム開発の経験
Gitなどのバージョン管理ツールの利用経験
チーム開発の経験(アジャイルやスクラム開発の理解があると尚可)
課題解決能力および論理的思考力
WANT(歓迎条件)
持っていると業務がスムーズに進むが、入社後に習得可能なスキル:
クラウド環境(AWS、GCP、Azure)の知識・実務経験
CI/CDの導入・運用経験
マイクロサービスアーキテクチャの理解
フロントエンド技術(React、Vue.js)の経験
DevOpsの経験があり、インフラ領域の知見がある
NEGATIVE(避けたい要素)
ITエンジニアとしての業務遂行に支障をきたす可能性のある要素:
チーム開発が苦手で、一人で業務を進めようとする傾向が強い
新しい技術を学ぶ意欲が低く、変化に対する柔軟性がない
コミュニケーションを避ける傾向があり、報連相を怠る
新卒営業職の人材要件
新卒営業職の採用では、即戦力よりも ポテンシャルや成長意欲 を重視する必要があります。業務のスキルや知識は入社後の研修やOJTで身につけることが可能なため、主体性やコミュニケーション能力といった基本的な素養が評価のポイントとなります。下記に例を記載します。
MUST(必須条件)
新卒営業職として活躍するために最低限必要な素養:
明るく前向きなコミュニケーションが取れる
自ら学ぶ姿勢があり、成長意欲が高い
人と関わることが好きで、対話を楽しめる
目標に向かって努力を続けられる粘り強さがある
チームワークを意識し、協力して業務を進められる
WANT(歓迎条件)
持っていると業務に役立つが、入社後に習得可能なスキル:
学生時代の課外活動やアルバイトなどでのリーダー経験
プレゼンテーションや交渉の経験
SNSやデジタルツールを活用した発信経験
ビジネスマナーや基本的なPCスキル(Excel、PowerPoint)
NEGATIVE(避けたい要素)
営業職としての適性に欠ける可能性のある要素:
人と話すことが苦手で、対話を避ける傾向がある
指示待ちの姿勢が強く、自ら行動する意識がない
目標達成への意欲が低く、競争を避けたがる
失敗を過度に恐れ、新しいことにチャレンジできない
まとめ
人材要件を明確に設定することは、 採用ミスマッチを防ぎ、効果的な人材を確保するために必要です。定期的に人材要件を見直すことで、その時々で企業の成長に貢献できる適切な人材を確保することができます。採用活動を成功させるため、 紹介したフレームワークや実例を参考に、効果的な人材要件を策定しましょう。